【米経済コラム】FRB、地雷原をつま先立ちで歩く-J・ベリー

米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、 連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、大半の投資家予想より小幅な0.75ポ イントの利下げを決定した。FOMC後の声明では、低成長の影響やインフレ 高進のほか流動性不足に対する懸念を示した。

この決定に対し、フィッシャー・ダラス連銀総裁とプロッサー・フィラデ ルフィア連銀総裁は「より控えめな措置が望ましい」として反対票を投じた。

三菱東京UFJ銀行の上級金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏(ニュ ーヨーク在勤)は「FOMCは初めてこの利下げ幅で十分だという自説を譲ら ない姿勢を示した」と指摘。「バーナンキFRB議長が市場の期待に応えなかっ たのは、1回目の利下げを実施した昨年9月以降初めてだ」と述べた。

FOMCは声明で「金融市場は依然としてかなりの圧迫を受けている」と 指摘したが、今回ばかりは市場の期待に背くべきと判断したのだろう。通常な ら0.75ポイントは、異例の大幅利下げということになる。

少なくとも株式市場がFOMCの比較的控え目な措置を歓迎したように見 えたのは興味深い。ダウ工業株平均は声明の発表直後に300ドル以上も上昇。 その後は一時、上昇分の半分以上を失ったが再び持ち直し、前日比420ドル41 セント(3.5%)高の1万2392ドル66セントで取引を終えた。

追加利下げの余地は限定的

FOMCはこれで、住宅不況が経済全体に与える影響を抑えるため、政策 金利を5.25%から2.25%まで引き下げたことになる。追加利下げの余地は狭ま った。FOMCメンバーもきっと気に掛けていたに違いない。

今回の声明は「インフレは高まっており、インフレ期待の高まりを示す指 標もある」と指摘。前回1月29、30日のFOMC後の声明よりも現在と将来の インフレに対する懸念を鮮明に示した。

さらに、エネルギーなど商品価格の落ち着きや景気減速がインフレを後退 させるとみている一方で「インフレ見通しに対する不透明感は増した」との認 識も示した。

「下振れリスク」残る

ドル相場の影響も見落とせない。FOMC後の声明で決して言及されない 影響だ。ドルは数年間にわたり下落局面にある。FOMCが半年前に政策金利 の引き下げを開始した一方で、欧州中央銀行(ECB)が据え置きを続けてい ることから、ドルの下落ペースは加速している。

ドルは声明発表前、対ユーロで1ユーロ=1.5801ドルの過去最安値を記録。 その後1.5642ドルに持ち直した。

インフレに対する懸念が強い一方、FOMCは声明で計3ポイントの利下 げが実施された上に、市場流動性を改善するためのさまざまな措置が取られた にもかかわらず「経済成長には下振れリスクが残っている」との見方を示した。

これは、FOMCが利下げを打ち止めるべきではないと考えていることを 示唆している。

フェデラルファンド(FF)金利先物を基にした予想によると、4月29、 30日に開催される次回のFOMCで0.5ポイントの利下げが実施される確率は ほぼ50%。0.25ポイントは33%となっている。0.75ポイント利下げの確率は それを下回る。

リセッション?

次回のFOMCでは、全メンバーが今年と来年の最新見通しを示す。米国 はすでにリセッション(景気後退)入りしたとみる民間エコノミストが増えて いる一方、当局者はこれまで誰もそう公言していない。

ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授は先週、米経済が リセッションに入ったとの認識を示すとともに、第2次世界大戦以降で最悪に なる恐れがあると指摘した。

確かに今後数カ月の信用動向に対する不透明感は強いが、深刻な問題に発 展する可能性はそれほど高くはない。その原因となる大規模な過剰在庫や家計 の悪化といった不均衡は限られている。

米経済に直接的な影響を与えている住宅不況の中核にある問題は、新築住 宅建設の減少だ。しかし住宅着工件数は2005年のピークから年間ほぼ110万戸 のペースにまで落ち込んでおり、今後の減少余地は小さい。

さらに、マクロエコノミック・アドバイザーズによると、1-3月期の米 国内総生産(GDP)は前期比年率1%成長の見通しだ。

インフレ警戒

もしこの見通しが的確だとすれば、2四半期連続で非常に弱い成長だった ということになる。それでもリセッションの始まりということにはならない。 深刻なリセッションにならないことは言うまでもない。

クリアビュー・エコノミクスのエコノミスト、ケン・メイランド氏は、1 -3月期のGDPが小幅増加になるのか小幅減少になるのか分からないが、い ずれにしろ深刻なリセッションは予想していない。

同氏は「現在の低金利が永遠に続くと思ってはならない。さもなければ、 突然不快な現実に驚かされることになろう。インフレの勢いは強まった。今後 もさらに強まる見込みだ。これがFOMCの次の課題だ」と指摘した。

FOMCメンバーも重々承知だろう。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は、同氏自身の見解です)

-- Editor: William Ahearn, James Greiff

--* 参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 柴田 広基 Hiroki Shibata +81-3-3201-8867 hshibata@bloomberg.net Editor:Masami Kakuta、Eiji Toshi 記事に関する記者への問い合わせ先: John M. Berry in Washington at +1-202-624-1962 or jberry5@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: James Greiff at +1-212-617-5801 or jgreiff@bloomberg.net.

企業別ニュース:

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE