日本株は金融中心に続伸へ、米欧中銀協調を好感-焦点は日本独自要因

東京株式相場は大幅に続伸する見通し。 米連邦準備制度理事会(FRB)など米欧の主要中央銀行が新たな金融システ ム支援策を発表したことで信用不安が和らいでおり、銀行や証券など金融株が 上昇しそう。また、外国為替市場では円高進行に歯止めがかかって円安方向に 動いており、業績懸念の緩和を背景に自動車や電機といった輸出関連株にも投 資資金が流入する可能性が高い。

日興コーディアル証券エクイティ部の西広市部長は、「前日の米株が大幅 高となったほか、為替も円安で返ってきており、外部環境の好転を受けた買い 戻しが幅広い銘柄に活発化しそうだ」と予想している。西氏によるこの日の日 経平均株価の想定レンジは、1万2800円-1万3100円。

米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物3月物の11日清算値は1万 3005円で、同日の大阪証券取引所の終値(1万2620円)に比べて385円高だ った。11日の日経平均株価は1万2658円28銭で取引を終えていた。

FRBが大規模資金供給、米株急反発

FRBは11日、新たな信用市場の混乱緩和を目指し、最大2000億ドル (約20兆6000億円)相当の米国債を入札方式により貸与する措置を発表した。 同措置は金融市場の混乱是正に向けたG10諸国中央銀行による協調行動の一環。

FRBが発表した新たな措置では、プライマリーディラー(政府証券公認 ディラー)に最大2000億ドルの米国債を貸与する。連銀は国債貸与の担保と して、ファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付 抵当公社)といった連邦機関債および連邦政府支援機関の保証付き住宅ローン 証券(MBS)、その他AAA/Aaa格付けのMBSを受け入れる。また同 時に、欧州中央銀行(ECB)、スイス国立銀行とのスワップ枠をそれぞれ 300億ドルと60億ドルまで拡大することを承認した。

今回の各国中央銀行による資金供給発表を受け、金融市場安定化への期待 が高まり、米株式相場は急反発。ダウ工業株30種平均は前日比416.66ドル (3.6%)高の12156.81。ナスダック総合指数は同86.42ポイント(4%)上 昇し2255.76で引けた。特に金融株の買いが目立ち、S&P500種の金融株価 指数は7.4%高と8年ぶりの大幅上昇となった。東京市場でもこうした流れを 引き継ぎ、銀行や証券、保険といった金融株への買い戻しが強まりそうだ。

NY外為はドルが対円で6カ月ぶり大幅高

11日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが円に対して6カ月ぶりの大 幅高を記録。FRBが2000億ドルの米国債貸与措置を発表したことから、米 経済のリセッション(景気後退)回避の見方が強まり、ドル買いが優勢となっ た。この流れを引き継いだ12日早朝の東京外国為替市場では、1ドル=103円 45銭近辺で推移している。11日午後3時時点では1ドル=101円90銭付近で 取引されていた。こうした為替の動きは、米景気不安の緩和とともに、日本の 輸出関連株には採算悪化懸念の後退につながる点でプラスに働きそうだ。

日本の独自要因、GDP改定、日銀総裁混とん

内閣府はこの日午前8時50分に、1-3月期のGDP(国内総生産)2 次速報を発表する。1次速報値では実質成長率は前期比年率プラス3.7%だっ たが、ブルームバーグ・ニュースによるエコノミスト27人を対象にした事前 調査の平均はプラス2.3%で下方修正が見込まれている。5日に発表された法 人企業統計で、設備投資が前年同期比7.7%減と大きく落ち込んだことが影響 する格好だが、実際の数字が予想近辺で落ち着けば、相場に与える影響は限ら れるとの見方が多い。

一方、福田康夫内閣が7日提示した日本銀行の正副総裁(19日任期満了) の後任人事をめぐり、民主党は11日夕の役員会で、総裁候補の武藤敏郎副総 裁(元財務事務次官)に反対する方針を正式に決めた。副総裁候補の白川方明 京大教授(元日銀理事)には賛成し、伊藤隆敏東大大学院教授(経済財政諮問 会議民間議員)には反対することも決めた。日銀正副総裁の人事は、憲法が定 める衆院の3分の2で再議決の対象ではなく、衆参両院でそれぞれ過半数の賛 成による同意が必要。参院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」の状況下、 日銀正副総裁の「空席」を回避するには野党の協力が欠かせない状況だ。

市場関係者の間からは、「金融市場が困難な状況に直面している際は、日 銀総裁などからマーケットに対して混乱を沈める発言が行われるのが通常。そ ういう状況下で仮に総裁が空席となれば、投資家の失望につながる」(三菱U FJ証券の藤戸則弘投資情報部長)と、不透明な現況を懸念する声が聞かれる。 また藤戸氏は、日本と同様に政治が混迷しているイタリアの株価パフォーマン スが、先進国の中で日本と並んで最も悪いと指摘。「総裁人事問題の根源にあ る『ねじれ国会』の政治状況は、イタリアと同様に日本株のネガティブリスク として意識されるだろう」と指摘している。

ユニーは買い先行、DCMが下落公算

個別では、日本経済新聞社が日経平均株価(225銘柄)の構成銘柄に新た に採用すると発表したユニー、08年2月通期の連結営業利益が前期比28%増 と過去最高を更新する見通しとなった乃村工藝社、08年2月期の業績予想を上 方修正したCFSコーポレーションなどが買いを集めそうだ。

半面、原材料費高騰などでコストがかさみ、08年2月通期の連結業績予想 を減額修正したDCM JAPANホールディングスが下落公算。競合激化で 価格の下落が一段と進むとして09年1月期の連結業績が減収減益見通しとな った菱洋エレクトロ、国内需要の減速を受け2008年3月通期の連結営業利益 予想を減額修正した東芝機械も売られる可能性がある。

--共同取材:長谷川 敏郎  Editor:Shintaro Inkyo

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