ドルが大幅続落、一時約12年半ぶり96円台に突入-金融不安再燃で

午前の東京外国為替市場では、ドルが大幅 続落。ドルは対円で一時、約12年6カ月ぶりに1ドル=96円台に突入し、対ユ ーロでも史上初の1ユーロ=1.58ドル台を付けた。前週末に発表されたニュー ヨーク連銀などによる米証券ベアー・スターンズへの緊急資金支援を受け、金 融不安が再燃。朝方にはベアー・スターンズの買収や米緊急利下げが発表され たが、市場の不安心理は払しょくされず、ドルの下値を試す動きが加速した。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替営業部長の斉藤裕司氏は、「非常にボ ラタイル(変動の激しい)な相場で、どういう材料でどういうタイミングで出 てくるかが分からないと、市場は疑心暗鬼になっている」と指摘。欧米のイー スター休暇を週末に控え、週後半にかけては市場参加者が少なくなり、持ち高 調整に伴うドルの買い戻しが入る可能性もあるとしながらも、悪材料が出た場 合は、一段のドル安もあり得るとみている。

NY連銀などがベアー・スターンズに緊急融資

米銀大手JPモルガン・チェースとニューヨーク連銀は14日、ベアー・ス ターンズに最大28日間、資金を供給する緊急融資枠を設定した。ベアー・スタ ーンズの流動性が「大幅に悪化した」ことが理由。ベアー・スターンズのアラ ン・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は声明で、「当社の流動性は過去24 時間に大幅に悪化した」と述べた。

ベアー・スターンズへの緊急融資により、市場では信用収縮の深刻化が改 めて意識される格好となり、14日の米株式相場は急反落。外国為替市場ではド ル売りが加速し、週明け早朝の取引では対円で1ドル=98円前半までドル安が 進行。対ユーロでも史上初の1ユーロ=1.57ドルに突入した。

その後、JPモルガンによるベアー・スターンズの買収や米連邦準備制度 理事会(FRB)による公定歩合の緊急利下げが発表されると、ドルの買い戻 しが強まり、ドル・円は一時、99円台を回復。ユーロ・ドルも1.56台へ値を戻 した。しかし、すぐにドル売りが再燃し、ユーロ・ドルは1.5800ドルを突破す ると、一時1.5807ドル(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)のドル最安 値を記録。ドル・円も98円ちょうど、さらに97円ちょうどを割り込んで、一 時、96円58銭と1995年8月28日以来の安値を付けた。

FRBが公定歩合の緊急利下げ発表

FRBは16日(日本時間17日午前)、公定歩合を0.25ポイント引き下げ

3.25%とすることを決定した。また、プライマリーディーラー(米政府証券公 認ディーラー)が公定歩合で借り入れることを可能にする措置を発表した。担 保として「幅広い」投資適格級の証券を受け入れる。

FRBはまた、公定歩合が適用される窓口貸し出しの最長期間を30日から 90日に延長。さらに、JPモルガン・チェースとベアー・スターンズが発表し た資金融通の取り決めを承認したことを明らかにした。

ソシエテ・ジェネラル銀の斎藤氏は、あす18日に開催される米連邦公開市 場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が0.75ポ イント引き下げられるというのがコンセンサスとなっているが、「今回の公定 歩合の緊急利下げを受け、1ポイントの利下げの可能性も残る」と語っている。

実際、FF金利先物相場によると、18日のFOMCでFF金利誘導目標が 1ポイント引き下げられる確率は5割超まで上昇しており、0.75ポイントの利 下げの確率をわずかに上回っている。

ドルに下値不安

JPモルガン・チェースは16日、ベアー・スターンズを買収することで合 意した。買収価格は1株当たり約2ドルで、14日終値に基づいた時価総額40億 ドルを大きく下回る。

みずほ信託銀行資金証券部の金子和広調査役は、「ベアー・スターンズは 買収が決まったが、ほかの金融機関はどうなんだろうという話にもなるだろう し、いずれにしろドル売り圧力は強い」と指摘。ドルの下値不安が払しょくさ れない状況の中、「場合によっては95円割れなど急激なドル安もあり得る」と 語る。

一方で、「ドルの下落のスピードが速いので、日本の当局などからのけん 制に対する警戒感も高まっており、荒い動きになりやすい」(みずほ信託銀・ 金子氏)との指摘もあり、目先は上下に振れる値動きの荒い展開も予想される。

額賀福志郎財務相は17日午前、財務省内で記者団に対し、最近の為替動向 は過度の動きであるとの認識を示し、懸念していると語った。また、米国は強 いドル政策を変えていないと述べた。

--共同取材:加藤有明 Editor:Tetsuzo Ushiroyama、Norihiko Kosaka

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