東京外為:ドル続落、信用不安強く100円割れ目前―12年4カ月ぶり安値

東京外国為替市場では、ドルが対円で大幅 続落。ドルは1ドル=100円割れ目前まで下落し、約12年4カ月ぶり安値を付 けた。欧米中央銀行による流動性支援にもかかわらず、金融不安や米景気後退 懸念が根強く、ドル安が加速した。ドルは対ユーロでも3営業日連続で史上最 安値を更新。対スイス・フランでも過去最安値を塗り替えた。

新光証券の鈴木健吾為替ストラテジストは、「きのうからのドルの下値を 探る展開が東京市場でも続いており、いくつかのヘッジファンドが破たんの瀬 戸際といった報道も流れる中、一時100円割れ目前まで円高が進んだ」と説明。 「テクニカル的な節目としては、これまでサポートとされてきた101円を割り 込んできて、目先は100円ちょうどといったところしか見当たらない状況」と 指摘する。

ドル・円が100円ちょうど割れ目前

この日のドル・円は、信用不安の再燃からドルが売られた海外市場の流れ を引き継ぎ、朝方からドル売りが先行。午前7時前には直近のドル安値を割り 込み、1ドル=101円10銭までドル安が進んだ。

もっとも、101円手前ではオプション取引に絡んだドル買いもあったもよう で、午前10時の仲値に向けてはいったん101円70銭付近まで反発。しかし、 仲値通過後は海外勢を中心にドル売りが再燃し、午前11時前には一時、101円 ちょうどを割り込んだ。

101円割れではすかさず買いも入り、ドルはいったん101円前半まで値を戻 したが、戻り売り意欲は旺盛で、正午過ぎには再び101円を突破。さらに「大 きなストップ(損失を限定するためのドル売り注文)のうわさがある」(エー ビーエヌ・アムロ・バンク・エヌ・ブイ外国為替本部・高安佳子部長)という 100円90銭を抜けると、ドル売りが加速し、午前2時前後には一時100円03銭 (ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と1995年11月10日以来のドル安 値を付けた。

エービーエヌ・アムロの高安氏は、市場では欧米中銀の流動性支援策の効 果に対して懐疑的な見方が広がっており、「ヘッジファンドなどが100円割れ トライに向け、かなりショート(ドル売り持ち)に振っている」と指摘。また、 「これだけ株が下がっているので、一部本邦機関投資家からは期末に向けレパト リエーション(自国への資金回帰)に絡んだ円買いも出ていると思う」と付け加 えた。

ユーロ・ドルも早朝の時間帯に一時、1ユーロ=1.5573ドルとユーロ導入 以来のドル最安値を更新。その後、しばらくは安値圏でもみ合っていたが、正 午過ぎには1.5586ドルの新安値を付けた。

一方、ユーロ・円は1ユーロ=158円台からユーロ安・円高が進み、155円 56銭と約1カ月ぶりの円高値を付けた。信用不安を背景に株安が再燃したこと で、リスクの高い「円キャリートレード(低金利の円を調達して高金利通貨で 運用する取引)が巻き戻されるとの思惑が広がったことが背景。

根強い信用不安

米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など5つの主 要中央銀行は11日、短期金融市場で資金供給を拡大すると発表。昨年12月に 続く緊急措置で、FRBが新たに導入した対策では、住宅ローンの返済不履行 急増で価値が急落した住宅ローン証券などを担保とし、最大2000億ドルの米国 債を貸与する。

流動性対策の発表を受け、11日には米国株が急反発し、ドルの買い戻しが 進行。しかし、メリルリンチやゴールドマン・サックス・グループなど複数の 証券会社が、FRBが打ち出した米国債貸与措置は信用市場の資金圧力緩和に つながらないとの見方を示すなど、市場では懐疑的な見方が台頭。米国株はわ ずか1日で下落に転じ、外国為替市場でもドル売りが再燃した。

シティバンク銀行個人金融部門の城田修司シニアマーケットアナリストは、 米金融当局の資金供給策は一歩前進ということで、株の上昇やドルの買い戻し につながったものの、効果には限度があるとの見方から期待ははく落している と指摘。「金融機関の貸し渋りが進んで、実体経済に悪影響が及んでおり、サ ブプライムショックの第2弾と考えられる」として、ドル売りの流れは変わっ ていないと語る。

実際、12日には米プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社カ ーライル・グループ傘下の住宅ローン担保証券(MBS)ファンド、カーライ ル・キャピタルが、債権者らと合意に達することができず、同社の残余資産す べてが「直ちに」債権者によって差し押さえられる見込みであると発表した。

また、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、地方債に特化した米ヘ ッジファンド運用会社、ブルー・リバー・アセット・マネジメントが傘下の中 核ファンドの閉鎖を進めていると報じている。

政府・中銀の対応に注目

一方、米国ではこの日、2月の小売売上高が発表される。雇用情勢の悪化 が明らかとなる中、消費の低迷が浮き彫りとなれば、米景気後退懸念が一段と 強まり、ドルがさらに売られる可能性がある。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、2月の 小売売上高は前月比0.2%増と1月の同0.3%増を下回ると予想されている。

新光証券の鈴木氏は、「直近の一方的なドル売りはファンダメンタルズ(経 済の基礎的諸条件)的にもなかなか説明が難しいような領域に入ってきている」 としながらも、「一方でテクニカル的にもファンダメンタルズ的にもドルを買 う理由に乏しい」といい、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や来月の 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に向け「今後は各国政府や中央銀行 の対応に注目が集まってくる」と語る。

--共同取材:柿崎元子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama、Norihiko Kosaka

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