北京オリンピック:選手ら大気汚染に危機感-ぜんそくで出場見送りも

マラソンの世界記録保持者、エチオピアの ハイレ・ゲブレシラシエ選手(34)は北京のスモッグと夏の蒸し暑さに非常に 驚き、北京オリンピックのマラソン競技への出場を取り止めた。医療関係者ら は、同選手が心配するのも無理はないと語る。

ゲブレシラシエ選手は、猛練習がきっかけでぜんそくを患っており、大気 汚染の影響で症状が悪化した。練習が原因でぜんそくの症状を持つ選手は、北 京では危険な状況にさらされる可能性が高い。石炭火力発電所から排出される 煙や建設現場から出る粉じん、自動車の排気ガスが大気中に充満しているから だ。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校で大気汚染の肺に対する影響を研 究するジョン・バルメス医師は「大気汚染がかなり深刻な場合、ゲブレシラシ エ選手は入院が必要になる可能性もある」と指摘。同選手が「どのような状況 になるか心配するのは当然だ」との見方を示す。

オリンピック選手の25%がぜんそくの症状を抱えている。ぜんそくにかか ると気管が腫れ、粘液が過剰に分泌され、筋肉が収縮するため酸素の供給が減 少する。オーストラリアのオリンピックチームを担当するぜんそくの専門家、 カレン・ホルツァー氏によると、軽度の発作でも肺機能が約10%低下し、深刻 なケースでは50%以上低下することもある。

ゲブレシラシエ選手は先週、北京オリンピックでマラソン競技に出場すれ ば2012年のロンドン・オリンピックに出場できる可能性が低くなるとして、北 京では1万メートルの競技にのみ出場する計画であることを明らかにした。同 選手の代理人であるジョス・ヘルメンス氏は、過剰な練習を積んだマラソン選 手は身体へのダメージが長期化し、選手生命が短くなる可能性があると語る。

ヘルメンス氏は「極端な状況であれば、危険性は非常に高い」との見方を 示す。同氏が担当する選手は、1996年と2000年に開催されたオリンピックの1 万メートル競技で金メダルを獲得した。

バルメス医師によると、ぜんそく患者が大気汚染の深刻な環境で激しい運 動をした場合の長期的な影響については解明されていない。

170億ドル

北京市は、8月8-24日に予定されているオリンピックの開催までに大気 の状態を改善するため170億ドル(約1兆6800億円)を支出する計画だ。北京 市によると、この大気汚染改善策により、青空が広がる「ブルー・スカイ・デ ー」は2007年に246日と、1998年の100日から増加した。

北京の吉林副市長は先週、「8月には空気がきれいになることを約束するの で安心してほしい」と述べた。

北京市によると、18日正午までの24時間の北京の大気汚染指数は343(重 度の汚染)だった。世界保健機関(WHO)が推奨する大気汚染指数の上限は 50となっている。同指数は、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊微粒子などによる 汚染濃度を示す。

国際オリンピック委員会(IOC)は17日、大気の状態が悪いため、オリ ンピック開催中に一部の選手が危険な状態にさらされる可能性があるとの見方 を示した。IOC医療委員会のアルネ・リングビスト委員長は声明で、大気汚 染が原因で一部の競技が予定通り開催できない場合に備えて、IOCが緊急時 用の計画を作成していることを明らかにした。

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