東京外為:ドル軟調、米景気後退懸念でリスク投資圧縮-102円前半

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=102円台前半を中心に、前週末のニューヨーク時間午後遅くに付けた 102円67銭からドルが水準を切り下げて推移した。米国の雇用が2カ月連続で 前月比マイナスとなったことを受けてリセッション(景気後退)入り懸念が深 まっており、リスク投資からの資金引き揚げが進むとの観測を背景にドル売 り・円買いに圧力がかかりやすくなっている。

中央三井信託銀行総合資金部の北倉克憲主席調査役は、根本的には米サブ プライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の余波が続くなか、経済指 標の悪化が一段と際立ってきていると指摘。「米金融当局の景気認識からは、 かなりの利下げを実施していく必要があるとの見通しが立つ格好となっており、 断続的な利下げによって、ドル自体の魅力が金利面でどんどんはく落していく」 として、ドルの下値を探る機運が高まりやすいとみている。

半面、東京時間のドル・円相場については、「国内実需関連のフローを中 心とした値動きになりやすいなかで、ドルが底値に近い水準と捉えられれば、 輸入企業などの買い需要も見込まれる」(北倉氏)といい、ややドルの下落ス ピードが抑制されている面もある。

米リセッション懸念深まる

米国で7日に発表された2月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前 月比で6万3000人の減少と、2カ月連続でマイナスとなった。雇用の減少幅は 2003年3月以来で最大となったうえ、1月のマイナス幅も2万2000人と、速報 の1万7000人から下方修正されており、景気の減速度合いが深刻なことを裏付 ける格好となった。

雇用情勢の悪化を受けて、前週末の外為市場ではドル売りが活発化し、ユ ーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.5459ドル(ブルームバーグ・データ参照、 以下同じ)と、1999年1月のユーロ導入後初の水準までユーロ高・ドル安が進 んだ。

また、同日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が1月22日以来初 めて1万2000ドルを割り込んだ。損失リスクを伴う投資先の代表格とされる株 式相場が崩れたことで、外為市場でもリスク収縮の動きが強まり、ドル売りの 流れに加えて、リスク選好的な高金利通貨買い・円売り持ち高の解消に伴う円 買い圧力も強まった。

このため、ドル・円相場は一時101円43銭と、2000年1月3日以来、約8 年ぶりの水準までドル安・円高が進行。この日の東京市場では、日本株が取引 開始直後で小幅安にとどまっていたことから、朝方に付けた102円09銭から102 円台後半までやや円安に振れる局面がみられたものの、株価が徐々に下落幅を 広げる展開になると、再び102円台前半に押し戻されている。

新生銀行キャピタルマーケッツ部の政井貴子部長は、信用市場などでパニ ック的な不安心理が流れていて、それが払しょくされない限りは基本的に今の ドル売り圧力は解消しにくいと指摘。「多くの市場関係者がドルの下値として 101円台半ばや100円を意識している」と付け加えている。

米FRBが資金供給を拡大へ

一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は7日、3月10日、24日に予定 しているターム物資金入札の規模をそれぞれ500億ドルと、従来の300億ドル から引き上げると発表。公開市場操作(オペ)で期間28日のレポ(売り戻し条 件付きの買いオペ)を通じて1000億ドルを注入していく方針も明らかにした。

これを受けて、米株の下落がやや落ち着いており、ドル・円相場も約8年 ぶりのドル安値を更新したあと、103円24銭まで値を戻す場面もみられた。

さらに、ポールソン財務長官が7日に住宅差し押さえに直面する借り手に 対して連邦住宅局(FHA)保証の融資を増やす法案について、米政権と議会 の妥協は「非常に近い」との認識を示している。

また、同長官は同日にカリフォルニア州のスタンフォード大学で行った講 演での質疑応答で、「強いドルがいかに重要かは認識しており、強いドルは国 益だ」と強調。「米国は現在、いくらか困難な状況に直面しているが、長期的 なファンダメンタルズは強い。従って、それが為替市場に反映されることに自 信がある」と続けた。

こうしたなか、急速なドル安の進行に警戒感が生じやすい面もある。加え て、市場では、リスク資産の圧縮に伴って、「実際にアセットが整理される段 階で、円が買われ過ぎの域に入っている面もあり、調整に伴うドル買い・円売 りが入る可能性がある」(新生銀・政井氏)ともいい、米金融機関の決算や当 局による景気てこ入れ策などで明るい材料が出た場合は、ドルが自律反発する 展開もあり得そうだ。

額賀福志郎財務相はこの日、省内で一部記者団に対して、「為替について あまりコメントできない」とした上で、「よく最近の動きを注目していきたい」 と述べている。

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