3月18日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を追加します)

○米国株:急伸。S&P500種株価指数は2002年10月以来の大幅な上昇率と なった。リーマン・ブラザーズ・ホールディングスとゴールドマン・サックス・ グループの決算が市場予想を上回ったため、投資銀行が破たんするとの懸念が弱 まり、買いが殺到した。米連邦公開市場委員会(FOMC)が0.75ポイントの 利下げを実施したことも支援材料。

リーマンは過去最大の上昇率となり、金融株をけん引。S&P500種株価 指数の金融株指数は2000年以来の大幅高となった。ゴールドマンは過去9年 で最大の上げを記録した。FOMCが政策金利を0.75ポイント引き下げ

2.25%に設定したため、S&P500種の全10セクターが1%以上の上昇を遂 げた。ベアー・スターンズの流動性悪化を受け、前日までの2営業日で7670 億ドルの時価総額が消失したが、この日の上昇でそのほとんどを回復した。

S&P500種株価指数は前日比54.14ポイント(4.2%)高の1330.74で 終了。ダウ工業株30種平均は420.41ドル(3.5%)上昇し12392.66。上昇 幅は過去4番目。ナスダック総合指数は91.25ポイント(4.2%)上げ2268.26 で終えた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は16対1。

J&Wセリグマンの市場ストラテジスト、ダグ・ぺタ氏は「投資銀行の流 動性騒動は終わったみたいだ。17日朝には4大証券会社の一角が崩れるとの思 惑があったが、4大証券のままで週を終えることは確かなようだ。FOMCの 利下げ決定は二の次になった感がある」と語った。

ゴールドマン、リーマン

新たなフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は、2004年12月の定例 会合で設定された水準と等しい。FOMCは昨年9月18日以降、利下げを6回 実施。公定歩合を昨年8月中旬から8回切り下げている。

ゴールドマンは16%高。2007年12月-08年2月(第1四半期)決算は、 純利益は15億1000万ドル(1株当たり3.23ドル)と、前年同期の32億 ドル(同6.67ドル)から減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナ リスト17人の予想平均は1株当たり利益2.59ドルだった。予想レンジは1.95 -3.40ドル。

前日に19%下げたリーマンは46%高。純利益は4億8900万ドル(1株当 たり81セント)と、前年同期の11億5000万ドル(同1.96ドル)を下回った。 1株当たり利益はブルームバーグがまとめたアナリスト16人の予想平均72セ ントを上回った。

パンク・ジーゲルのアナリスト、リチャード・ボーブ氏はベアー・スター ンズのようにリーマンも経営が悪化するとの見方は「間違っている」と指摘。 両社とも住宅ローン関連証券に携わっているものの、リーマンがベアー・スタ ーンズよりも海外事業や資産運用、大型合併・買収(M&A)などで多角化し ていることを理由に挙げた。

シティグループやJPモルガン・チェース、メリルリンチなどほかの金融 株も上げた。

ナイジェル・ダリー氏らモルガン・スタンレーのアナリストは18日付のリ ポートで、米金融株の「底入れ」が近いとの見方を示した。さらに、「金融機 関は信用サイクルの影響を受けやすく、米利下げがその影響を完全に打ち消す ことはないとみられる。しかしリスクの一部は既に株価に織り込まれている」 と指摘した。

ベアー・スターンズ

前日に84%下落したベアー・スターンズは23%上昇した。買収金額が上昇 するとの思惑が背景にある。JPモルガンは16日、ベアー・スターンズを総額 2億4000億ドル、1株当たり2ドルで買収することで合意した。

PNCウェルス・マネジメント(フィラデルフィア)のチーフ投資ストラ テジスト、ウィリアム・ストーン氏は「ベアー・スターンズの問題に市場参加 者がくぎ付けになっていたため、すべての証券会社の流動性状況が悪化してい るわけではないとの見方が広がったことは大きい。金融システム全体が崩壊す るかもしれないと考えるほど心理が悪化していたため、さほど悪くはないとの 思惑はプラスに作用した」と述べた。

