米納税者に数十億ドル規模の負担も-ベアーSや住宅融資の救済で

米政府は、金融機関の救済に公的資金を投 入しない方針を強調しているが、連邦準備制度理事会(FRB)と財務省が金 融危機に対応して取った措置により、納税者はすでに数十億ドル規模の負担を 強いられている可能性がある。

FRBは米証券ベアー・スターンズが抱える流動性の低い資産の処理を支 援するため、ほぼ300億ドル(約3兆円)の貸し出しを実施したが、過去の例 から判断すると、貸し出しの一部は回収できない可能性がある。銀行危機に関 する著書があるドレクセル大学のジョー・メーソン教授が指摘した。

さらに、差し押さえやデフォルト(債務不履行)が拡大しているにもかか わらず、住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック (連邦住宅貸付抵当公社)にモーゲージ証券の買い入れを増やすよう求めてい る財務省の取り組みは、両社の準備金の減少を招く。

当局が「火遊びをしている」と指摘するカーネギーメロン大学のアラン・ メルツァー教授(経済学)は「運が良ければ、債務懸念は現実のものにならな いだろう。しかしそんな幸運を期待することはできない」と語った。

バーナンキFRB議長とポールソン財務長官が対応を余儀なくされた背景 には、信用市場の機能悪化やベアーの債務超過の恐れがあった。

FRBは、ベアーを買収する米銀JPモルガン・チェースの出資会社がベア ーの300億ドルの不良資産を買い取るのを支援するため、ニューヨーク連銀を 通じ290億ドルの貸し出しを実施した。JPモルガンの出資額は10億ドル。

出資会社は買い取った資産を10年間で清算。清算に伴う損失は、JPモル ガンが最初の10億ドルを負担する。残りはすべてFRBの負担となる。損失が 拡大すれば、連邦準備制度のバランスシート(貸借対照表)は打撃を受け、最 終的には納税者に負担が及ぶことになる。FRBが保有資産の利益から財務省 に支払う額が減少するためだ。2006年は290億ドルだった。

元FRB理事で現在はマクロエコノミック・アドバイザーズの副会長を務 めるローレンス・マイヤー氏は「財務省や議会が税金の投入を必要とする措置 を取ることに消極的であること、または取れないことは、FRB自らが追加的 措置を取らなければならないことを意味する。そうなれば納税者が支払う税金 が脅かされる」との見方を示した。

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