債券はもみ合い、資金供給策で米債安・株高―押し目買いが支え(終了)

債券相場はもみ合い。前日の海外市場で米 欧の主要中央銀行が資金供給拡大策を発表したことを受け、株高・債券安とな った流れを継続。朝方は先物6月物が4営業日ぶりに139円台を割り込むまで 下落したが、その後、日経平均株価がやや伸び悩んだことで押し目買い意欲が 強まり、相場を下支えした。

クレディ・スイス証券債券調査部アソシエイトの福永顕人氏は、「海外市場 の動きを受けて、先物相場は朝方に大幅に下落した。このため、強い押し目買 い圧力がかかった」と述べた。

東京先物市場で中心限月6月物は、前日比47銭安の139円3銭で始まり、 直後に138円98銭まで下げ、4営業日ぶりに139円台を割り込んだ。その後、 日経平均が上げ幅を縮めるにつれ、徐々に値を戻し、午後1時52分には7銭高 い139円57銭をつけた。結局は6銭安い139円44銭で終了した。

日経平均は大幅続伸。朝方は400円超の上昇幅となり、前日比202円85銭 高の1万2861円13銭で引けた。

市場では、「債券の需要は根本的に強いのでいったん下がればよい買い場を 提供することになる」(モルガンスタンレー証券ストラテジストの伊藤篤氏)と の指摘も出ていた。

新発10年債利回りは1.335%

現物債市場で新発10年物の290回債利回りは、前日比2ベーシスポイント (bp)高い1.355%で寄り付いた後、一時1.36%まで上昇。その後は、徐々に水 準を切り下げており、午後に入ると1bp低い1.325%に低下した。3時以降は

1.33―1.335%で推移している。

岡三証券投資戦略部の坂東明継シニアストラテジストは、「3月末の決算期 末を控え投資家は残高を維持したい。好需給に支えられて、現物債が底堅かっ た」と説明した。

一方、最近割高な水準まで買われていた中期債は安い。新発5年債利回り は1.5bp高い0.78%。新発2年債利回りは2.5bp高い0.575%まで上昇した。

内閣府がこの日朝方に発表した前年10-12月期の実質GDP改定値は、年 率プラス3.5%と1次速報値(プラス3.7%)から小幅な下方修正となった。前 期比では0.9%増と1次速報から変わらず。ブルームバーグ・ニュース調査の市 場予想は、前期比プラス0.6%、年率プラス2.3%だった。

日銀総裁空席リスク、行方を注視

参院はこの日の本会議で、政府が7日提示した日本銀行の正副総裁(19日 任期満了)の後任人事について採決を行い、武藤敏郎副総裁の総裁昇格と伊藤 隆敏東大大学院教授の副総裁起用案が、民主党など野党4党の反対多数で否決 される一方、白川方明京大大学院教授の副総裁起用案のみ可決された。

日銀正副総裁の人事は衆参両院による同意が不可欠であることから、日銀 総裁空席リスクが高まっている。

市場関係者の間では、白川氏の副総裁起用の可能性が高いとの見方が出て きた。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、①参院で同 意した人事を政府が撤回することは考えにくい②衆院で与党が政府案を覆すこ とも難しい-との理由から、白川氏が「そのまま日銀副総裁に就任する可能性 が高い」という。

そのうえで、19日に福井俊彦総裁の任期を終えて、総裁が不在となった場 合、「日銀法に基づき白川氏が総裁職を代行することになる」と予想している。

市場では、「市場参加者はあきれて見ている状況だと思う。債券については、 リスク回避ということで、相場が上がる要因になる」(トヨタアセットマネジメ ントの浜崎優シニアストラテジスト)や、「実務面では影響はないかもしれない が、リスクとして考える必要がある。もっとも相場には織り込みづらい材料で、 行方を見守るしかない」(AIG投信投資顧問の横山英士ポートフォリオマネジ ャー)などの声も聞かれた。

このほかにも、「誰が総裁になっても利上げできる時期ははるか先であり、 むしろ利下げに動かざるを得なくなるほど国内経済の悪化リスクが増大するか どうかに関心が寄せられている」(みずほ証券・上野氏)との指摘があった。

野田忠男日銀審議委員はこの日、前橋市で講演し、日本経済について、「原 材料価格の高騰、住宅投資の急減、世界経済の不透明性の高まりといったマイ ナスの要素が加わり、幾分減速している」として、輸出をけん引車とした生産・ 所得・支出の循環メカニズムについて、「いくつかの注意信号が点滅し始めてい る」と発言した。

米株高・債券安、米欧5中銀の資金供給策で

前日の海外市場では、米国、欧州など主要中央銀行5行が資金供給で協調 行動を取る緊急声明を発表したほか、FRBがプライマリーディーラー(米政 府証券公認ディーラー)に対して、最大2000億ドル(約20兆6000億円)の米 国債を一定期間貸し出す措置を発表した。

これを受けて、米国債相場は反落。2年債利回りは1996年3月以来で最大 の上昇となった。キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りは 前日比28bp上昇して1.78%程度。10年債利回りは16bp上昇の3.62%程度。

一方、米株式相場は急反発。この5年間で最大の値上がりとなった。ダウ 工業株30種平均は前日比416.66ドル(3.6%)高の12156.81で引けた。

米欧中銀の対策については、「市場対策であり、金融機関の資金繰りを助け るにとどまる。サブプライム(信用力の低い個人向け住宅融資)不履行や住宅 価格の下落を止めるものではなく、効果は一時的」(みずほ証券の落合昂二シニ アマーケットアナリスト)や、「根本的に住宅ローンや市場の問題が解決するわ けではないし、日米ともに住宅以外の悪化要因も出てくると思っている。日米 ともに景気がこれから下向きになるという見方は変えていない」(モルガン・ス タンレー証券の伊藤氏)といった見方があった。

(債券価格)                           前日比      利回り
長期国債先物6月物         139.44      -0.06       1.474%
売買高(億円)             54625
10年物290回債            100.57                 1.335%(0.000)

--共同取材:池田祐美、YUMI TESO Editor:Hidenori Yamanaka,Tetsuzo Ushiroyama

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