米金融当局の次の一手は住宅ローンの買い取りか-米国債投資家の見方

利下げのことは忘れてみよう。米金融当局 が金融市場の崩壊を阻止するには、問題のある住宅ローン関連証券を金融機関 から買い取る必要があると、米国債の大手投資家はみている。

米金融当局は昨年9月以来で計3ポイントの利下げを実施し、米国債貸与 の担保対象を拡大し、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー) による公定歩合での借り入れを認めたものの、信頼感を回復できていない。3 カ月物財務省短期証券(TB)と3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間貸出金 利)の格差である「TEDスプレッド」はここ1カ月で、2倍の2.03ポイント に拡大した。

残された唯一の手段は、米金融当局が整理信託公社(RTC)のような住 宅ローン担保証券(MBS)の買い取り機関に対する支援を行うことかもしれ ないと、債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメ ント(PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏は指摘する。6兆ドル(約600 兆円)の住宅ローン関連証券残高の一部を購入することで、金融機関のバラン スシートから問題債権が取り除かれ、信用収縮の原因が後退するとみられる。 ただ、納税者はリスクを抱える恐れがある。

TCWグループで債券運用を手掛けるマネジングディレクター、バー・シ ーガル氏は「RTCのような仕組みは興味深い。長期的にはさほど納税者の負 担にならないかもしれない」と指摘。政府は住宅ローンを買い取り、「米政府の 保証を付けた債券」を再発行すべきだとの見解を示した。

米国債の利回り低下

ニューヨーク・ライフ・インベストメント・マネジメントの運用担当者、 トーマス・ジラード氏は、同社が「質の高い住宅ローン」の購入を検討してい ると説明。「ある時点で米国債以外の証券への資産配分を引き上げる必要があ る」と語る。

住宅ローン関連証券の価格は先週、上昇した。メリルリンチが算出する住 宅ローン・マスター指数によると、住宅ローン関連証券の米国債に対するスプ レッドは平均で125ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、14日の157 bpから低下した。ただ同スプレッドは07年平均のなお2倍の水準にある。

投資家が安全な米国債以外の証券投資を敬遠するなかで、3カ月物TB利 回りは20日に一時0.387%と、1954年以来の低水準となった。先週の利回りは 59bp低下の0.57%だった。昨年10月15日には4.29%だった。

ブッシュ大統領やポールソン財務長官は、公的資金の投入や金融危機の原 因である住宅差し押さえの阻止に向けた保証に関する要求を拒んでいる。ブッ シュ大統領は15日、有害無益になりそうな「悪い政策判断」を避けたい意向を 示した。

ただ、比較的小規模な措置はすでに取られている。ブッシュ政権は損失に 対する緩衝材として住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレ ディマック(連邦住宅貸付抵当公社)に求めていた資本の比率を引き下げた。 19日の合意では、両社の米住宅ローンと関連担保証券の購入枠が拡大された。

ただ、PIMCOのグロス氏にとっては、これまでの措置は不十分だ。2 月26日付の投資家向け文書で「米当局が『モラルハザード』への態度を軟化さ せ、住宅価格の下支えに動いた場合、投資家は急いで戻ってくるだろう」と指 摘している。

ジラード氏はRTCのような機関は「最善のアイディアではないかもしれ ないが、恐らくわれわれを前進させる案だ」と語り、「実現の可能性は間違いな く高まってきている」と述べた。

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