米JPモルガン:ベアーS買収額を1株10ドルに上げ、新株取得へ

米銀JPモルガン・チェースは24日、米 証券ベアー・スターンズに提示していた買収額を1株当たり10ドルに引き上 げるとともに、同社の株式39.5%を株主投票なしに取得することで合意に達し たと発表した。これにより、反対派の株主などが買収を阻止する可能性は低下 した。

同日付の発表資料によると、両社は株式交換を通じた約24億ドル(約 2400億円)相当の買収で合意した。20日時点のJPモルガン株価とベアー・ スターンズの発行済み株式数を基にした計算では、両社が16日時点で合意し た買収額は1株当たり2.52ドル、総額3億6600万ドルだった。

JPモルガンは、条件の改善を目指してこれまで買収に拒否姿勢を示して いたベアー・スターンズの株主を封じ込めた格好だ。ほぼ半数の株式を取得し た上で、買収を株主投票にかけられるからだ。両社の発表によれば、ベアー・ スターンズは取引の一環で新株を発行することに合意し、取締役の保有株式の 売却についても取締役会が賛成票を投じることとなった。

同日のニューヨーク証券取引所(NYSE)で、ベアー・スターンズ株は 急上昇。前営業日比5.29ドル(89%)高の11.25ドルで取引を終えた。JP モルガン株は同58セント(1.3%)高の46.55ドル。

新株発行

ベアー・スターンズは株主の承認を待たず、新たに9500万株を発行する。 新株発行は、NYSEの株式発行に関する規則の免除制度を活用したもので、 この制度下で行動する場合に、取引所は通知を義務付けている。両社によると、 通知期間は4月8日前後に終了する。フォックスピット・ケルトン・コックラ ン・カロニア・ウォラーによれば、NYSEは免除措置の付与を拒否すること が可能だ。

JPモルガンがベアー・スターンズの株式39.5%を得れば、あと10.5%の 株主が賛成に回るだけで買収は成立する。新株発行後の従業員の持ち株比率は これまでの3分の1から約5分の1に低下する見込みだ。ブルームバーグのデ ータによると、合計720万株を保有するベアー・スターンズ取締役の持ち株比 率は約3%となる。

修正前の買収案は、3月初め時点のベアー・スターンズの時価総額を90% 余り下回り、英資産家ジョゼフ・ルイス氏をはじめ株主らの反発を買っていた。 JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は先週、ベア ー・スターンズ従業員と会い、買収案への支持を求めていた。

ニューヨーク連銀とブラックロック

ベアー・スターンズが資金繰り不安に陥った2週間前、米金融当局は緊急 融資に踏み切り、同社の買収を後押しした。当局は、当時300億ドルと評価さ れたベアー・スターンズの資産で損失が生じた場合の資金供給を保証した。

JPモルガンとベアー・スターンズは、金融当局が24日にこの融資内容 を修正したことを明らかにした。ベアー・スターンズ資産で最初に発生する損 失10億ドルはJPモルガンの負担とし、残る290億ドルの損失リスクは当局 が引き受ける。

ニューヨーク連銀の24日付文書によると、ベアー・スターンズの資産を 保有する目的で有限責任会社を設立。連銀は、担保資産の流動性を管理する業 務を、資産運用会社ブラックロックに委託した。

当局の融資、JPモルガンの融資とも、期間は10年とされた。当局融資 の金利は公定歩合(現行2.5%)の水準とし、JPモルガン分の金利は同水準 に475ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上乗せした水準(現時点で は7.25%)となる。ローン返済や必要経費支払い後に後に残った利益は当局に 帰属するという。

S&Pが格上げ

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は同日、ベアー・ スターンズの信用格付けを「AA-」に、カウンターパーティー格付けを「A 1+」にそれぞれ引き上げ、格付け見直しの対象から外した。

S&Pは「買収価格引き上げとJPモルガンがコントロールできる株式数 の増加が見込まれていることから、この案件が完結する可能性が高まった」と 指摘。「買収案に何らかの修正が加えられれば、S&Pはその時点で状況を見 直していく」と説明した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE