ヘッジファンドが新しい賭けに出る-狙いはサブプライムローン投資

ヘッジファンド運用者のスティーブ・モイ ヤー氏は2月に、不動産業者ら4000人に混じってカリフォルニア州南部で5時 間に及んだ住宅競売に出席した。タキシード姿の主催者が差し押さえ住宅をたた き売る間、モイヤー氏はメモを取り続けた。過去26年で最悪の住宅不況から金 を稼ぐための調査活動だ。

同氏が70億ドル(約6960億円)の資産運用に携わるタネンボーム・キャ ピタル・パートナーズは、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危 機に打ちのめされた金融機関から住宅ローン債権や関連証券を先を争って購入 しようとしている70を超えるヘッジファンドの1つだ。この中にはブラックス トーン・グループやゴールドマン・サックス・グループ傘下のヘッジファンドが含 まれる。

カリフォルニア州を拠点とするタネンボームは住宅市場関連の証券投資を 検討しているが、モイヤー氏は「リスクは、すべての損失が吐き出される前に早 過ぎる投資を行うことだ」と指摘。「本当にどこが底かを見極めるのは難しい」 と語った。

収益を上げられる投資戦略がしぼみ、利益が消え行くなかで、ヘッジファン ドは賭けに出ている。ヘッジファンド・リサーチによれば、業界の今年1-2月 の運用成績はマイナス0.5%だった。2007年は平均でプラス10%と、S&P 500種株価指数の上昇率のほぼ倍だった。

浄化の年か

ヘッジファンドに助言するライスター・ワトソン・マネジメント(ニューヨ ーク)のマネジングディレクター、マーク・フリード氏は「数年に一度、弱者が 淘汰(とうた)される浄化を経験するが、今年はその年に当たっているのかもし れない」と語る。

住宅市場の落ち込みを逆手に取りたいと、ヘッジファンド各社はこれまでに 少なくとも計200億ドルの資金を集めた。傘下ファンド、グローバル・アルファ の成績が昨年にマイナス約40%となったゴールドマン・サックスは、資産計45 億ドルのディストレスト債ファンドを2本立ち上げた。債券ファンド最大手、米 パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は30億ドルを 調達した。

住宅ローン担保証券(RMBS)投資をにらむヘッジファンドにとって、資 金の調達は投資よりも簡単だ。この業界で220億ドルの運用資産があるGSC グループ(ニュージャージー州)の主任クレジットオフィサー、ダン・カストロ 氏は、最大でプラス30%の成績を生み出す水準まで価格が下がらなければ、一 部ヘッジファンドは購入に踏み切らないだろうと指摘する。

サブプライム市場の崩壊を予想して昨年に少なくとも20億ドルを稼いだ米 投資会社のポールソンと組み、利益を上げたロンドンのファンド・オブ・ファン ズ、カルロス・グローバル・マネジメントの創業パートナー、ナイジェル・ブラ ンシャード氏は底打ちを待ち続けるヘッジファンドに関心はないと言い切る。そ うしたファンドは「虫が巣にかかるのをじっと待つクモ」と同じなのだという。

ただ、業界の年初来の運用成績は1990年以来で最悪。ヘッジファンドの多 くには、虫を待ち続けるしか選択肢がないのかもしれない。

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