「防衛策継続」可決も苦戦か、あすサッポロ株主総会-協議に焦点(3)

米系投資ファンドのスティール・パートナー ズから友好的な株式買い増しの提案を受けているサッポロホールディングスはあ す定時株主総会を開催する。注目の「買収防衛策継続」議案は可決される公算だ が、外国人投資家の増加などで反対票が膨らみ、苦戦を強いられる可能性がある。

昨年の総会では、スティールが株主提案として買収防衛策に反対し、他の株 主に賛同を求めて委任状勧誘を行うなど激しく対立した。結果は条件の過半数を 大きく上回る約70%の賛成で可決、防衛策導入は承認された。今年はスティール が昨年の強硬路線を一変、株主提案を行わず柔軟姿勢に転じたこともあり、「継 続議案は可決されるとみるのが自然だろう」(SMBCフレンド証券の中西文行 ストラテジスト)。

だが、今年の可決は苦戦が予想される。昨年の総会出席者数は過去最多で、 議決権行使比率も例年より1割ほど高く過去最高だったが、「攻防が長期にわた っており、今年は昨年に比べ市場の関心は薄れている」(中西氏)。個人投資家 などが昨年同様、積極的に議決権を行使するかどうか、賛成票を投じるかどうか は微妙だ。

反対票の増加で苦戦も

さらにはサッポロの株主構成をみると、スティール分(約18.6%)を含む外 国人投資家は昨年の30%から今年は36.1%(議決権の基準となる昨年12月末時 点)に増え、3分の1を超えた。買収防衛策の継続に関しては、外国人投資家に 影響力を持つ議決権行使助言サービス会社大手の米グラス・ルイスが昨年に続き 反対推奨している。

仮に外国人投資家すべてが反対票を投じ、議決権行使比率が昨年並み (81.3%)なら賛成は約55%まで下がり、苦戦を強いられそうだ。もしスティー ルが株式公開買い付け(TOB)を実施すれば、「反対票を投じた投資家がTO Bに応じることも十分考えられ、反対票の増加はサッポロにはプレッシャーにな るだろう」と新生証券の宮川淳子シニアアナリストは指摘する。

サッポロの株主構成はトップの外国人投資家に続き、国内金融機関が30.3%、 その他法人が13.6%、個人が16.4%、証券会社が3.6%となっている。

総会後も神経戦続く

スティールは昨年2月に提示した買収提案で、サッポロ経営陣から「反対」 表明を突きつけられた。その後、今月10日に提案内容を修正して協議を再打診し、 今回はサッポロも協議入りする意向を決めた。会談の日程は総会後で調整してい る。市場の関心は両者間の交渉の行方に集まっている。

修正案では、TOB価格を1株825円から875円に引き上げ、サッポロ株の 取得を66.6%から 33.3%に引き下げた。総会で重要議案を否決できない3分の 1未満の保有比率に変更し、当初の買収案に反対したサッポロ経営陣に経営権支 配にこだわっていない姿勢を示した。だが、実際は所有者不詳などの「死票」を 差し引けば33.3%でも実質的に3分の1以上の反対票を集めて重要議案を否決で きる。サッポロはスティールに対する警戒感を弱めることができない。

サッポロは協議を通じて、あらためて「これまで提供されなかった必要情報 を再確認する」(発表資料)などとし慎重な姿勢を崩しておらず、一方のスティ ールは「『株式取得交渉に向けた協議』に前向きな姿勢を示した」(発表資料) と解釈している。両社は協議入りすることでは折り合っているものの、そのスタ ンスには温度差がある。会談が平行線で終わる可能性は十分ある。

新生証券の宮川氏は「出口が見えにくくなっているのは事実だが、サッポロ も今のままでは株価を上げるのは難しい。スティールがどう動くかに尽きる。ス ティールによって短期的には下がるかもしれない企業価値が、中長期的に上がる 可能性も秘めている」とし、協議結果に注目している。

サッポロHの株価終値は前日比2円(0.2%)高の825円。

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