日本の小型株は3割高も、PERは逆バブル-いちよし投資顧問秋野氏

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、 ここ2年間の下落で割安に放置されている小型株が今後見直されていくと予想 している。世界の過剰流動性が維持されるうえ、PER(株価収益率)で見る と「逆バブル」の様相を呈し、見直し買いが入りやすいためだ。ジャスダック 指数は「年間3割の上昇もあり得る」という。秋野氏が12日のブルームバー グ・ニュースとのインタビューで語った。

過剰流動性の継続

昨年表面化した米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題 の深刻化に伴う信用ひっ迫を緩和するため、主要国の中央銀行は金融市場への 資金供給で協調体制を取っている。11日には、米連邦準備制度理事会(FR B)が最大2000億ドル(約20兆円)の流動性支援策を発表、米欧5中銀が協 調して資金供給を行うとした。

世界の過剰流動性が拡大の一途をたどれば、リスクが高い小型株にも資金 が向かいやすい。2000年のIT(情報技術)バブルは記憶に新しく、「今回も そのようなバブルになってもおかしくない」と秋野氏は強気だ。ただ、米国が 過度なリセッション(景気後退)に入らなければ、とのただし書き付き。

その米国は、リセッション回避のため大胆な金融緩和を余儀なくされ、ド ルが売り込まれやすい状況。「利下げの継続で、米国は08年央にかけて実質マ イナス金利になる可能性がある。米金利の低下で円高・ドル安が進み、1ドル =95円程度まで下がるだろう」と、秋野氏はみる。そうなれば、輸出採算の悪 化が懸念される外需関連株よりも、為替変動の影響を受けにくい内需関連株が 相対的に優位になりそう。小型株には内需関連銘柄が多く、円高局面で選好さ れやすい。ドル・円レートは13日現在、1ドル=101円台で推移している。

打たれ強さ増す

秋野氏は、米サブプライム住宅ローン問題の表面化後、日本株を取り巻く 環境が大きく変わったと認識している。「大型株が大きく下げても、小型株は あまり下がらなくなってきた」ためだ。日経平均株価が一時886円安と急落し た2007年8月17日を起点に東証株価指数(TOPIX)とジャスダック指数 の値動きを見ると、12日現在では両指数ともマイナスのパフォーマンスながら、 下落率はTOPIX15%、ジャスダック10%と、小型株の方が小さい。

日本株相場が05年に4割強という大幅な上昇を演じた際、大型株、小型株 の区別なく全面高となった。しかし06年以降は別々の道を歩み、06年にTO PIXが1.9%高とかろうじてプラスを維持したのに対し、ジャスダック指数 は34%安と急落。TOPIXが12%下落した07年には、ジャスダック指数は 16%下げ、03年来の安値に沈んでいた。

岩盤到達、「アジアの視点」が重要

下げ続けた結果、「PER(株価収益率)が10倍割れの銘柄が急増し、さ ながら『逆バブル』の状態」(秋野氏)になった。高成長株は通常、成長プレ ミアムによって高いPERが許容されるが、1月に安値を付けた際、ラッセル /NOMURA小型株指数を構成する1200銘柄のうち、35%がPER10倍以 下、67%が15倍以下だった。ジャスダック指数の予想PERは12日現在16.9 倍。「1992年から15倍が堅い岩盤になっている」(同氏)ことから、株価が 現在の水準から大きく下げることは考えにくいという。

高成長を見込まれながら、配当利回りが債券利回りを上回り、利回り株と しての魅力も備えるいわゆる「高成長割安株」が多い。こうした銘柄を日本株 としてではなく、アジア株の中の高成長株と見れば、他国の割高な高成長株よ りも魅力的な投資対象に映る。グローバルな運用者は日本株とアジア株を分け ず、アジアの中の日本株と位置付けるようになった。このため、「アジアで目 立つことが重要」(秋野氏)になる。

小型株が見直されるタイミングは、「08年3月期決算と09年3月期業績 見通しが出される4-6月期」(秋野氏)。08年度は小型株のパフォーマンス が大型株を上回る可能性が非常に高く、「ジャスダック指数は07年10月の直 近高値80.78ポイントまで3割上昇してもおかしくない」とみている。

投資の切り口はネットや環境関連

同氏が注目するのは、内需関連株の中でも個人消費落ち込みの影響を受け ないインターネット関連株だ。ネット関連株は業績が好調な半面、この2年間 は相場全体の急落に歩調を合わせる形で時価総額を減らしてきた。

秋野氏によると、ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスの新興3 市場の時価総額上位100社の時価総額は、この2年間で約8兆円減少した。う ちネット関連企業16社だけで3兆3000億円を失い、新興市場の指数が上昇す るならば、売り込まれたネット関連が先導する可能性が高そうだ。時価総額上 位の主なネット関連株は楽天、ミクシィ、ACCESS、サイバーエージェン トなど。

秋野氏は、個人消費の動向に関係なく順調に業績を積み上げているゲーム 関連株にも注目。さらに、今後中国をはじめアジアで環境対策が活発化すると みられることから、環境関連銘柄も投資魅力があると考えている。

--共同取材 小笹 俊一 Editor: Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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