2月貿易収支は2カ月ぶり黒字転換-アジア、EU向け輸出が好調(3)

2月の日本の貿易収支は、原油価格の高騰 が輸入額を引き続き押し上げたものの、アジアや欧州連合(EU)向けが好調 を維持した輸出額がこれを上回り、2カ月ぶりに黒字転換した。輸出は景気減 速が鮮明な米国向けの減少を、堅調なアジア向けが補う構図が続いている。

財務省が26日発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、2月の貿 易収支は前年同月比0.9%増の9700億円の黒字となり、4カ月ぶりに増加した。 輸出額は自動車、船舶などが増加し同8.7%増の6兆9772億円、輸入額は原粗 油や液化天然ガスなどが増加し同10.1%増の6兆72億円で、いずれも2月と しては過去最高だった。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト34人を対 象に事前調査したところでは、2月の貿易収支(原数値)は予想中央値で1兆 1454億円の黒字が見込まれていた。

原油高による輸入額の増加はコスト増を通じて企業収益を圧迫するほか、 生活必需品の相次ぐ値上げで個人消費が低迷するリスクも増大している。一方、 米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した米景気 減速に伴う対米輸出の減少を、アジア向け輸出が穴埋めするデカップリング (非連動)効果は長続きしないとの指摘もあり、外需依存度の高い日本経済の 先行きには不透明感が漂う。

対米輸出は6カ月連続減少

対米輸出は前年同月比6.0%減の1兆3382億円で、6カ月連続の減少。主 力の自動車が同8.9%減、二輪自動車が同16.6%減と販売不振を受けて減少し たほか、住宅市場の低迷に伴い建設用・鉱山用機械も同28.1%減と不振だった。 これに対し、アジア向けは鉄鋼、自動車、船舶が好調で同13.9%増と72カ月 連続で増えたほか、EU向けもテレビ部品や液晶ディスプレーが好調で同

7.2%増と28カ月連続で増加となり、堅調に推移している。

大和住銀投信投資顧問の大中道康浩チーフエコノミストは発表後、ブルー ムバーグテレビジョンに出演し、「米国向け輸出が減速している中で、引き続 き新興国向け輸出が輸出全体を下支えするという構図が生きている」とした上 で、「中国経済が好調を維持する中で、東アジア全体も高成長が続く。東アジ ア向け、新興国向け輸出は堅調に推移していく」と指摘した。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは発表前のリポ ートで、「先行きの外需は堅調なアジア向け輸出が対米輸出の伸び悩みを補う 形が続くと見込まれるが、北米を震源とする世界経済の減速が日本の輸出に一 定の影響を及ぼすことは避けられない」とした上で、世界経済の完璧なデカッ プリングはあり得ないとの見方を示している。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは発表後、2月の輸出数量が 前年比14.8%増と1月の10.4%増から加速したことに触れ、「うるう年効果が 伸び率をかさ上げした色彩が濃い。実際、輸出額季調値は前月比マイナス2.8% となっており、輸出が減速基調にあることを示している」と指摘。その上で、 「うるう年効果を勘案した2月の輸出数量指数と大口電力使用量の動きを踏 まえると、31日に公表される2月鉱工業生産は前月比マイナス2.0%程度と試 算され、経済産業省の製造工業生産予測調査結果(同マイナス2.9%)をやや上 回る可能性が示唆される」との見方を示した。

中国からの食料品輸入は28%減

地域別の貿易黒字額は、対米が前年同月比13.3%減の6969億円。対アジア は同104.8%増の9222億円、対EUは同18.8%増の5271億円だった。

対中国は旧正月の影響を受け、2007年3月以来、11カ月ぶりに輸出額が 輸入額を上回った。中でも食料品の輸入額が対前年で28.0%減少しており、冷 凍ギョーザ問題に伴う食料加工品の輸入減も影響しているとみられる。

また、季節調整済みの貿易黒字額は対前月比26.0%減の5984億円、輸出 は同2.8%減の7兆223億円、輸入は同0.2%増の6兆4239億円だった。

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