○米国債:相場は下落。連邦公開市場委員会(FOMC)が決定した利下げ幅が 市場予想を下回ったほか、利下げ後の声明で「インフレ期待の高まりを示す指標 もある」と指摘したことから、債券は売られた。

償還期限10年以下の米国債利回りはいずれも上昇。FOMCはフェデラル ファンド(FF)金利誘導目標を0.75ポイント引き下げて2.25%に設定した。 金利先物市場動向によると、利下げ発表前は1ポイントの利下げが90%見込まれ ていた。このほか米連邦準備制度理事会(FRB)は16日に公定歩合の緊急引 き下げを実施し、プライマリーディラー(政府証券公認ディラー)に公定歩合で の借り入れを認める措置を発表した。

バークレイズ・キャピタルの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は、 「米金融当局は他の方法で流動性の問題に対処しようとしている。年末までには 金利水準は全体的に今よりも上昇しているだろう」と語った。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後3時55 分現在、2年債利回りは前日比27ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上昇して1.61%。2年債(表面利率2%、2010年2月償還)価格は17/32下 げて100 24/32。10年債利回りは15bp上昇して3.46%だった。

追加利下げ見込む

2年債と10年債の利回り格差は12bp縮小して1.86ポイント。イールド カーブのフラット化はトレーダーが追加利下げを見込んでいることを示唆する。

フィッシャー・ダラス連銀総裁とプロッサー・フィラデルフィア連銀総裁は より小幅の金融政策調整を主張して、この日の議長案に反対票を投じた。

10年債と10年物インフレ連動債(TIPS)の利回り格差は12bp拡大 して2.40ポイント。拡大幅は2003年1月8日以来で最大だった。

FRBはまた公定歩合を0.75ポイント引き下げ2.5%に設定した。公定歩 合は通常FF金利を1ポイント上回ってきたが、昨年8月に流動性引き締めに対 処するためその差を0.5ポイントに縮小し、さらに今月16日の緊急引き下げで はその差をさらに縮小させた。

午前に発表された米証券ゴールドマン・サックス・グループとリーマン・ブ ラザーズ・ホールディングスの12-2月期利益がアナリスト予想ほど悪化しなか ったことから、信用市場の損失拡大懸念が緩和され、債券は売られた。

米金融当局の対策

FRBは公定歩合の緊急引き下げやプライマリーディーラによる公定歩合で の借り入れ措置、さらにJPモルガン・チェースのベアー・スターンズ買収を支 援する措置も明らかにしている。

メリルリンチのデータによると、米国債の投資リターンは年初来で5.1%。 1-3月期の四半期リターンとしては2002年7-9月期以来で最高になる見通 しだ。2007年初めからこれまで、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住 宅ローンに絡む損失や評価損として世界の金融機関が計上した金額は総額1950 億ドルに上る。

サブプライム住宅ローンの返済遅延や債務不履行の拡大に起因する信用問題 が昨年6月に生じて以来、2年債利回りは3.75ポイント以上落ち込んだ。

○NY外為:ドルが円とユーロに対して上昇。対円では9年ぶりの大幅高 となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)では景気てこ入れと金融 市場の信頼回復を目指して0.75ポイントの利下げが実施された。

朝方は証券大手のゴールドマン・サックス・グループやリーマン・ ブラザーズ・ホールディングスの第1四半期利益が予想より良い内容だ ったことを手がかりに株価指数が上昇。これを受けてドルは対円で堅調 に推移していた。午後に入り、FOMCの利下げ幅が多くのトレーダー が予想していた1ポイントより小幅にとどまったことが好感され、ドル はユーロに対して5営業日ぶりに反発した。

ゴールドマン・サックスの上席通貨ストラテジスト、ジェンズ・ノ ードビグ氏は「システミックな悪化への懸念が弱まった。ドルのネガテ ィブ要因が一つ除かれたことは明らかだ」と語った。

