福田内閣、日銀人事再提示18日に先送り-武藤氏以外で最終調整(5)

福田康夫内閣は17日、日本銀行の 福井俊彦総裁(19日任期満了)の後任人事をめぐり、武藤敏郎副総裁 (元財務事務次官)が11日に参院で「不同意」となったことを重く受け 止め、武藤氏以外を再提示する方向で最終調整に入った。このため当初予 定していた17日の提示を先送りし、18日とする方針を決めた。福田首 相や自民党の伊吹文明幹事長らが17日夕、それぞれ明らかにした。

自民党は、17日に政府による再提示が行われれば、18日に衆参両 院の議院運営委員会で候補からの所信聴取を経て、19日に衆参両院の本 会議での採決することを目指していた。政府による再提示の時期が18日 にずれ込むことで、19日の任期満了を前に日銀人事をめぐる与野党攻防 はヤマ場を迎え、総裁ポストが「空席」となる可能性が高まっている。

「空席」の可能性-「首相は候補と直接話す」と伊吹氏

福田首相は17日夕、記者団に、「空白を作りたくてやってるわけじ ゃない。一刻も早く(再提示するの)がいい。調整が早く済めばいい」と 語り、武藤氏以外の総裁候補で調整を進めていることを確認した。

伊吹氏は17日夕の見で「日銀総裁人事は、候補者になる方の人権 と候補者となるための条件、政府としての立場、民主党内の調整の三つが できないとなかなかできないので、いろいろ非公式に接触している」と言 明。「福田首相は候補者になる方には直接話をしなければならないから、 17日は提示には至らない」と述べた。

伊吹氏はその上で、「政府は18日に提示しなければ時間的に間に 合わないので、最後の調整をする。具体的な名前についてわれわれは一切 関与していない。政府の仕事だ」と説明した。

「19日の採決あり得ない」-民主・安住氏

一方、民主党の川端達夫副代表は17日夕、国会内で記者団に、「政 府からいつ人事案を提示するかも明らかにされていない。空白をつくって はいけないという責任感がまったく感じられない」と語り、政府、与党の 対応を批判した。

同党の安住淳国会対策委員長代理は記者団に「仮に18日に人事の提 示があっても、同日中に所信聴取を行うことは不可能だ。福井総裁の任期 切れとなる19日に所信聴取をせざるを得ないが、その日のうちの国会で の採決はあり得ない」と語り、「へたをすると日銀総裁が空席になりかね ない対応だ」と述べた。

首相「早期の再提示へ候補者調整」

福田首相は17日夕、官邸で記者団に、「ここまでもつれるとはも ちろん思っていなかった。順調に行くと考えていた」と言明。自らの責任 については、人事を「決めなくてはいけないことだ」とかわした。

笹川尭衆院議院運営委員長(自民)と西岡武夫参院議院運営委員長 (民主)が17日午後に国会内で会談。日銀人事の再提示を受ける「衆参 議運合同代表者会議」の同日中の開催に向けて、政府からの連絡を同日午 後6時まで待つことで合意していた。笹川、西岡両氏が会談後、記者団に 明らかにした。

国内主要報道機関は17日、政府、与党が民主党に対して福井総裁 と武藤副総裁を続投させる人事案を内々に打診。しかし民主党が断ったと 報じた。

民主党の鳩山由紀夫幹事長は16日の民放テレビ番組で、福田内閣 が総裁候補として、参院で「不同意」となった武藤敏郎副総裁(元財務事 務次官)ではなく、財務官経験者である黒田東彦アジア開発銀行(AD B)総裁や渡辺博史財団法人・国際金融情報センター顧問を提示した場合 の対応について、「わたしどもは『財務省だからすべて駄目だ』と言って いるわけではない。それぞれすばらしい人だということをうかがってい る」と述べ、同意するか検討に入る考えを明らかにした。

「あらゆる可能性ある」-福井氏続投の再提示否定せず

町村信孝官房長官は17日午前の記者会見で、日銀人事で17日中に 新たな提案を行うよう努力する方針を表明。政府が民主党に福井総裁・武 藤副総裁の続投を打診したのか、との質問に、「一切申し上げない。あら ゆる可能性があるとしか言えない」と答え、可能性を否定しなかった。

「参院の不同意、重く受け止める」-公明代表

政府、与党が武藤氏の総裁昇格の人事を再提示できなくなったのは、 自民党が連立を組む公明党の太田昭宏代表の発言に端を発する。太田氏は 14日の記者会見で「(武藤氏が参院で)不同意になったことは重く受け とめなければいけない」と述べ、政府が17日に再提示する総裁候補は、 武藤氏以外に差し替えるべきだとの考えをにじませた。

正副総裁の各1ポストが「白紙」

衆院は13日午後の本会議で、日銀の正副総裁の後任人事の採決を 実施。総裁候補の武藤氏と副総裁候補の伊藤隆敏東大大学院教授(経済財 政諮問会議民間議員)、白川方明京大大学院教授(元日銀理事)の3候補 すべてが、衆院 で3分の2以上の議席を持つ自民、公明の連立与党の賛 成多数で可決、「同意」となった。

参院では12日、武藤、伊藤両氏が「不同意」となったため、正副 総裁各1ポストは「白紙」の状態。一方、衆参両院で「同意」された白川 氏の副総裁就任が確定した。

日銀法22条は、「副総裁は、総裁が欠員のときはその職務を行 う」と規定しており、法解釈上、19日の任期満了後に福井総裁の後任ポ ストが「空席」となった場合、白川氏が職務を代行することになる。

--共同取材:下土井京子、伊藤辰雄、藤岡徹、関口陶子 Editor: Hitoshi Sugimoto, Tetsuki Murotani 参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 山村敬一 Keiichi Yamamura +81-3-3201-8656 kyamamura@bloomberg.net 東京 廣川高史 Takashi Hirokawa +81-3-3201-8641 thirokawa@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Anthony Spaeth +85-2-2977-6620 aspaeth@bloomberg.net

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