東京外為:ドルもみ合い、米景気懸念や信用不安が重し-100円台後半

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=100円台後半を中心にもみ合った。米サブプライム(信用力の低い借 り手向け)住宅ローンに絡む金融機関の評価損が収束に向かうとの見方を背景 に、日米の株価が反発したことから、リスク回避に伴うドル売り・円買いが鈍 化。しかし、米国のリセッション(景気後退)懸念や信用収縮不安は根深く、 ドルの上値は抑えられた。

新光証券の林秀毅チーフエコノミストは、サブプライム住宅ローン関連の 損失計上が進展したとの格付け会社による指摘に助けられる格好で、米株が反 発し、その余韻が東京市場も続いており、日本株の上昇を背景にややドル買い・ 円売り圧力につながっていると説明。しかし、「信用リスクは時間の経過とと もに悪化する可能性があり、サブプライム関連の損失が100%計上されているか という点にも疑問符が残る」として、今後発表される金融機関の決算内容次第 では、再び信用不安が増幅する可能性もあるとみている。

ドル売り鈍化

ドル・円相場は前日の取引で一時99円77銭(ブルームバーグ・データ参 照、以下同じ)と、1995年10月24日以来のドル安値を付けた。また、ドルは 対ユーロでも一時1ユーロ=1.5645ドルと、1999年1月のユーロ導入後の最安 値を連日で更新するなど、主要通貨に対して売り基調が一段と強まった。

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が13日までに、週刊誌「ルポワン」 とのインタビューで、「無秩序な為替相場の動きは、景気拡大の面から見て好 ましいものではないということをあらためて認識している」と述べている。

そうしたなか、この日の東京時間のユーロ・ドル相場は1.55ドル台後半を 中心に、ユーロ安・ドル高方向に振れて推移している。

この日は、額賀福志郎財務相が午前の閣議後会見で、ドルが一時100円を 割り込んだことについて、「為替の水準について特別にコメントすることは控 えたい」としながらも、「為替相場の過度の変動は世界経済の成長にとって望 ましくない」との認識をあらためて示している。

また、13日には、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) が、サブプライム住宅ローンに関連した金融機関の評価損見通しを引き上げる 一方で、終息の兆しが見えてきたとの認識を示したことを受けて、米国株式相 場が引けにかけて値を戻す展開となった。

この日の東京市場では、日本株も反発。リスク回避に伴う円の買い戻し圧 力が緩和している面もあり、ドル・円相場は一時101円05銭までドルが値を戻 した。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の清水昭男グループマネジャーは、「これ まで重要な節目として意識されていた100円を割り込んで、達成感も生じてお り、水準的にも国内実需関連のドル買いが見込まれる」と言い、これまでに積 み上がったドル売り持ち高の調整も出やすいとみている。

米個人消費が委縮、リセッション警戒

一方で、13日に米国で発表された2月の小売売上高(速報、季節調整済み) は前月比で0.6%減と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の0.2% 増に反して減少した。サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題 の影響が広がりをみせるなか、個人消費が委縮傾向にあることが示された。

月初に発表された2月の雇用統計も2カ月連続でマイナスに落ち込むなど、 経済指標の悪化が鮮明となってきており、リセッション入りが現実味を増す格 好になっている。

さらに、米投資会社カーライル・グループ傘下の住宅ローン担保証券(M BS)ファンド、カーライル・キャピタルが、4億ドル(約400億円)超の追 加担保差し出しを求めている債権団との間で、債務再編の合意に失敗。同ファ ンドが破たんにさらに近づいたとの見方から、信用収縮懸念が一層深まってい る。

こうしたなか、この日の米国時間には2月の消費者物価指数(CPI)が 発表される。原油価格の上昇基調を背景にインフレ圧力の強まりが示される内 容となれば、景気減速下の物価上昇という最悪のシナリオが意識され、一段の ドル下押し圧力につながる可能性もある。

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