中東・アフリカ株投信が急増、ポストBRICs-急成長や割安さ注目

中東やアフリカを投資対象とする株式投 信が増えてきた。高い経済成長が期待できるにもかかわらず、株価にまだ割安 感があることで、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の株式投信 に続く有望な投資先との認識が広がりつつある。6日に野村アセットマネジメ ントが390億円で運用を開始して純資産総額合計が1500億円に迫り、普及に 弾みが付いてきた。

ドイチェ・アセット・マネジメントの松尾健治チーフ・ファイナンシャ ル・ストラテジストは、昨年後半から中東・アフリカ株ファンドの設定が続い ていることについて、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問 題によってBRICsの株価が急落し、「ポストBRICsを探す動きが出た。 中東・アフリカ株は経済成長を背景にパフォーマンスが良く、有力な候補だ」 と話している。

中東・北アフリカの頭文字を取った「MENA」を、世界銀行が提唱。同 地域は世界の石油埋蔵量の6割を有し、原油など資源価格の高騰で潤っている。 潤沢な資金によって経済改革も進み、急成長が見込まれているため、BRIC s株投資で成功した投資家が注目するのも当然だ。マネックス証券の松本大・ 代表取締役社長最高経営責任者(CEO)も「今、世界の資金の流れが変わり、 中東に流れている」との認識を示す。

人口動態は「青年」、割安感強い投資指標

成長の原動力は、若い人口動態だ。2005年の各国の年齢別人口の分布を 見ると、若い年齢層が多いすそ野の広い形状となっており、平均年齢も20代 半ばという国が多い。平均年齢が42才で言わば「中年」の日本に対し、まだ 「青年」ということになる。こうした若い国々では、生産年齢人口(15-64 歳)の割合が上昇し、名目GDPを押し上げていくと見られている。

中東のドバイに本社を置く運用会社のEFG-ヘルメスUAEのヴァイ ス・プレジデント、ハシム・オムラン氏は中東・アフリカ株について「世界の 他の株式市場との相関性が低く、魅力的な分散投資先。PER(株価収益率) は10倍前半と、ほかの新興市場よりも低く、割安感がある」と分析している。

例えばエジプトのCASE30指数は昨年51%上昇したが、株式時価総額 を名目国内総生産(GDP)で除した「いわゆる国のPER(株価収益率)は 世界平均を下回り、割安」(ドイチェアセットの松尾氏)な状態だ。

一方、中東・アフリカ地域のROE(株主資本利益率)平均は23%で、 ほかの新興市場の平均16%を上回る。オムラン氏によると、こうした高い収 益力は「特に湾岸協力会議(GCC)構成国は法人所得税がなく、各国の国営 企業が上場しているため、参入障壁が高い」ことが背景にあるという。さらに 同氏は、原油価格の高止まりを受けて高成長が継続していくことや、豊富な流 動性、地域に流入する高水準の投資などを考えると、「今後はプレミアムが付 いて売買されるだろう」と予測している。

「MENA」から続々、「魔法のランプ」も

高い経済成長率は、少子高齢化で低成長を余儀なくされる日本の個人投資 家の関心も誘っている。投信業界では、07年8月にシュローダー投信投資顧 問が投入した「シュローダーMENAファンド」を皮切りに、フィデリティ投 信やJPモルガン・アセット・マネジメントなどが相次いで国内籍の投信を組 成。野村アセットマネジメントも今月6日に「野村アフリカ株投資」を新規設 定、取り扱う野村証券を通じて当初募集期間に390億円を集めた。

その結果、主に中東やアフリカを投資対象とする国内籍の公募投信の純資 産総額合計は7日時点で1462億円に達した。なお、スパークス・アセット・マ ネジメントの「日興・スパークス・アジア中東株式ファンド (隔月分配型)」と みずほ投信投資顧問の「中東・北アフリカ/アジア株式ファンド(愛称:魔法 のランプ)」は中東・アフリカ株だけでなくアジア株も主要投資対象となって いる。フィデリティ投信の「フィデリティ・EMEA・ファンド(3カ月決算 型)」もロシアなど欧州の新興国に多く投資しており、実際に中東とアフリカ に入っている資金はこれよりも少ない。

最も運用歴が長い「シュローダーMENAファンド」は7日時点の設定来 騰落率がプラス6.9%と、MSCIワールドインデックスのマイナス9.6%を 上回っている。1月末を基準とした月次リポートを見ると、アラブ首長国連邦 (UAE)やイスラエル、トルコ、クウェート、エジプトの組み入れ比率が 10%を超えている。一方、「魔法のランプ」を運用するオムラン氏は、「UA Eとサウジアラビア、クウェートの3カ国を選好する」と話す。

小規模ゆえにバブル懸念も

中東やアフリカの国々の期待成長率は高いが、経済の規模はまだまだ小さ く、株式市場も小さい。そのため、「海外から大規模な株式投資があると、バ ブルが発生しやすい」ことを、ドイチェアセットの松尾氏は注意点に挙げる。

また値動きが激しくリスクが高いことも特徴。これについてオムラン氏は、 「海外から機関投資家の資金が急速に入ってきた結果、ボラティリティは低下 傾向にある」と話していた。

--共同取材:小笹 俊一 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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