FRB議長の米国債貸与策、直接の狙いは住宅ローン関連市場の修復

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB) 議長が示した信用市場の混乱を鎮めようとの最新の試みは、景気に最大の脅威と なっている住宅ローン関連市場の修復に向けたこれまでで最も直接的な働き掛 けとなった。

FRBは11日、住宅ローン担保証券(RMBS)を担保に、最大2000億 ドル(約20兆6000億円)相当の米国債を入札方式により貸与する措置を発表 した。発表後、当局者は記者団に対し、住宅ローン市場の行き詰まりを打破する ため、この措置が今後拡大する可能性を指摘した。

今回の措置は、金融システムを資金であふれさせることなく流動性を供給で きる点で、過去の対策の内容を上回るものだ。バーナンキ議長率いる当局者らは、 住宅ローン関連投資の損失が銀行の貸し渋りにつながり、それが景気の大幅な後 退につながる悪循環にストップをかけようとしている。

かつてのソロモン・ブラザーズでチーフエコノミストを務めたヘンリー・カ ウフマン氏はブルームバーグラジオとのインタビューで「危機を落ち着かせよう とする強い試みだ」と指摘。「かつての信用危機よりも、今回の危機が深くて幅 広く、また非常に不透明だとの認識を一段と示すものだ」と語った。

当局者は匿名を条件に、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン を裏付けとした証券以外にも危機が広がった場合、FRBは行動に出ることを決 めていることを明らかにした。FRBのミシェル・スミス報道官によれば、米国 債の貸与措置は10日夕方の電話会議で決まった。

RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スティ ーブン・スタンレー氏は「当局はRMBS市場が要だとみている。この市場を正 常化できれば、他の問題の一部も解決できるかもしれない」と語る。

FRBの発表を受け、11日の米国株式相場は5年ぶりの大幅高となり、米 国債相場は下落した。ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)が保証するRMBSの 10年国債に対する上乗せ利回りは2.11ポイントと、10日の2.28ポイントか ら縮小。ただこのスプレッドは2カ月前の1.38ポイントからは依然として拡大 している。

新たな措置であるターム物証券貸与ファシリティー(TSLF)は、プライ マリーディラー(政府証券公認ディラー)に最大2000億ドルの米国債を貸与す る。連銀は国債貸与の担保として、ファニーメイやフレディマック(連邦住宅貸 付抵当公社)といった連邦機関債および連邦政府支援機関の保証付きRMBS、 その他「AAA/Aaa」格付けのRMBSを受け入れる。国債の貸与期間は 28日で、入札は今月27日から実施される。

バーナンキ議長は昨年8月以来の信用逼迫(ひっぱく)を緩和させようと立 て続けに対策を打ってきた。ただ、これまでの措置は銀行システムに資金を供給 するもので、政策金利への影響を避けるために当局はオペを通じて資金を吸い上 げる必要があった。TSLFの国債貸与形式ならフェデラルファンド(FF)金 利に影響を与えることなく、流動性を供給できる。これは、当局が住宅ローン危 機に直接対処できることを意味する。

当局者が11日明らかにしたところでは、一部のアナリストや投資家らが指 摘していたRMBSの直接購入は、証券価格に直接影響するため、当局の目的に 合わない。FRBの目的はあくまで市場を通常の取引状況に戻すことであって、 特定のスプレッド水準を狙うものではないという。

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