月例報告:景気回復は「足踏み状態」-判断を2カ月連続引き下げ(2)

大田弘子経済財政政策担当相は19日夕、3 月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。力強さを欠く個人消費に加え、 企業収益の減少を背景に設備投資と生産活動が横ばいとなったことから、基調 判断を「景気回復はこのところ足踏み状態にある」とし、2月の「景気はこの ところ回復が緩やかになっている」から下方修正した。2004年11月-12月以 来の2カ月連続の下方修正となる。

大田経財相は会議後の会見で、景気の現状について「個人消費、設備投資、 生産という3つの重要な項目が横ばいという状態にある」との認識を示した上 で、「これは踊り場的な状況だと判断している」と言明した。さらに、同相は「踊 り場というのは回復過程の中休み」とした上で、「今の時点で、2002年以降の長 い回復が途切れたとはみていない」と強調した。

月例報告は、先行きについては「改正建築基準法施行の影響が収束してい く中で、輸出が増加基調で推移し、景気は緩やかに回復していくと期待される」 と楽観的な見方を示した。経財相も「アメリカ経済が、戻し減税などの効果で 回復すれば、日本経済も回復過程に戻っていくとみている」と語った。

政府は過去の月例経済報告の中で「踊り場」という表現は使っていないが、 02年2月から続いている景気拡大局面で、当時の竹中平蔵経済財政担当相が会 見で、イラク情勢の悪化で米国向け輸出が鈍化した02年12月と電子部品・デ バイスの世界的な在庫調整が起きた04年12月の2度、景気は「踊り場」との 認識を示した経緯がある。いずれも景気はその後、後退局面には陥らずに踊り 場を脱している。

下振れリスク高まる

今回が3度目となる「踊り場」局面で鍵を握るのは、米国経済の減速のペ ースや原油高、円高・株安の動向。このため月例経済報告では、「サブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速、 株式・為替市場の変動、原油価格の動向などから、景気の下振れリスクが高ま っていることに留意する必要がある」と明記し、引き続き警戒感を示した。

先行きについて経財相は「米国経済が今後どうなるかが一番重要だ」と指 摘した上で、「米国経済はまだ減速感が強まっているし、信用不安も底打ち感が ない状態なので、そこが一番の注目だ」と語った。

経財相によると会議の席上、渡辺喜美金融相がサブプライム問題に関連し、 欧米の短期金融市場で流動性の問題などが生じていることに触れ、ドル危機へ の懸念が高まっていることを指摘。その上で、今回の危機をどう食い止めるべ きか、日本銀行の福井俊彦総裁に質問した。

これに対し福井総裁は、現在起きているのは、為替市場の問題だけではな く、株式市場なども含めて、リスク回避姿勢が高まっていると説明。その上で、 金融面の介入を考える前に、①米国経済への信認の回復②金融市場でのリスク 再評価の促進③金融機関の資本充実-など地道な対応が重要と述べたという。

企業部門に陰り

月例報告では、生産について「横ばい」になっていると前月の「増勢が鈍化 している」から変更し、2カ月連続で判断を引き下げた。1月の鉱工業生産指 数(確報)は、電子部品・デバイス、輸送機械などを中心に前月比2.2%減少し た。ただ、内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏は、前月同様に「在庫調整 圧力は高くない」とした上で、過去の景気後退局面とは違うことを強調した。

設備投資についても「おおむね横ばいになっている」とし、前月の「緩や かに増加している」から6カ月ぶりに判断を下方修正。昨年10-12月期の法人 企業統計で、全産業の設備投資額(除くソフトウエア)は前年同期比7.3%減と 3カ月連続で減少し、前期比でも2.7%減となったほか、設備投資の一致指数で ある1月の資本財出荷指数(除く輸送機械)は前月比2.3%減少となった。

原油など素材価格の高騰の影響で、企業収益が圧迫されていることを反映 し、10-12月期の法人企業統計では、全産業の経常利益は2四半期連続で減少。 このため、月例報告では企業収益について「弱含みになっている」とし、前月 の「改善に足踏みがみられる」から3カ月ぶりに判断を変更した。

輸出については、輸出数量指数ベースで、サブプライム問題の影響により 米国向けが落ち込んだものの、アジア・欧州向けが堅調なことから、「緩やかに 増加している」との判断を据え置いた。

個人消費・住宅

国内総生産(GDP)の6割弱を占める個人消費については、「おおむね横 ばいとなっている」との判断を維持した。内閣府が需要側と供給側の統計を総 合し指数化した消費総合指数は、1月に前月比0.3%増加したものの、3カ月移 動平均でみると前月比マイナス0.0%となっている。

西崎氏は、12月は暖冬の影響で冬物衣料品の販売などが不振だったが、1 月には気温が低下し反動増となったと指摘。しかし、2月は「うるう年」で1 日多かったにもかかわらず、関東地方で日曜日に大雪が降るなどの影響で、個 人消費はあまり伸びていないとの認識を示した。

一方、改正建築基準法の影響で、前年比で減少が続いている住宅建設につ いては、「おおむね持ち直している」とし、前月の「持ち直しの動きがみられる ものの、依然として低い水準にある」とから上方修正した。雇用については、「厳 しさが残る中で、改善に足踏みがみられる」との前月の判断を踏襲した。

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