東京外為:ドル上昇、先週からの買い戻し局面継続―商品相場動向に注目

午前の東京外国為替市場では、ドルが上昇。 前週末に続き、海外市場の多くが休場で、流動性に乏しい中、商品相場の急落 を背景にドルが対資源国通貨などを中心に買い戻された前週の流れを引き継ぎ、 対ユーロでは約2週間ぶり高値水準となる1ユーロ=1.53ドル半ば付近までド ル買いが進んだ。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の棚瀬順哉FXストラテジスト は、先週は持ち高調整の動きからドルが強くなったが、週明けもその流れを引 き継いでいると指摘する。その上で、目先はドル買い戻しのきっかけとなった 「商品価格の動向やエマージング通貨の動向、欧州など米国以外の地域の金融 不安に関するニュースなどに注目する必要がある」としながらも、米国の金利 面での魅力が低下し、経常赤字のファイナンスが難しくなっている状況の中、 ドルのアウトパフォーマンスは長続きしないとみている。

ドル安一服―商品相場動向が焦点

先週は週明けに金融システム不安が高まりからドルが急落し、対円では一 時、約12年7カ月ぶりに1ドル=95円台へ突入。対ユーロでは1ユーロ=1.5903 ドル(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)の史上最安値を記録した。

しかし、その後は、投資銀行への貸し出し窓口新設など米連邦準備制度理 事会(FRB)が矢継ぎ早に流動性支援策を発表したこともあり、過度の金融 システム不安はひとまず後退。欧米のイースター休暇を前にドル安一服となる 中、週半ば以降はこれまでドル安を背景に高騰を続けていた商品相場が急落し、 ドルは資源国通貨やユーロを中心に買い戻される格好となった。

こうした流れを受け継ぎ、週明け午前の東京市場でもドル買いが先行。ユ ーロ・ドルは1ユーロ=1.54ドル台前半で早朝の取引を開始すると、じりじり とドル買いが進み、午前11時前には1.5400ドルを突破。市場の流動性が低下 し、通常よりも値が飛びやすい状況の中、ドルは一時、1.5346ドルと今月12日 以来の高値を付けた。

ドル・円も1ドル=99円台半ば付近から一時、99円91銭までドルが上昇。 ただ、100円台に乗せてくると「輸出企業のドル売りが出てくる」(新生銀行キ ャピタルマーケッツ部・キム・カンジャ次長)といい、その後はドルが伸び悩 んでいる。

一方、ユーロ・円は1ユーロ153円台半ば付近から153円台後半までユー ロが強含みとなったが、その後、対ドルでユーロ安が進むと、153円前半へ値を 切り下げた。

商品相場とユーロ・ドルの動向注視

ニューヨーク原油先物相場は24日の時間外取引で下落。米景気減速が原油 需要の縮小につながるとの懸念が強まったほか、ドルの上昇が投資家に原油な どの商品の売りを促している。

原油や金、トウモロコシなど19銘柄で構成するロイター・ジェフリーズC RB指数は3月半ばまで過去最高値圏で推移していたが、先週は8.3%安と、少 なくとも1956年以降で最大の下落率を記録した。

新生銀のキム氏は、「先週はイースター前でコモディティ価格がかなり下 がり、これにつられてユーロ・ドルも下落したが、イースター明け後にポジシ ョン調整を終えて、もう一度コモディティ市場が上昇してくるようであれば、 ユーロ・ドルももう一度1.60ドルトライということになる」と指摘。その場合 は、ドル・円も先週付けたドル安値の95円76銭(EBSでは95円77銭)を 試す動きになるとみている。

一方で、「ユーロ・ドルの下落次第では、ドル・円が101円から101円50 銭ぐらいまで戻すこともあり得る」(キム氏)といい、目先は「ユーロ・ドル とコモディティ市場の動きが注目される」(同)。

米指標でドル安再燃も

この日はイースターマンデー(復活祭後の月曜日)のため、欧州やオース トラリア、香港など海外市場の多くが休場。一方、3連休明けとなる米国では、 2月の中古住宅販売の発表が予定されている。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、2月の 中古住宅販売件数は前月比0.8%減少の485万件となったもよう。そのほかにも 今週は3月の米消費者信頼感指数や2月の耐久財受注、個人消費支出(PCE) など、米景気の動向を探る手掛かりが相次ぐ。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の棚瀬順哉FXストラテジスト は、「米指標の弱い数字を受けて、金利が下がればドル安ということになりや すい」といい、「ポジション調整で一時的に強含むことはあっても、基本的に はドルが下落する方向がメインシナリオ」と語る。

信用不安くすぶる

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、米大手 証券のゴールドマン・サックス・グループ(GS)とリーマン・ブラザーズ・ ホールディングスの信用格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から、将来 の格下げの可能性がある「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。

S&Pは、米大手金融機関の利益は今後1年間で最大30%減少する可能性 があると指摘。FRBが決定した証券会社対象の公定歩合貸し出しと、JPモ ルガン・チェースによるベアー・スターンズ買収計画に関連した特別融資は「流 動性の懸念を軽減する」とした上で、「それでも、資本市場の混乱の持続や大 幅な景気鈍化の可能性は若干あるとみている」との判断を示した。

一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は22日、FRBとイングラ ンド銀行、欧州中央銀行(ECB)がモーゲージ担保証券(MBS)市場を下 支えするため、公的資金投入の妥当性を検討していると報じた。MBS価格の さらなる低下を防ぐため、公的資金を大規模なMBSの購入に充てる案が検討 対象になっているという。

ただ、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、FRB 関係者はMBSの購入についてFRBは他の中央銀行と協議していないと否定 している。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、米金 融当局が積極的に利下げに動くなど、信用不安の緩和に向けて手を打っている 中、市場は次の一手を見極める状況でドル売りがやや小休止といった感がある としながらも、「金融機関の危機的な状況が第2、第3と明るみになってくる 可能性も残っており、ドルの戻り局面では売りが出やすい」とみている。

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