米リーマン:フルドCEO、1998年の苦い経験から力強い成長遂げる

米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホール ディングスのリチャード・フルド最高経営責任者(CEO、61)は、1998年7 月のその日のことをずっと悔やんでいる。同社が債務返済不能に陥る寸前だと の連日のうわさに悩まされながらも、同社が健全だと知りつつ、何も言わず、 何の行動も取らないことに決めたのだった。

それ以来、同CEOは同僚らに対し何度も、「私は頭を低くして、より懸命 に働いたが、それは大きな間違いだった」と語ってきた。リーマンの株価は続 く4カ月間に63%下落し、同CEOは遅まきながら銀行を安心させることに勤 務時間のすべてを費やした。

フルドCEOは今、同業の米ベアー・スターンズを経営破たんの瀬戸際に 追い込んだ信用危機を乗り切るために備えていることをちゅうちょせずに示さ なくてはならない。ベアー・スターンズの資金繰りが悪化しているとの観測は、 先週2日間で顧客や債権者による170億ドル(約1兆6500億円)相当の資金 引き揚げにつながり、同社の準備金は底をつき、米金融当局の緊急支援への依 存を余儀なくされた。

14日の米株式市場で、ベアー・スターンズの株価が47%安と過去最大の下 げを記録するなか、投資家がリーマンに対して懐疑心を示したことから、リー マンの株価は15%下落した。同社の海外事業を拡張し、株取引を拡大し、人員 削減とサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン部門を閉鎖してきた フルドCEOは、銀行や顧客に対し、リーマンの財務状況が健全であることを 再び納得させなくてはならないかもしれない。

米連邦準備制度理事会(FRB)の元理事で、現在はボストン大学スクー ル・オブ・マネジメントで金融学を教えるマーク・ウィリアムズ教授は「リー マンは恐らくリスク管理で最も優れており、過去何年にもわたり事業多角化を 進めてきた」と指摘する一方、「もはやこれはベアーやリーマンに関する問題で はない。金融制度への信頼感の悪化や欠如の問題だ。ウォール街の事業モデル は手元資金を基にしており、業界が依存する流動性はうわさにより、極めて急 速に枯渇している」と述べた。

米証券大手で今年最悪のパフォーマンス

リーマン株の今年のパフォーマンスは米証券大手4社のうち最悪で、2008 年のアナリストの1株利益(EPS)予想の5倍で、簿価をわずかに下回る水 準で取引されている。これに比べ、時価総額で米証券最大手ゴールドマン・サ ックス・グループの株価はEPS予想の6倍、簿価の1.7倍の水準だ。

オッペンハイマーのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏によれば、 今のところ、証券業界でリーマンが最も買い得である可能性が高い。

UBSのアナリスト、グレン・ショアー氏は「リーマンは考えられている より多様化した事業モデルを持っている」と指摘。同氏は顧客に対し、リーマ ン株への投資を勧めている。「同社には投資家が恐れているエクスポージャー (リスク資産保有)が多いが、現在取引されている水準では、下振れリスクは この日のバリュエーションに反映されている」と述べた。

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