日本株:金融中心に3日続伸、米住宅ローンの安定期待-良い原油安も

午前の東京株式相場は3日続伸。米住宅 ローン市場の安定による過度の信用収縮懸念の後退から、金融株や輸出関連株 を中心に買いが優勢となった。原油安が原料コストの低下につながるとして、 パルプ・紙株や電力株、化学株なども高い。パルプ・紙は午前の東証1部業種 別上昇率でトップとなった。

三井住友アセットマネジメント国内株式アクティブグループの生永正則ヘ ッドは、「個別企業への救済や住宅金融の資本規制緩和など、信用収縮への対 策が少しずつ進み始めていることが市場で多少認識されている」と指摘した。

また生永氏は、原油価格など商品市況の急落についても「景況感悪化に伴 う『悪い下落』でなく、過度の資金移動が一服したことに伴う『良い下落』 だ」(同氏)とし、マーケットに安心感を与える材料だと評価している。

日経平均株価の午前終値は前営業日比102円45銭(0.8%)高の1万2362 円89銭、TOPIXは8.72ポイント(0.7%)高の1205.02。東証1部の売買 高は概算で7億9556万株。値上がり銘柄数は1252、値下がり銘柄数は379。

東証業種別33指数の騰落状況では銀行、電気・ガス、陸運、小売、輸送 用機器、保険など26業種が高い。半面、国際商品市況の下落を受けて卸売、 非鉄金属、海運、鉱業など7業種は安い。

金融危機はひと段落も

金融収縮に対する過度の不安が和らぎ、午前の相場は金融株や輸出関連株 中心に上昇した。米連邦住宅公社監督局は19日、ファニーメイとフレディマ ックに対する資本規制を緩和し、自己資本比率の最低基準上乗せ幅を30%から 20%に引き下げた。これによって住宅ローン担保証券市場に2000億ドルが流 入する道が開かれ、住宅ローン購入拡大による市場安定化への期待が出ている。 また、米調査会社パンク・ジーゲルのアナリストは米金融危機が終了し、銀行 株の下落は投資家にとって「まれにみる好機」だとの見方を示した。

大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長は、「米 大手証券モルガン・スタンレーの決算が市場予想を上回るなど、金融危機がひ と段落したとの見方で、相場が落ち着いた動きとなりつつある」との認識を示 唆。米フィラデルフィア地区の3月製造業景況指数も前月に比べてマイナス幅 が縮小したことから、「来週の米耐久財受注で景況感が安定を示せば、日本株 は戻りを試す可能性がある」と、高橋氏は見ている。

「ドル安・原油高」構図に変化

一方、原油価格の下落も相場にプラス材料と判断された。連邦公開市場委 員会(FOMC)の利下げ幅が市場予想より小さかったほか、エネルギー省が 発表した在庫統計で米国の需要減が示されたことで、19日のニューヨーク原油 先物相場は前日比4.5%安と昨年8月以来の急落。20日も続落となった。金や 銅などの価格も下落している。

外国為替市場では、急激なドル安への流れが一服。ドル・円相場は1ドル =99円台半ばで推移しており、週初の95円台と比べると、円安方向にある。

「年初に原油がバレル当たり100ドル乗せとなった際は、世界的な株価急 落の一因となった」と指摘する三井住友アセットの生永氏は、「ドル安・株 安・原油高」というこれまでの構図に変化が出てきた点は安心感があるとの見 解だ。素材関連企業や製造業にとって、原油を中心とする国際商品市況安はコ スト低下メリットが幅広く波及しそうだ、と予想する。

午前は王子製紙や日本製紙グループ本社を中心に原油多消費型の代表業種 とされるパルプ・紙が東証1部業種別上昇率で首位。同じくコスト低下期待か ら電気・ガスも上昇率上位に並んだ。また、原油高がマージン悪化につながる と懸念されていた化学株も堅調。

資源株は大幅安

半面、商品市況価格の下落は、資源関連株の下げにつながった。東証1部 売買代金首位の三菱商事が前営業日比5.7%安となり、3月に入って初めての 2800円台割れ。住友金属鉱山は7.8%安で1カ月ぶりの安値水準となった。鉱 業が東証1部業種別下落率1位となったほか、卸売、非鉄金属、海運なども軒 並み下げがきつくなり、指数全般の上値を抑えた。

東証1部の下落率上位でも三井松島産業、三井鉱山、大平洋金属、丸紅、 東邦亜鉛、三井物産、伊藤忠商事、日本冶金工業、国際石油開発帝石ホールデ ィングスなど資源関連株が多数入った。

三菱重が3日続伸、昭電工は急落

個別に材料が出た銘柄では、小型旅客機を事業化すると20日付の日本経 済新聞朝刊が伝えた三菱重工業が3日続伸。自己株式を除いた発行済み株式数 の5.71%に相当する自己株式を購入するリケン、08年3月期末配当予想を引 き上げた損保ジャパンもそれぞれ大幅高となった。ゴールドマン・サックス証 券が目標株価を引き上げたオハラは5連騰。

半面、UBS証券が投資判断を引き下げた昭和電工が急落。ソニーエリク ソンの業績ガイダンスが期待ほどではないとされたソニーは3日ぶりに反落し た。連結業績予想を下方修正し、日興シティグループ証券や野村証券が投資判 断を格下げした東芝も大幅安。みずほ証券との合併が再び延期される公算が大 きくなった新光証券は急反落となった。

このほか、クレディ・スイス証券が目標株価を引き下げたヤマダ電機、C LSAアジアパシフィック・マーケッツが格下げした日本精工が軟調。住宅着 工戸数の落ち込みが響いて業績予想を引き下げたすてきナイスグループは東証 1部の値下がり率2位。

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