福田内閣、日銀人事17日再提示-「総裁空席」回避へ決着目指す(2)

福田康夫内閣は14日、19日に任期満了を迎 える日本銀行の福井俊彦総裁の後任人事で武藤敏郎副総裁の昇格案が参院 で「不同意」となったことを受けて、総裁ポストの「空席」回避に向けて、週明け17 日に新たな提案を行う方針を決めた。町村信孝官房長官が14日午前の記者 会見で確認した。

与党内からは、武藤氏が参院で「不同意」となったことを重く受け止めるべき だとの意見が出ており、福田首相は17日までに「武藤氏の再提示」か「武藤氏 以外への差し替え」のどちらかの決断を下すことになる。福田首相は14日夕、 「すべて白紙でこれから考える」と述べ、候補者を差し替えるかどうかについては 明言を避けた。

国会は、政府から新提案の提示を受ける衆参議院運営委員会の「合同代表 者会議」を17日に開催する見通し。自民党は18日に衆参両院の議院運営委 員会で候補からの所信聴取を実施し、19日の衆参両院の本会議での採決を目 指す。

米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発する 国際的な株安や著しいドル安・円高基調が続く一方、衆参で与野党勢力が逆転 している「ねじれ国会」の状況下、福田内閣が日銀総裁人事で事態を打開でき なければ、日銀総裁ポストが「空席」になる公算が大きい。

「世界は驚きのまなざし」-カーティス教授

コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授(政治学)は14日、ブルームバ ーグテレビジョンのインタビューで、日銀人事をめぐる政府・与党、野党間の攻防 について、「世界は『この国は、どうすればこれほどまでに政治的な大失敗をお かすことができるのだろうか』と驚きのまなざしで見ることだろう」と分析。その上 で、「福田首相と小沢一郎代表率いる民主党の両方が悪い。一番傷ついたのは 日本の国民だ」と述べた。

町村氏は、参院での武藤氏の不同意について「誠に残念な思いでいっぱい だが、出された結果だから、福田康夫首相の下で熟慮する。『空白』状態をつく らないという前提で、週末に今後の進め方、人選について考える」と言明。その 上で「具体的なアクションは週明けにならざるを得ない」と語った。

自民党の小坂憲次国会対策筆頭副委員長は14日午前、国会内での記者 会見で、「所信聴取はできるだけ速やかにやらなければならない。議事録作成を 含めて緊急対応が必要だ」と述べた。

自民党の大島理森国会対策委員長は13日、民主党の山岡賢次国会対策 委員長と国会内で会談し、日銀総裁ポストの「空白は1日たりともつくらない」との 認識で一致。大島氏は、新提案には日銀法改正が含まれるかもしれないと述 べ、自民党として、総裁ポストの「空席」回避に向けて、後任が決まるまで現総裁 の任期を延長することも含めた日銀法改正を行う可能性を示唆した。

町村氏は13日の会見で、新提案として日銀法改正を検討する可能性につ いて、「かもしれない。可能性の問題だ。詳しい中身は聞いていない。法改正と いう言葉を大島氏から聞いただけだ」と語り、日銀総裁ポストの「空席」を回避す るためにあらゆる可能性を排除しない姿勢を示した。その上で、再提示する総裁 人事について、「武藤氏の再提示」と「差し替え」のどちらにするのか、との問い に、「今の時点ではいろいろな可能性がある」と語った。

「参院の不同意、重く受け止める」-公明代表

公明党の太田昭宏代表は14日の記者会見で、「(武藤氏が参院で)不同意 になったことは重く受けとめなければいけない」と述べ、政府が17日に再提示 する総裁候補は、武藤氏以外に差し替えるべきだとの考えをにじませた。ただ太 田氏は「最後は政府の判断だ」とも付け加えた。NHKが14日午後のニュース で太田氏の発言場面を放送した。

一方、民主党の鳩山由紀夫幹事長は14日午後の記者会見で、政府が再提 示する日銀人事に関して「万一、民主党が『この人は適当ではない』という人事 案になってしまった場合は、不同意にせざるを得ない」と言明。その場合には 「空席が生じると懸念されるが、日銀法に基づき白川氏が総裁の代行としてしば らく仕事をされるのが望ましい」と述べた。

NHKが14日午後のニュースで報じたところによると、民主党は同日の国会 同意人事検討小委員会(仙谷由人小委員長)で、政府が17日に総裁候補とし て武藤氏を再提示した場合は「一事不再議の疑いが濃厚だ」として、認めない 方針を確認した。

武藤氏再提示は「新提案」でない-山岡氏

民主党の山岡氏は13日、大島氏との会談後、記者団に、政府が再提示する 「新たな提案」について、「武藤氏は新たな人にはならない」と述べ、総裁候補と して武藤氏以外が示されるとの認識を示した。山岡氏は今回の会談で、大島氏 から、新たな日銀総裁候補の提示は「なかった」と説明した。

14日付の読売新聞朝刊は、日銀総裁人事で武藤副総裁の昇格案が参院で 不同意となったことを受け、政府・与党が武藤氏の起用を断念し、総裁案を差し 替える方向で検討していると報じた。17日に人事案を改めて提示する方針とし ている。

正副総裁の各1ポストが「白紙」

衆院は13日午後の本会議で、日銀の正副総裁の後任人事の採決を実施。 総裁候補の武藤氏と副総裁候補の伊藤隆敏東大大学院教授(経済財政諮問 会議民間議員)、白川方明京大大学院教授(元日銀理事)の3候補すべてが、 衆院で3分の2以上の議席を持つ自民、公明の連立与党の賛成多数で可決、 「同意」となった。

参院では12日、武藤、伊藤両氏が「不同意」となったため、正副総裁各1ポ ストは「白紙」の状態。一方、衆参両院で「同意」された白川氏の副総裁就任が 確定した。

日銀法22条は、「副総裁は、総裁が欠員のときはその職務を行う」と規定し ており、法解釈上、19日の任期満了後に福井総裁の後任ポストが「空席」となっ た場合、白川氏が職務を代行することになる。

--共同取材:関口陶子、乙馬真由美、Russell Ward、Catherine Yang、Paul Gordon Editor:Hitoshi Sugimoto, Tetsuki Murotani

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