長期金利は1.25%まで低下も、日銀利下げに現実味―ドル100円割れで

外国為替市場で、円相場が1ドル=100円 の大台を割り込んだ。円高がドルだけでなく、ユーロやアジア通貨に対しても進 行すれば、企業業績悪化への懸念が一段と強まり、株価下落を加速させ、債券の 買い材料になる。輸入物価上昇の抑制要因になることで、日銀の利下げも現実味 を帯びてくる。新発10年債利回りは2005年7月以来の低水準となる1.25%ま で下がるとの見方も出ている。

円高進行で株下落、債券に資金流入へ

ドル・円相場の1ドル=100円割れは、95年11月以来、約12年4カ月ぶり となる「象徴的」(みずほインベスターズ証券マーケットアナリストの井上明彦 氏)な動き。

井上氏は、「ドル安・円高が進めば、輸出関連株が下落し、債券に資金が流 れる原因となる。円高は債券高をもたらすと市場では受け止められる。米国への 輸出に悪影響を及ぼすため、債券の買い材料となる」と語った。

UBS証券チーフストラテジストの道家映二氏も、「ドル安・円高は、株価 の下落をもたらすため、債券の買い材料になるのは間違いない」との見方を示す。

新発10年債利回りは13日午後の取引で1.275%まで低下し、05年7月29 日以来の1.3%の大台を割り込んだ。1ドル=100円台の円高基調が定着するよ うだと、1.2%台半ばまで低下するとの見方も出ている。

三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏は「100円割れで、10年債 利回りは1.25%を下回ることになる」と指摘している。

企業業績に減益要因、対ユーロやアジア通貨も注目

企業業績への影響の度合いに関しては、不透明ながら、特に輸出企業にとっ て減益要因となることは必至のようだ。

T&Dアセットマネジメントのファンドマネジャー、竹田竜彦氏は、「08 年度の企業業績では、1ドル=100円ぐらいが損益の分岐点だとみている。100 円割れだとかなりの減益になるだろう。これまで、企業部門が景気を支えてきた と言われてきたので、景気全般、ひいては金利に相当影響を与える」と分析した。

一方、企業年金連合会年金運用部債券グループリーダー・チーフファンドマ ネジャーの川﨑勉氏は、「実際の企業業績への影響は、海外への生産移転などで 以前ほど大きくはないが、まったくないという訳ではない」と語った。

井上氏は、「今日の日本の輸出は対米一辺倒ではないため、その影響は弱ま っているのではないか」とみており、「対ドルだけでなく、対ユーロや対アジア 通貨の実効レートの動きにも注目」と述べた。

日銀利下げに現実味も、先物や中期債中心に買い

市場では、「ドル安・円高に加えて、ユーロ安・円高になれば、日銀の利下 げの可能性が高くなる」(道家氏)との観測も根強い。

企業年金連合会の川﨑氏は、「日銀の利下げも視野にイメージされてくる。 円高を理由に利下げが現実味を帯びてくると思う」と指摘。そのうえで、「中期 債から先物を中心に金利低下圧力がかかってくるだろう。ゼロ金利政策へ回帰の 可能性が意識されれば、5年債は0.7%を割り込み0.5%を目指す展開か。2年 債も0.5%を割れて0.4%や0.3%を目指すのではないか」と語った。

2年債が現行の政策金利水準の0.5%割れとなれば、1月23日(0.485%) 以来となる。

さらに宇野氏は、「足元の為替急落に対する米国側の警戒感は強くなるだろ う。円高・ドル安の進行が放置された場合、米国の金融市場が崩壊する流れに入 っていくと思う」と警告。「米国での資金の入れどころがなくなり、サブプライ ム(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の影響から遠い円債に資金が流れる可 能性が高い」と説明した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE