世界一トヨタは3年連続1000円、松下は「人生設計」支援-春闘(2)

ガソリンや食料品の値上がりで消費者物価 が上昇に転じるなか、自動車、電機、鉄鋼大手などの経営側が12日、今春闘の 一斉回答を行った。トヨタ自動車は3年連続で1000円の賃上げを回答。松下電 器産業は、賃上げ分の1000円を社員の「生涯人生設計」支援と位置付ける新基 軸を打ち出した。

昨年の自動車生産で米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて初めて世界 一になったトヨタの賃上げは労組要求を500円下回ったものの、一時金は253 万円と9年連続の満額回答。10月に社名を「パナソニック」に変更して世界企 業への脱皮を目指す松下は、ベアを仕事と人生のバランスを取る「ワーク・ラ イフ・バランス」を推進する投資と性格付けた。松下は昨年、育児や介護の支 援名目で1000円の賃上げに応じていた。

今年の春闘は景気先行きの不透明感が強まるなか、福田康夫首相が消費拡 大のため経済界に賃上げを要請、日本経団連の御手洗冨士夫会長も「個人の手 取りを増やしていくことが重要だ」と発言するなかで繰り広げられた。原油や 原材料の高騰が企業のコストアップを招く一方で、生鮮食料品を除く消費者物 価指数も昨年12月、今年1月と2カ月連続で前年同月比0.8%上昇、消費への 影響も懸念され始めている。

ニッセイ基礎研究所の斉藤太郎シニアエコノミストは、直近の物価上昇率 を差し引くと、ベアが昨年とほぼ同様のレベルなら、個人消費引き上げ効果と しては「マイナス」だと指摘。さらに、当初は昨年よりも期待が高かったが、 「この数カ月間の円高などで経済環境は激変した。組合側も当初の強気の要求 を維持できなくなり、尻すぼみの格好になってしまった」との見方を示した。

鉄鋼大手は休日割増率アップ

鉄鋼や非鉄、造船重機の労組でつくる基幹労連(2年ごとに春闘交渉)に よると、新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手は今年1500円のベアを回答。 焦点の一つだった時間外割増率については、鉄鋼大手5社が休日の割増率を現 行の35%(新日鉄は37.5%)から40%に引き上げると回答。過去最高水準の 生産が続くなかで、会社側が人手不足に一定の配慮をした格好だ。

時間外労働割増率について電機連合は、平日の残業が月40時間を超える場 合は残業代割増率を50%以上にするよう要求、休日出勤も50%以上の割り増し を求めていたが、結論は持ち越した。電機連合の中村正武委員長は、時間外賃 金について「具体的な回答がなく残念だが、継続協議で引き続き理解を求めた い」と述べた。

経営再建中の三洋電機労組は7年ぶりにベアを要求。経営側も要求額2000 円に対し800円を回答した。三洋電機の通期(08年3月期)業績は純損益が 200億円の黒字(前期は454億円の赤字)と、4年ぶりに黒字転換する見通し となっている。三菱自動車は、組合側がベア要求を6年連続で見送ったが、経 営側が一時金を3年ぶりに満額で回答。日野自動車は1999年以来のベアに応じ た。

ベアの流れは継続

全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)の加藤裕治議長(自動車総連 会長)は12日、都内での会見で、経営側も「家計と企業は経済成長の両輪」と いう意識があったと指摘。今年のテーマとして「賃金・一時金」「労働時間」 「非正規雇用」を三本柱に据えたなかで、過去2年間の賃上げの流れを継続さ せる結果を出せたと語った。

加藤議長はまた、「時間外賃金問題は厳しかったが、一部組合では回答を 引き出し今後の協議につなげた。息の長い課題なので全体的につながるものが できたと評価している」と述べた。

--共同取材:駅義則、小松哲也、鈴木宏、竹本能文、Editor:Kenzo Taniai, Hideki Asai

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