日本株:金融中心に3連騰、信用とインフレ懸念一服-売買は今年最低

週末の東京株式相場は、引けにかけて上 げ幅を拡大させて3日続伸。米住宅ローン市場の安定による過度の信用収縮懸 念の後退から、金融株や不動産株、輸出関連株中心に買われた。国際市況の下 げが原料コストの低下につながるとして、パルプ・紙株や電力株、化学株など も高い。パルプ・紙は東証1部の業種別上昇率でトップ。TOPIXは5営業 日ぶりに終値で1200ポイントを回復。ただ、売買代金は実質今年最低だった。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹投信グループ長は、「金融 システム不安が後退し、商品市況下落でインフレ懸念も一服となった」と指摘。 米国の金利水準の絶対的な低さによる累積効果も、今後は実体経済に効いてく るとし、「疑心暗鬼を抱えながらも、日本株の割安さを見直す動きが出てい る」(同氏)と話した。

日経平均株価の終値は前営業日比222円13銭(1.8%)高の1万2482円 57銭、TOPIXは23.74ポイント(2%)高の1220.04。東証1部の売買高 は概算で18億2062万株、売買代金は同1兆9823億円となり、1日立ち会い としてはともに2月28日を下回って今年最低を記録した。売買代金の2兆円 割れは、1日立ち会いでは昨年12月27日以来。値上がり銘柄数は1449、値下 がり銘柄数は220。

東証業種別33指数の騰落状況では銀行、輸送用機器、電気機器、電気・ ガス、情報・通信、小売、保険など28業種が高い。半面、国際商品市況の下 落を受けて卸売、非鉄金属、海運、鉱業など5業種は安い。

危機ひと段落、「良い」商品下落

金融収縮に対する過度の不安が和らぎ、日経平均はほぼ1カ月ぶりの3日 続伸。東京市場休場中、米国では連邦住宅公社監督局が住宅金融大手に対する 資本規制を緩和、これによって住宅ローン購入拡大による市場安定化への期待 が浮上した。また、米大手証券モルガン・スタンレーの決算も市場予想を上回 った。「金融危機がひと段落したとの見方で、相場が落ち着いた動きとなりつ つある」(大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長)。

さらに、インフレ懸念の後退も相場の押し上げ要因となった。連邦公開市 場委員会(FOMC)の利下げ幅が市場予想より小さく、エネルギー省が発表 した在庫統計で米国の需要減が示されたことで、ニューヨーク原油先物相場は バレル当たり100ドル割れとなるなど急落。金や銅などの価格も下落している。

三井住友アセットマネジメント国内株式アクティブグループの生永正則ヘ ッドは、「年初に原油がバレル当たり100ドル乗せとなった際は、世界的な株 価急落の一因となった」とした上で、今回の商品市況安は景況感悪化に伴う 「悪い下落」ではなく、「過度の資金移動が一服したことに伴う『良い下落』 だ」(同氏)と指摘した。「ドル安・株安・原油高」というこれまでの構図に 変化が出てきた点は、安心感があるという。

売買代金は実質今年最低、海外勢は日本無関心も

もっとも、売買代金と売買高は実質今年最低となるなど、盛り上がりには 欠けた。米国では、休場となる21日(聖金曜日)に絡んでイースター(復活 祭)休暇をとる市場関係者が多い。また、国内でも3月期末を控えて機関投資 家の動きが鈍い。会社側の08年度業績計画を見極めたいとの見方も根強く、 積極的な売買が手控えられている。

財務省が取引開始前に発表した対外・対内証券売買契約等一覧表によると、 先週(9-15日)の外国人による対内証券投資は9930億円と4週連続で売り 越した。売買代金の7割を占める外国人の売買注文が細っており、売り圧力が 低下した面もある。しんきんアセットの藤原氏は、「日銀総裁をめぐる政治の ごたごたが象徴するように、国としての機能が止まっている。外国人投資家と 話していると、日本にまったく無関心になっている」と述べた。

金融や原油安メリット業種が上昇

きょうの相場をけん引した業種群は、2つの好材料に支援された。銀行や その他金融、保険など金融や不動産株は、金融収縮懸念の後退が買い材料。中 でも上げ幅が拡大した不動産株については、不動産市況と金融収縮の先行き不 透明感が重しとなっていたが、「足元の市況は堅調で株価の下げは行き過ぎ」 (しんきんアセットの藤原氏)と評価された。

また、原油安が収益面でメリットになるとしてパルプ・紙株や電気・ガス 株、空運株、繊維株、化学株などが上昇。原油多消費型の代表業種とされるパ ルプ・紙は、「円高で恩恵を受ける数少ない製造業である点も見直し要因」 (三井アセットの生永氏)という。東証1部の業種別上昇率で前営業日比

5.4%高となり、1位。

個別に材料が出た銘柄では、既存店売上の改善傾向などが評価されたダイ エーが急騰して3連騰。小型旅客機を事業化すると20日付の日本経済新聞朝 刊が伝えた三菱重工業も、売買を伴って3日続伸した。自己株式を除いた発行 済み株式数の5.71%に相当する自己株式を購入するリケン、08年3月期末配 当予想を引き上げた損保ジャパンもそれぞれ大幅高。

資源株は急落、昭電工も下げきつい

半面、資源関連株は市況安を背景として急落する銘柄が相次いだ。三菱商 事が売買代金首位で前営業日比5.8%安、丸紅、三井物産、伊藤忠商事など大 手商社がそろって東証1部の下落率上位に並んだ。住友金属鉱山も9.7%安で 東証1部値下がり率4位。石炭価格交渉が長期化の公算と20日付の日本経済 新聞が伝えたことも、三井鉱山や三井松島産業など石炭株の下落につながった。

このほか、UBS証券が投資判断を引き下げた昭和電工が、05年8月以来 の安値となるなど急落。ソニーエリクソンの業績ガイダンスが期待ほどではな いとされたソニーは3日ぶりに反落、連結業績予想を下方修正した東芝は反落。 業績予想を引き下げたすてきナイスグループは東証1部の下落率2位となった。

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