首相:09年度に道路一般財源化-ガソリン税率維持目指し新提案(3)

福田康夫首相は27日午後、首相官邸 で緊急記者会見を行い、道路特定財源である揮発油税(ガソリン税)の暫 定税率維持を盛り込んだ政府提出の租税特別措置法改正案をめぐり、道路 特定財源の一般財源化の時期を2009年度とすることなどを柱とする新提 案を発表した。民主党など野党が「即時撤廃」を求めている暫定税率につ いては「暫定税率を08年度から廃止するというのは現実無視の議論だ」 と語り、維持する方針を表明した。

衆参で与野党の勢力が逆転している「ねじれ国会」の状況下、首相は 道路特定財源の一般財源化の時期を「09年度」と区切って譲歩すること で、租特法改正案の成立に向けて、参院第1党の民主党など野党に協力を 呼び掛けた格好だ。

しかし野党は道路特定財源の一般財源化のみならず、暫定措置の即時 撤廃を強く主張しており、福田首相の新提案を受け入れて与野党協議に応 じるかは不透明。このため税特措法改正案が07年度内(08年3月末)に 成立する可能性は依然として低い。政府提出の租特法改正案が不成立とな れば、新年度から揮発油税の暫定税率が失効し、ガソリン価格が1リット ル当たり25円下がる。

「暫定税率あいまい」-民主・鳩山氏は否定的

民主党の鳩山由紀夫幹事長は27日夕、記者団に、首相の新提案に関 して、「暫定税率については極めて曖昧(あいまい)だし、必ずしも民主 党として前向きに対応はできない」と語り、否定的な見解を示した。TB Sが同日午後6時前のニュースで鳩山氏の発言場面を放送した。

首相は緊急会見で、「暫定税率を廃止すると(国・地方で年間)2兆 6000億円の財源が失われる」と言明。「本年(度)は暫定税率を維持す る。そして提出してある税制関連の法案を認めていただきたい。それが一 番よい方法だ」と語り、08年度は暫定税率維持を堅持する方針を明確に 打ち出した。

首相はその上で、「暫定税率は維持するほうが、今の国際的な石油不 足、環境問題と言った観点から考えると必要だ。しかしこのことについて も、税制抜本改革時に大いに議論していきたい。野党からも意見を言って もらいたい」と語り、08年の税制の抜本改革の際に野党も交えて暫定税 率の在り方を協議するべきだとの立場を示した。

福田政権は、暫定税率が3月末で失効した場合、憲法59条に基づき 衆院で3分の2以上の賛成多数で再可決、成立を目指す公算が大きいが、 首相は緊急会見で、衆院での再可決に踏み切る可能性について「わたしは 先のことは今、考えていない」と述べるにとどめた。

憲法59条は「参院が60日以内に議決しないときは、衆院は参院がそ の法案を否決したものとみなす」と規定。政府提出の租特法改正案は2月 29日、自民、公明の連立与党が3分の2以上の絶対安定多数の議席を持 つ衆院を通過しており、参院送付後60日を経た4月29日には衆院で再可 決を行う環境が整う。首相の主な発言は次の通り。

「第1に、道路予算については、娯楽用品を買ったり、公益法人の職 員旅行に使ったり、不適切な支出が次々と明るみになった。国民の信頼を 著しく失墜させたことに、わたしも大きな怒りを感じている。行政の長と して国民にお詫びするとともに、支出の在り方について抜本的な改革を行 う」

「第2に、道路特定財源制度は08年の税制抜本改革時に廃止し、09 年度から一般財源として活用する。そして二酸化炭素(CO2)を排出し ない新エネルギー開発などの地球温暖化対策、救急医療態勢の整備や少子 化対策など、さまざま政策にも使えるようにする」

「第3に一般財源化に伴い、暫定税率を含むガソリンなどへの税率の 在り方についても今後、検討する」

「第4に、10年間で59兆円が必要だとしている現在の道路整備計画 についても、10年との計画期間について、最新のデータを用いながら5 年間に短縮した上で、新たな計画を作成する。厳格かつ客観的な評価を行 い、十分な吟味を行い、本当に必要と判断される道路だけを着実に整備し ていく」

「以上の4点について改革を着実に実行することを国民に約束した い。4月からの08年度予算でも、可能な限り反映していく。道路予算の 執行に当たっては、これから策定する新しい道路整備計画によって見直す べきことがあれば、厳格に反映させていく。また08年度予算について も、一般財源としての使い道については、野党から現実的な提案があれば 協議に応じる」

「道路財源改革を進めるにあたり、わたしは与野党政策協議会の設置 を提案したい。この協議会では①一般財源化したガソリン税などをどのよ うな政策に使うべきか②この場合税率はどれぐらいが適切か-などを野党 と一緒に協議して決定していきたい」

民主党は暫定税率の即時撤廃を求めているが、首相の新提案は、検討する ということだが、検討というのは廃止を念頭にしているのか:

「野党は『暫定税率を廃止する』と言っているが、財源が不足する。 そして税率が下がるとガソリンの値段が下がるという問題が起きる。(国 ・地方で年間)2兆6000億円の財源が失われる。その結果、道路の整備費 がなくなる。暫定税率を08年度から廃止するという議論は、現実無視の 議論だ」

「暫定税率を廃止すると、都市も地方も財政難に陥る可能性がある。 そのことで景気の足を引っ張る。総合的に考えて本年(度)は暫定税率を 維持する。そして提出してある税制関連の法案を認めていただきたい。そ れが一番よい方法だ」

与党は首相の新提案を了承しているのか:

「党側ではいろいろな意見がある。しかし党の皆さんにも話をした。 おおむね了解をいただいたと理解している」

民主党の小沢一郎代表は「暫定税率撤廃」を主張しているが、小沢氏に党 首会談を呼び掛けて話し合う可能性は:

「わたしは党首会談をできればしたい。それが解決につながるなら、 積極的にする」

暫定税率分も含む税率についてどのように検討するのか:

「税制改革をする際に、この部分だけを取り上げて言うべきではな い。社会保障制度もあるし、この分もあるし、年金の公的部分を増やすた めの財源調達をどうするかということも含めて議論すべき問題だ」

「暫定税率は維持するほうが、今の国際的な石油不足、環境問題と言 った観点から考えると必要だ。このことについても税制抜本改革時に大い に議論していきたい。野党からも意見を言ってもらいたい」

仮に野党と合意が得られない場合でも、道路特定財源は09年度に一般財 源化するということか:

「どういう状況にあろうとも、今わたしが申し上げたことは守ってい く」

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