日経平均の下値めどは11500円の声、信用懸念が波及-2年半ぶり安値

10日の東京株式相場は午後に入って下げ 幅が広がり、日経平均株価は1月22日の年初来安値を割り込んだ。金融機関 の追加損失に伴う信用収縮により、景気や企業業績の先行きに対する警戒感が 高まっている。安値更新でも売買代金が増加を示さない状況から、市場関係者 の間では、日経平均で1万1500円を下値めどとする声が出ている。

日経平均の10日終値は前週末比250円安の1万2532円と続落。年初来安 値1万2573円を約1カ月半ぶりに下回り、2005年9月以来、約2年半ぶりの 安値水準に落ち込んだ。野村証券金融経済研究所の岩澤誠一郎チーフ・ストラ テジストは安値更新の理由について、「世界の信用市場の混乱が原因で、先週 末の米雇用統計を見ても信用収縮が実体経済に明らかに影響を及ぼしている」 と指摘。景気後退か、景気減速かが市場で議論されているが、「悪化の方向に あるのは間違いなく、こうした議論は無意味だ」(同氏)と述べた。

野村金融研では、日経平均で1万2500円-1万4000円(TOPIX1250 -1400ポイント)としていた当面の株価レンジ予想を、10日付で下値めどを 1万1500円(同1150ポイント)へ引き下げた。日経平均1万2000円はやや 来期の減益を織り込んだ水準だしていたが、信用市場の状況が悪化していく中 では下値めどとして確信が持てないという。どんなに景気が悪化しても、10% 減益には至らないと仮定した上で、7-8%程度までの下落を織り込んだ同水 準が下値めどになるという。

安値を更新しながらも、きょうの売買代金は前週末7日に比べて3.5%増 の2兆4347億円にとどまった。1月22日の安値時には前営業日比で20%増、 07年8月17日の安値時には同8.8%増とそれぞれ売買代金が増加傾向にあっ た。52週安値を更新しながら売買代金が増加傾向を示さないという静かな安値 更新は、市場の下値警戒感が根強いことから、下がっても買いが入りにくい状 況を示唆している。

米CDSが過去最高に

信用リスクの大きさを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS) 市場では先週7日、米社債の保証コストが過去最高を記録した。米国の2月の 雇用者数が事前予想に反し、前月比で減少(減少幅は2003年3月以来で最 大)したことを受け、景気後退への懸念が高まった。雇用統計では、「信用収 縮圧力が強まる中、経済活動の鈍化が広範な業種に及んでいることが分かる」 (日興シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト)という。

CDS指数の上昇は、米国での資産担保証券や債務担保証券の価値下落が 米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連分野以外にも広がっ ていることを意味する。デフォルト(債務不履行)が意識されるとともに、欧 米金融機関の損失拡大への連想につながりやすい。このため、「金融機関の資 本不足が実体経済への下押し圧力になる」(野村証の岩澤氏)という警戒が、 株価下落に拍車を掛けている。

FRBの流動性供給、根本解決に至らず

米連邦準備制度理事会(FRB)は先週末、短期金融市場への資金供給を 大幅に拡大すると発表した。しかし、東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調 査部長は「流動性供給ではなく、金融機関にリスクマネーを入れない限り、問 題解決にはならない」とした上で、「公的資金投入の社会的合意を得るために は必要悪としての株価下落が予想される」と強調する。

7日の米国株市場では、これまで相対的に株価が堅調だったエネルギー株 や素材株が相場全体の下げを先導した。こうした動きは、「02年秋と同様に、 相場が景気後退を全面的に織り込む段階に入ったことを示唆している」(東海 東京調の隅谷氏)。米企業の業績発表を受け、4月中にも米金融機関の資本不 足や企業の減益傾向が安値の引き金となる可能性があると、隅谷氏は見ている。 同氏が予想する日経平均の安値めどは、03年4月のバブル崩壊後安値7603円 時のPBR(株価純資産倍率)1.29倍に相当する1万1500円だ。

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