10-12月GDPは年率3.5%増に小幅下方修正-内需が底堅さ維持(5)

昨年10-12月期の日本の実質GDP(国 内総生産)改定値は、前期比年率3.5%増と1次速報値(3.7%増)に比べ小幅 下方修正された。大幅な鈍化を見込んでいた市場予想を上回った。民間設備投 資の下方修正を、企業在庫と政府最終消費支出の増加が打ち消す形で内需が底 堅さを維持するとともに、輸出も堅調だったことを示す内容となった。

内閣府が12日発表した四半期別国民所得統計(2次速報)によると、10 -12月期の実質GDPは前期比0.9%増と1次速報と変わらずだった。設備投 資が2.0%増と1次速報の2.9%増から下方修正。GDPの6割近くを占める 個人消費は0.2%増と変わらずだった。改正建築基準法の影響で住宅着工件数 が激減した民間住宅投資は9.3%減となり、1次速報の9.1%減から減少幅が 拡大。政府最終消費支出は1次速報の0.8%増から0.9%増に上方修正された。

日本経済は、米国経済の減速、エネルギー・原材料価格の高騰、住宅投資 の減少などの逆風にもかかわらず、昨年までは1%台後半とされる潜在成長率 を上回る成長を達成してきた。しかし、年明け以降は米景気後退が現実味を帯 びる中、景気拡大を主導してきた輸出・生産には陰りもみられ、原油価格も一 段と上昇していることで、「景気の下振れリスクは高まっている」(大田弘子経 済財政担当相)。

内閣府の大脇広樹国民経済計算部長は記者説明で、設備投資の下方修正を 民間企業在庫と政府最終消費支出の上方修正で「ある程度相殺した」と述べ、 GDP全体の評価については「前回の傾向が確認できた」との認識を示した。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は発表後、「2007年の国内景気は 底堅く推移したということを再確認した」と指摘。しかし、「08年に入ってか らは米国経済の減速が鮮明となっているほか、中国経済動向にも不安感が浮上 するなど、日本の景気低迷も意識され始めている」と述べ、「民間消費に本格 的な回復が始まる様相が見られない中、景気のけん引役である輸出動向がどの ようになるかが今後の景気動向の鍵を握っている」としている。

設備投資の成長率への寄与度は、1次速報のプラス0.5%からプラス0.3% に低下した。また、民間企業在庫の成長率への寄与度を小数点第2位でみると、 一次速報でプラス0.06だったのが、今回はプラス0.11に上昇。原材料・製品 在庫などが増加した。政府最終消費支出は、2次速報で医療費の支払いを加味 した結果、寄与度は1次速報のプラス0.14からプラス0.16に上昇した。

ブルームバーグ・ニュースが民間エコノミストを対象に行った調査による と、実質GDP伸び率は予想中央値で前期比0.6%増(対象31人)、前期比年 率で2.3%増(同27人)だった。

内外需の寄与度が逆転

発表によると、名目成長率は前期比0.2%増、年率換算0.8%増となった。 輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)の実質GDP成長率への寄与度はプ ラス0.5%増に高まった(一次速報:プラス0.4%)。一方、内需の成長への寄 与度はプラス0.4%(同:プラス0.5%)に低下した。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポー トで「小幅な計数変動ではあるが、結果として外需の寄与度の方が内需よりも 大きくなった。これは3四半期連続の現象であり、外需主導の成長が確認され た」としている。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比1.3%下落で、 下落率は1次速報と変わらず。政府はGDPデフレーターを消費者物価や需給 ギャップ、単位労働コストとともに、デフレ脱却の判断材料としている。

1-3月期はプラス維持も伸び率鈍化へ

三菱東京UFJ銀行の内田和人経済調査室長は、ブルームバーグテレビジ ョンに出演し、GDP2次速報の結果を受け、1-3月期GDPの実質成長率 は「前期比年率1%台前半を予想している」と指摘。内田氏はその背景として、 ①米国経済は景気後退局面に入ったが、日本に影響が表れるのに少し時間がか かり、外需は引き続き底堅さを示す②設備投資関連は減速ペースが強まり、生 産も高原状態の横ばいから徐々に下振れてくる-ことなどを挙げた。

政府は07年度の実質経済成長率見通しを1.3%増としている。今回のGD P2次速報の結果を受け、残る1-3月が前期比1.4%減(年率5.6%減)で も達成できるため、実績が見通しを上回ることは、ほぼ確実となった。

みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミストは発表後、1-3月期に ついて「輸出の伸びは欧米経済の減速に伴って鈍化し、1-3月期の外需寄与 度は低下するとみられる」とした上で、同時期の実質GDPについて「個人消 費を中心とした国内需要が伸び悩む中で、外需と公的需要の寄与度が低下し、 年率1%台の成長にとどまるだろう」とみる。

また、三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは発 表後、1-3月期の実質GDPについて、同期の「生産が前期比マイナスにな ったとしても、1-3月期実質GDPは前期比プラスの可能性が高そうだ」と 指摘。 住宅投資のマイナス寄与は「1-3月期では、最悪0.1%程度のマイナ スにとどまろう」としている。

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