NY金:信用収縮懸念の後退で調整後に再上昇か-急落は買い手に朗報

最高値更新後の3営業日で1カ月の上昇 分をはき出すなど、市場予想以上の急落に見舞われた前週のニューヨーク金先 物相場。もっとも、米国の信用収縮を懸念した換金売りが一巡したとみられる なか、今後は時間の経過とともに実需が盛り返す公算が大きく、1カ月程度の 相場調整を経て再び上昇トレンド入りするとの見方が根強い。

「米金融当局の矢継ぎ早の対応が功を奏した」--。マーケット・ストラ テジィ・インスティテュート(MSI)の亀井幸一郎代表は、信用不安を背景 に商品市場もろうばい的に売り込まれたとしたうえで「金もさすがに急落の傷 が癒えるのに多少は時間を要するが、米国が実質ゼロないしはマイナス金利に 踏み込むなかで再び資金の受け皿になる」と読む。

金融収縮懸念が後退

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場は、 17日に1オンス当たり1033.90ドルの最高値更新後に反落し、一時は10%超 の急落を余儀なくされたが、直近の5営業日は下げ渋りの展開が続く。27日の 終値(6月限)は前日比20セント安の954ドル。

米証券大手ベアー・スターンズの流動性危機への憶測から、3月半ばにか けて米国発の株安やドル安の連鎖が広がり、これに前後して金をはじめ商品市 場からも投機マネーが流出した。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が 公定歩合の緊急引き下げや証券会社への特別融資制度を導入したほか、政府系 機関による住宅ローン担保証券(RMBS)買い取りなどの対策が打ち出され ると、金融収縮懸念の後退から市場は落ち着きを取り戻しつつある。

大平洋物産・投資相談室の川鍋敏光チーフアナリストは、米FRBによる さらなる利下げの可能性や大量の資金供給を踏まえると、将来のインフレの高 まりは避けて通れず、今後も金への相対的な投資妙味が高まると分析。そのう えで「すでにファンド勢の持ち高がふるいにかけられており、900ドルを大き く割り込むほどの売り圧力はかかりにくい」とみている。

相場急落は買い手に朗報

さらに、心理的な節目である1000ドル突破後に大きく水準を下げたこと で、これまで高値警戒感から買いを控えていた投資家の需要も期待できる。

MSIの亀井氏は、昨年の4-6月期に300トンも購入したインドがこれ から需要期に入るなか、相場上昇局面では手を引いていた投資家の動向には注 目が必要だといい「実際に相場が先週に急落した局面では、1オンス当たり10 セント程度のプレミアムとなるなど、実需筋の買い意欲が旺盛であることがう かがえた」とも指摘している。

もっとも、「金相場は一時に比べて調整色が強まっているだけに、いずれ 為替次第では1000ドルをうかがうにしても、当面は下値を探る展開も十分に 考えられる」(岡地の平井克実・商品アナリスト)ともいい、今後1000ドル の大台を狙うには数週間の猶予が必要との見方も出ている。

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