東京外為:円もみ合い、信用不安で株にらみ―一時8年超ぶり高値に並ぶ

午前の東京外国為替市場ではドル・円が1 ドル=101円台半ばから後半を中心にもみ合った。信用収縮不安がくすぶる中、 前日の米国株安を受け、リスク選好的な円キャリートレード(低金利の円を調 達して高金利通貨で運用する取引)が巻き戻されるとの思惑から朝方は円買い が先行。円は一時、前週末に付けた約8年2カ月ぶり高値に並んだ。ただ、そ の後は日本株が下げ渋ったこともあり、円は伸び悩む格好となった。

新光証券の林秀毅チーフエコノミストは、「今週は米指標の発表が少ない ため、週後半に発表される米小売売上高までは金融要因が株式市場にマイナス の影響を与えやすい」と指摘。「アジア時間は株がやや落ち着いているため、 円買いも一服となっているが、引き続き100円をにらむ方向は変わらない」と いい、海外の株式相場動向次第では再び円買いが強まる可能性があるとみてい る。

信用不安で「株安・円高」

10日の海外市場では、米証券大手ベアー・スターンズが資金不足に陥って いるとの憶測が流れ、米株式相場が2006年以来の安値へ下落。ベアー・スター ンズは憶測を否定したものの、景気減速と信用市場での損失拡大に伴い、金融 機関の業績は現在の見通しに届かないとの観測が広がり、S&P500種の金融株 指数は03年5月以来の水準に落ち込んだ。

米国株安を背景に、外国為替市場ではリスク投資への警戒感が強まり、金 利差に着目した円売り持ちポジションを手じまう動きが活発化。ドル・円は再 び1ドル=101円台に突入し、対ユーロや対オーストラリア・ドルなどの通貨で も円高が進んだ。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、「全 般的に流動性危機といった感じになってきており、先行きの見えない信用不安 が高まっている」と指摘する。

円、対ドルで一時8年2カ月ぶり高値

こうした中、11日早朝の取引では日本株の下落を見越して円買いが先行。 対ドルでは一時、101円43銭と前週末に付けた2000年1月3日以来の円高値に 並び、対ユーロでも1ユーロ=155円59銭と2月12日以来、約1カ月ぶりの円 高値を付けた。

もっとも、一時前日比179円安まで下げていた日経平均株価が下げ渋ると、 円買いも一服。国内輸入企業や機関投資家からの円売り需要も指摘される中、 円は対ドルで101円台後半、対ユーロで156円台半ば付近まで値を戻した。

みずほコーポレート銀行国際為替部の荒井守参事役は、前回ドル・円が101 円台から反発した2000年と05年は、それぞれ日本の景気の悪化や円キャリー トレードがテーマとなったが、今回は米国の景気動向、不透明感に焦点が当た っているため、ドル売りの大きな流れが続いてしまう可能性は高いといい、ド ル・円の「100円割れは考慮に入れておかなければならない」と語る。

一方、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.5350ドルを挟んで一進一退の展開が続 いている。米景気後退懸念や米金利先安観を背景に、ドルの上値は重いものの、 前日に欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が「過度の為替相場変動を懸念 している」と述べたことから、積極的なユーロ買い・ドル売りは手控えられて いる。

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