日銀総裁候補の田波氏:金融政策は予断を排し果断に―所信聴取(3)

19日で任期満了となる日本銀行の福井俊 彦総裁の後任候補である田波耕治国際協力銀行総裁は18日午後、衆院議院運営 委員会で行われた所信聴取で、金融政策運営について「内外経済で不確実性が高 まっていることから、種々のリスク要因を綿密に分析し、予断を排し、政策判断 を果断に行うことが求められている」と述べた。

副総裁候補の西村清彦日銀審議委員も「リスクが現実化する蓋然(がいぜ ん)性が高まるような場合には、その影響の深さ、広がり、期間を勘案して柔軟 な対応を考えていく」と述べた。

政府は同日午前、福井総裁の後任として田波氏、副総裁に西村日銀審議委 員を提示した。政府は7日、総裁に武藤敏郎副総裁、副総裁に元日銀理事の白川 方明京大大学院教授と、経済財政諮問会議の民間議員である伊藤隆敏東大大学院 教授を充てる人事を提示したが、白川氏以外は野党が多数を占める参院で同意が 得られず、この日の再提示に至った。

これに伴い、衆院議院運営委が田波氏と西村氏の所信聴取を行った。この 後行われる質疑応答は非公開。午後5時から参院議院運営委が同様の所信聴取と 質疑応答を行う。

内外情勢は厳しさを増している

田波氏は世界経済について「現在、新興国が比較的堅調な成長を維持して いることもあり、緩やかに減速しながらも拡大を続けていると思われるが、米サ ブプライム(信用力が低い個人向け住宅)ローン問題を背景とする米国経済の減 速や金融市場の大きな変動、原油価格の動向等、下振れリスクが高まっている」 と述べた。

田波氏は日本経済については「改正建築基準法の改正に伴う住宅投資の落 ち込みは終息に向かいつつあるものの、石油、原材料高などにより中小企業の収 益環境は厳しくなっている。物価の上昇もみられる」と指摘。その上で「内外の 情勢は厳しさを増している」と語った。

田波氏は一方で、「バブル崩壊後の十数年間、何より一般の方々のご努力 により、過剰債務、過剰設備等の問題が解消され、金融システムの安定性は高ま っている。日本経済は人口減少という問題を抱えているものの、世界経済の減速 にも対応し、成長を持続する堅固な力を持っていると思っている」と述べた。

極めて注意深い政策運営が必要

一方、西村氏は「日本経済は現在、足元のデータをみると、減速しつつも 基調としては緩やかな拡大が続いている。しかし、同時にサブプライム問題に端 を発した国際金融市場の動揺、原材料高を背景とする中小企業の収益環境の悪化 やガソリン、食料品の値上がり、特に米国で顕在している経済の減速傾向の強ま りなど、数多くのリスク要因を抱えている」と語った。

西村氏はさらに「こうした中で、日本経済が物価の安定の下で経済のしっ かりとした成長を実現していけるよう、金融政策の面でも極めて注意深い政策運 営が必要だと考えている」と指摘。

その上で、当面の金融政策運営について「第1に、現在の景気を動かす景 気のメカニズムに変調が見られないのであれば、これまでの基本的な考え方を維 持するのが正しいと思う。第2に、先ほど述べたリスクが現実化する蓋然性が高 まるような場合には、その影響の深さ、広がり、期間を勘案して柔軟な対応を考 えていく」と述べた。

――田波氏の主な発言は次の通り。

「私は平成13年に国際協力銀行の副総裁を、昨年10月に総裁を拝命した。 現在、わが国は激動する国際経済情勢の中で、特にエネルギー、企業の国際競争、 地球環境、さらには開発途上国に対する経済協力といった喫緊の課題に直面して いる。国際協力銀行においては、資源産出国との関係を評価しながら、わが国の 資源関連企業によるエネルギー、資源確保の支援を行い、またわが国企業の輸出 競争力の確保、海外事業展開を支援することに努めてきた」

「その間、私自身、総裁、副総裁を通じて36回の海外出張をして、国際通 貨基金(IMF)・世銀総会、ダボス会議等に出席し、世界経済が激動する中で そういった議論にも参加して、日本の立場を説明してきたつもりだ」

「現在、世界経済は新興国が比較的堅調な成長を維持していることもあり、 緩やかに減速しながらも拡大を続けていると思われるが、米サブプライム・ロー ン問題を背景とする米国経済の減速や金融市場の大きな変動、原油価格の動向等、 下振れリスクが高まっている。その中で、日本経済は改正建築基準法の改正に伴 う住宅投資の落ち込みは終息に向かいつつあるものの、石油、原材料高などによ り中小企業の収益環境は厳しくなっている」

「物価の上昇もみられる。このように内外の情勢は厳しさを増している。 しかし、バブル崩壊後の十数年間、何より一般の方々のご努力により、過剰債務、 過剰設備等の問題が解消され、金融システムの安定性は高まっている。日本経済 は人口減少という問題を抱えているものの、世界経済の減速にも対応し、成長を 持続する堅固な力を持っていると思っている」

「金融政策運営の基本的な考え方は、このような日本経済の力を発揮させ るためには、日銀法にあるように物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全 な発展に資するとの理念に基づき、金融政策運営を行っていくことが重要だ。そ の際、現在の内外経済で下方リスク、不確実性が高まっていることから、種々の リスク要因を綿密に分析し、予断を排し、政策判断を果断に行うことが求められ ている」

「また、国民、市場との対話を十分に行うことを通じて日銀法改正によっ て高められた政策の独立性と透明性を確保し、国民の皆様に信認をいただけるよ うに努めたい」

――西村氏の主な発言は次の通り。

「日本経済は現在、足元のデータをみると、減速しつつも基調としては緩 やかな拡大が続いている。しかし、同時にサブプライム問題に端を発した国際金 融市場の動揺、原材料高を背景とする中小企業の収益環境の悪化やガソリン、食 料品の値上がり、特に米国で顕在している経済の減速傾向の強まりなど、数多く のリスク要因を抱えている」

「こうした中で、日本経済が物価の安定の下で経済のしっかりとした成長 を実現していけるよう、金融政策の面でも極めて注意深い政策運営が必要だと考 えている。これまで金融政策決定会合における執行部から発表される多種多様な 情報を基に自分なりの経済、物価の現状認識と先行きの見通しを構築し、それに 応じて最も適切と考える政策を提案してきた」

「当面の金融政策に関する私の考え方については、これまで講演等を通じ て明らかにしている。すなわち、第1に、現在の景気を動かす景気のメカニズム に変調が見られないのであれば、これまでの基本的な考え方を維持するのが正し いと思う。第2に、先ほど述べたリスクが現実化する蓋然性が高まるような場合 には、その影響の深さ、広がり、期間を勘案して柔軟な対応を考えていく」

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