日本株は金融中心に続落、信用不安や円高-原油高も悪材料視(2)

午前の東京株式相場は、徐々に下げ幅を 拡大して大幅続落。12日の米国市場で信用不安が再燃し、前日に買い戻された 金融や不動産株の下げが目立った。外国為替市場では一時、1ドル=101円割 れの水準まで再び円高が進行しており、採算悪化懸念から自動車や電機、精密 機器など輸出関連株も安い。海外商品市況で原油先物相場が最高値を更新して おり、企業のコスト上昇につながるとの警戒感も相場全般の重しとなった。

午前の日経平均株価終値は前日比261円8銭(2%)安の1万2600円5 銭、TOPIXは同27.97ポイント(2.2%)安の1227.16。東証1部の売買高 は概算で8億2581万株、売買代金は9244億円、値下がり銘柄数は1347、値上 がり266。業種別33指数の騰落状況は下落30、上昇は3。

ちばぎんアセットマネジメント運用部の長壁啓明ファンドマネージャーは、 「11日に発表された米連邦準備制度理事会(FRB)などによる資金供給策は、 担保となる証券化商品が高格付けのものに限られているほか、担保の掛け目も 具体的に決まっておらず、信用不安を抑える効果は限られる」と指摘した。そ の上で、円高ドル安や原油価格の高騰が「日本経済や企業に与える悪影響も見 逃せなくなってきたこともマイナス要因だ」と話している。

長壁氏は原油高について、外需依存度の高い日本にとって「原材料費や輸 送コストの上昇につながり、直接的、間接的に多くの企業の収益圧迫要因とし て深刻な状況になってきた」との見解を示唆。また石油会社にとっても、「精 製部門でのマージン悪化につながり、在庫評価益の拡大といったプラス要因を 相殺してしまう可能性がある」(同氏)としている。

じり安背後に海外勢の弱気確認も

海外市場における信用収縮不安の再燃や、為替など外部環境が悪化し、こ の日は売り先行で開始。朝方の売り一巡後は下げ渋る場面もあったが、反発の 勢いは弱く、午前9時半以降はじりじりと値を切り下げた。財務省が朝方発表 した「対外対内証券売買契約等の状況」で、外国人投資家の日本株への弱気姿 勢が確認されたことも投資家心理にマイナスに働いたとされている。

同統計によると、3月2―8日の対内株式は、海外からの取得6兆320億 円に対して処分が6兆4493億円で、差し引き4173億円の資本流出超となり、 3週連続の売り越し。東洋証券ディーリング部の児玉克彦シニア・ストラテジ ストは、「政治的要因で日銀総裁人事が混迷していることも、海外勢を中心と した投資資金の流出につながっている」と指摘、今週に入っても外国人投資家 の売り越し基調は続いているとの認識を示した。

信用不安再燃

12日の米国では、メリルリンチやゴールドマン・サックス・グループなど 複数の証券会社が、FRBが11日に打ち出した米国債貸与措置は信用市場の 資金圧力緩和につながらないとの見方を示した。また、原油先物相場が過去最 高のバレル当たり110ドルを上抜け、FRBのリセッション回避が失敗に終わ るとの懸念が広がったこともあり、同日の米株相場はS&P500種株価指数が

0.9%安となるなど主要3指数はそろって下落。

東京市場でも、前日はFRBなどによる金融システム支援策が好感され、 買い進まれた金融株や不動産株に反動売りが増え。三井住友フィナンシャル・ グループ、野村ホールディングス、三菱地所などが安い。米投資会社ドレイ ク・マネジメントが傘下ヘッジファンドで同社最大のグローバル・オポチュニ ティーズ・ファンドの閉鎖を検討していることが明らかになったことなども、 「金融株から資金流出が強まった一因」(ちばぎんアセットの長壁氏)という。

円が対ドルで一時100円台、約12年3カ月ぶり高値

12日のニューヨーク外国為替市場では、米景気懸念からドルが下落。トレ ーダーらは、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)では最大で0.75ポイン トの利下げが決定されると見ており、金利差縮小の思惑も働いている。午前の 東京外国為替市場では、一時1ドル=100円96銭(ブルームバーグ・データ参 照)を付け、1995年12月11日以来、約12年3カ月ぶりの安値を更新した。

こうした為替の動きは、米景気不安とともに、日本の輸出関連株には採算 悪化懸念の強まりにつながる点でマイナスに働き、トヨタ自動車やソニー、フ ァナックなどが売られた。市場では、「外需頼みの日本にとって為替の動向が 株価の行方を占う上での最大の注目点」(新光証券エクイティ情報部の三浦豊 シニアテクニカルアナリスト)との声も聞かれる。

東芝や新生銀に売り、国際帝石Hは上昇

個別では、次世代DVD(デジタル多用途ディスク)規格「HD-DV D」事業の撤退を決めたことで、500億円程度の新たな損失が発生するなどと、 13日付の日本経済新聞朝刊で伝わった東芝が3日ぶり反落。前日ストップ安 (値幅制限の下限)比例配分となったグッドウィル・グループはこの日もスト ップ安水準まで売られた。

銀行株では、大手金融グループと並んで新生銀行が東証1部の売買高上位 に名を連ねて5%安と急落。東京内幸町の本店ビルを米モルガン・スタンレ ー・グループに売却すると発表。米住宅ローン問題による収益の落ち込みを資 産売却で埋めるのが狙いで、売却益から今期最終利益を上方修正したものの、 アナリストの間からは「移転先も決まっておらず、ぎりぎりの判断で背に腹は 変えられないという状況だろう」(野村証券の守山啓輔シニアアナリスト)と の声が聞かれた。

半面、投資資金が向かったのが石油関連銘柄の一角。国際石油開発帝石ホ ールディングスや昭和シェル石油などが高い。ニューヨーク商業取引所(NY MEX)で取引される原油先物4月限が12日に、一時1バレル=110ドルを超 え、過去最高値を更新したことを受け、在庫評価益の拡大などを期待した買い を誘った。主力の板金機械が新興国や欧米で伸び09年3月期の連結営業益が 過去最高を更新する見通しと日経新聞が伝えたアマダは大幅続伸。

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