ニューヨーク時間午後4時41分現在、ドルは円に対して前日比

2.5%高の1ドル=99円75銭。1999年1月以来の大幅な上げとなった。 前日は同97円33銭。前日は証券大手ベアー・スターンズの身売りを材 料に、ドルは一時95年8月以来の安値を付けていた。18日のドルは対 ユーロで1ユーロ=1.5628ドルと、前日の1.5729ドルから上昇。前日 はユーロ導入以来の安値を更新していた。円は対ユーロで1ユーロ=155 円80銭と、前日の同153円7銭から下落した。

円は主要16通貨全てに対し下落した。円を調達通貨とするキャリー トレードが復活したことが背景で、対ブラジル・レアルでは4.5%超下 落した。

金利差

FOMCが発表した声明は、この日の措置が「市場の流動性促進を 目指したこれまでの措置と合わせ、景気が時間をかけて緩やかに成長す るのを助け、経済活動へのリスク緩和に貢献する」と指摘。「しかしな がら、経済成長には下振れリスクが残っている」と続けた。

2.25%への利下げはブルームバーグ・ニュースがまとめた調査の予 想中央値と一致した。18日のFF金利先物相場はただ、1ポイントの利 下げ確率がほぼ90%との見方を示していた。一方のユーロ圏政策金利は 6年ぶり高水準の4%に設定されている。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・フ ラヌロビッチ氏は「金利差はドルにとってそれほど不利ではなくなっ た」と指摘。「外為市場では1ポイントの利下げが完全に織り込まれて いた」と述べた。

FOMCメンバーの2人はより小幅の金融政策調整を主張して、

0.75%の利下げに反対票を投じた。さらにこの日のFOMC声明は「イ ンフレ見通しに対する不透明感が増した」と指摘した。

ショートスクイーズ

オンライン外為取引会社ゲイン・キャピタル傘下のフォレックス・ ドット・コムの為替チーフストラテジスト、ブライアン・ドラン氏は 「予想より小幅な利下げを受けて、ドルのショート(売り持ち)ポジシ ョンの多くが買い戻された」と述べた。

円はポンドに対しては前日比2.9%安、対ニュージーランド(N Z)ドルでは3%下げた。円と同じくキャリートレードの調達通貨とし て使用されることの多いスイス・フランも主要通貨に対して下落した。

スタンダード・チャータード銀行のシニア通貨ストラテジスト、マ イク・モラン氏は、「FOMCは市場を圧迫する懸念を和らげるために 最小限のことを実施した」と述べた。また、朝方に比べて「リスクセン チメントはやや良くなっている」と語った。

○英国債:相場は下落。政府報告で英インフレ率が9カ月ぶり高水準に加 速したことが示され、イングランド銀行(BOE)の利下げ余地が限られ るとの見方から、英国債が下落した。

10年債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)上昇し4.38%。同国債(2018年3月償還、表面利率5%)価格 は0.65ポイント下落し104.95。

2年債利回りは同6bp上昇し3.73%と、4年半ぶりの低水準から 反発した。

○欧州債:2年債相場が下落。利回りは2カ月ぶりの大幅上昇となった。米 連邦公開市場委員会(FOMC)が金融市場の崩壊回避に向け大幅な利下げ を実施するとの思惑から株価が上昇したため、売りが優勢になった。

2年物独連邦債の利回りは2006年2月以来の低水準から上昇した。フェ デラルファンド(FF)金利先物市場ではFOMCが1ポイントの利下げを実 施するとの思惑が強まっている。世界的に株価が上昇し、国債需要が弱まった。

DZ銀行の債券ストラテジスト、グレン・マルシ氏(フランクフルト在 勤)は「FOMCが1ポイントの利下げを実施してもさほど意外ではない。状 況がどこまで悪くなるかに注目が集まっている。金融機関が今年中に立ち直る のかどうか、あるいは危機が長期化するのかどうかが焦点だ」と述べた。

ロンドン時間午後5時45分現在、2年債利回りは前日比18ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.12%。一時は21bp上昇し、

3.15%を付けた。同国債(2010年3月償還、表面利回り3%)価格は0.33 ポイント下落し99.78。10年債利回りは同6bp低下の3.75%。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

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