08年公示地価、都心部中心に伸びが鈍化-全国平均は2年連続上昇(2)

国土交通省が24日発表した公示地価(2008年 1月1日時点)によると、三大都市圏と地方圏の都心部の一部で上昇幅が縮小した。 オフィス需要の好調や不動産投資などで全国的には地価の上昇傾向は続いているも のの、大都市などは急速な値上がりに対する反動で上昇ペースの鈍化が目立ってい る。鈍化傾向はとくに昨年後半から顕著で、昨年の公示地価で16年ぶりに反転上 昇した地価は早くも天井が近くなってきたとの見方が出ている。

2008年の公示地価は、全国平均では住宅地が前年比1.3%上昇(昨年0.1%上 昇)、商業地は同3.8%上昇(同2.3%上昇)した。16年ぶりに上昇した07年公示 地価に続き、いずれも2年連続で上昇した。2年連続はバブル経済末期の1991年 以来、17年ぶり。全国全用途平均も同1.7%上昇(同0.4%上昇)と2年連続で上 昇した。

しかし、東京圏では都区部の上昇率は住宅地が前年比10.4%と前年の同

11.4%から鈍化、23区のうちの都心部は15.3%と前年の同18%から縮小した。大 阪圏の商業地の上昇率は同7.2%と前年の同8.3%から鈍化、大阪市は同11.7%と 前年の同15%から縮小した。京都市、名古屋市、札幌市でも上昇ペースが縮小した。

地価の動向について、みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏は「地 価はある程度天井に近づいている」とし、「これまでに地価が上がり過ぎた反動に 加えて、オフィスビル市況の悪化が見込まれるなど、上昇要因がなくなってくるた めだ」と指摘する。

国土交通省の土地・水資源局地価調査課長の北本政行氏も「地価上昇の減速は、 これまでの急速な上昇に実需がついてこれなくなっているためだ。地価の上昇率自 体は鈍化しているが、地価がピークアウトかどうかはわからない」と語った。

昨年後半の上昇減速が顕著

07年の半年ごとでみると、後半に地価上昇ペースの鈍化地点が増えた。住宅地 は、全国で上昇地点が691地点で、このうち前年比上昇率が10%以上と大きく伸び た111地点に限ってみると、昨年後半に86%の地点の上昇率が減速した。同様に商 業地でも、全国の上昇地点292地点のうち上昇率10%以上の143地点で減速したの は77%に上った。

これまで地価の上昇要因となっていたのは、大型再開発などの不動産需要の拡 大と、高い収益性をにらんだ不動産投資に対する意欲の高まりだった。空室率の低 下や高いオフィス賃料を背景に、主要な投資家である不動産投資信託(J-REI T)や不動産ファンドなどが相次いで資金を投入した。しかし、過熱する取得競争 による価格上昇や米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の影響 でこうした投資資金の流れにも変化が出ている。

国交省が住信基礎研究所のデータをもとに公表した資料によると、J-REI Tの国内主要都市の取得物件価格総額は、2007年は前期比32%減の1兆4670億円 と、2006年の同61%増から大幅に減少した。

三菱地所の木村惠司社長は地価公示に対してコメントを発表。「米サブプライ ムローン問題に端を発した世界景気の減速や原油価格の高騰などから商業地の地価 も一時的な調整局面に入るおそれはある」としながらも、「オフィスマーケットは 堅調に推移しており、国内外の投資家による商業用不動産への潜在的な投資意欲は 依然として強い」と、今後も堅調な不動産投資が継続されるとの見方を示した。

一方、不動産協会の岩沙弘道会長(三井不動産社長)は「日本経済を取り巻く 状況は厳しさを増している。こうした状況を受け、わが国の不動産市場においても、 都心部では商業地の価格動向に一服感が出始め、住宅市場では調整局面を迎えるな ど先行きの不透明感が増している」とのコメントを発表した。

石澤氏は「地価が大きく上がっているところはふたつのグループに分けられ る」と指摘。「ひとつは、丸の内や大手町などビジネス街で、実需で上がっている ところ。これらの土地は再開発や容積率の上昇で土地の収益性が向上していること が、地価の上昇に大きく影響している。一方、銀座や表参道などは実需よりも、不 動産投資の過熱で地価が上がっていた要素が強いため、不動産投資が沈静化するに したがって、地価が下がる可能性がある」と、見通しを示した。

三大都市圏の商業地は3年連続上昇

東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏では、平均で住宅地が同4.3%、商業 地は同10.4%上昇し、住宅地は2年連続で上昇、商業地は3年連続して上昇した。 地方圏では4年連続で下落幅が縮小したが、依然として下落が大部分を占めた。

石澤氏は「地方圏は仙台や福岡など投資の増加で地価が上昇している可能性が ある」と指摘したうえで、「地方と大都市の二極化はさらに強くなる可能性がある。 だんだん、東京の独り勝ちの状況となるだろう」と述べた。

商業地は仙台駅・駅前が上昇率トップ

全国で上昇率が最も高かったのは、商業地が宮城県仙台市青葉区中央1丁目で、

40.1%上昇した。仙台では不動産開発大手の森トラストが仙台で過去最大規模の大 型開発を進めるなど不動産会社の開発計画が相次いでいる。仙台市の住宅地は1991 年以来、平均で17年ぶりに上昇に転じた。

地価トップは、住宅地が東京都千代田区五番町で12年連続のトップとなり、 1平方メートル当たり337万円で前年比16%上昇。商業地は東京都中央区銀座4丁 目の山野楽器銀座本店が2年連続でトップとなり、1平方メートル当たり3900万 円で同28%上昇した。

大阪圏、名古屋圏で上昇率鈍化

大阪圏では商業地が平均で7.2%上昇し、3年連続して上昇したが、上昇率は 前年の8.3%から鈍化した。大阪駅周辺や御堂筋沿いの地域では、一部だが依然と して30%を超える上昇率の地点もあった。大阪圏の住宅地は2年連続で上昇し、平 均で2.7%上昇した。名古屋圏は住宅地が2年連続で上昇し、平均で2.8%上昇し た。好調な地域経済を背景に堅調な住宅需要が続き、地価を押し上げている。ただ、 先行して地価が上昇した名古屋市の東区や昭和区などの中心区では上昇率が鈍化し た。名古屋圏の商業地は3年連続して上昇し、平均で8.4%上昇した。

地方圏は住宅地、商業地ともに下げ幅が4年連続で縮小し、住宅地が同1.8% 下落と前年の同2.7%下落から、商業地が同1.4%下落と前年の同2.8%からそれぞ れ縮小した。中心都市では札幌市、福岡市が連続で上昇となった。

【公示地価】=国土交通省が発表する毎年1月1日時点の土地の価格。不動産鑑定 士の評価に基づいて、同省の付属機関である土地鑑定委員会が価格を決定する。国 や自治体の用地取得や国土利用計画法に基づく土地取引価格への参考価格となる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE