債券は堅調か、信用リスクで米株安・債券高―5年債入札を見極め(2)

債券相場は堅調(利回りは低下)となりそ うだ。前日の米国市場では、信用リスク懸念が一段と強まったことを受けて株 安・債券高の基調が継続しており、国内でも株価が続落すれば買いが膨らみそ う。一方、この日の5年債入札では、表面利率(クーポン)が引き下げられる 見通し。投資家の需要がどの程度かを見極めるムードが広がるとみられ、相場 上昇も限定的になる可能性もある。

東京先物市場で、前日に中心限月に移行した6月物は、前日の通常取引終 値139円53銭をやや上回って始まった後、日中は139円50銭から139円90銭 程度のレンジで推移するとみられるが、140円台に乗せた場合、中心限月では 2005年9月7日以来となる。

UBS証券の道家映二チーフストラテジストは、非常に弱い2月の米雇用 統計を受け、米国経済の後退シナリオが市場の大勢意見になりつつあると指摘。 「米国経済の急減速、円高進行、原油高など、日本企業の収益環境は急激に悪 化しており、国内株価のダウンサイドリスクは高い」と見込んでいる。

前日の債券相場は大幅高。前週末の米国市場では、雇用統計で非農業部門 雇用者数が予想外に2カ月連続減少したため、景気後退懸念が強まり、米株安・ 債券高となった地合いを引き継いだ。日経平均株価も大幅続落し、昨年来安値 を更新したため、円債市場は買い優勢となった。

5年利付国債入札-クーポンは0.8%か

財務省はこの日、5年債入札を実施する。クーポン(表面利率)は前回債 から0.1ポイント引き下げの0.8%となる公算が高いとみられている。午前の取 引次第では、0.2ポイント引き下げの0.7%となる可能性も出てくる。いずれの 場合も、日銀が量的緩和を解除した06年3月以降で最低の水準となる。

発行額は前回債と同額の2兆円程度。発行予定日は08年3月25日。償還 予定日は前回債から3カ月延び、13年3月20日。

日興シティグループ証券チーフストラテジストの佐野一彦氏は、「割安と は考えにくく、クーポンも0.7%となる可能性もある。それをどこまで地合いで カバーできるかだ」という。

市場では、ほかにも、「0.8%クーポンでの入札となるだろうが、かなり割 高感があるなど、買う理由があまり見当たらない」(みずほインベスターズ証 券の井上明彦マーケットアナリスト)といった声が聞かれる一方、「需給環境 が良いので、無難にこなされるだろう」(東海東京証券債券の有麻智之ディー リング部長)との見方もある。

日銀正副総裁候補の所信聴取

衆参両院はこの日、議院運営委員会を開き、日本銀行の正副総裁候補の所 信聴取を行う。政府は7日、任期満了を19日に迎える福井俊彦日銀総裁の後任 に、武藤敏郎副総裁(元財務事務次官)を昇格させ、副総裁に元日銀理事の白 川方明京大教授、経済財政諮問会議民間議員の伊藤隆敏東大大学院教授を起用 する人事を提示したが、野党第一党の民主党などが反対する姿勢を見せている。

民主党は11日中に役員会で賛否の方針を決める方針だが、対応次第では、 日銀総裁が不在となるリスクも残る。

BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏は、総裁不在のゆえ に日銀は政策対応が出来ないという憶測が市場に広がれば、「不必要な円高圧 力を生み出し、世界経済の減速が日本経済に及ぼす悪影響を増幅するリスクが ある」と指摘している。

新発10年債利回りは1.3%台前半か

現物債市場で、新発10年物の290回債利回りは、前日終値1.33%をやや下 回って始まり、日中ベースでは1.3%台前半での取引が見込まれる。

日経平均株価の下落やドル安・円高が進むようだと、新発10年債利回りは 1月22、23日につけた今年最低の1.31%を割り込む展開が見込まれる。

日本相互証券によると、10日の業者間取引で、新発10年物の290回債利回 りは、前週末比1.5ベーシスポイント(bp)高い1.35%で取引開始。その後は、

1.33%-1.345%で推移。結局は0.5bp低い1.33%で取引を終了した。

一方、10年物国債の289回債利回りは、東京時間の前営業日午後3時時点 で大和証券SMBC、日興シティグループ証券、みずほ証券、三菱UFJ証券 社の平均値であるブルームバーグ公社債基準価格(BBYF)によると1.299% だった。

米市場は株安・債券高-住宅ローン関連証券の評価損拡大懸念

前日の米国債市場は上昇。10年債利回りは1月以来の低水準となった。住 宅ローン関連証券の評価損が拡大するとの懸念を背景に買いが優勢になった。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時6 分現在、10年債利回りは前週末比8(bp)低下して3.46%。一時は3.42%と1月 23日以来の水準に低下した。

一方、米株式相場は3営業日続落し、2006年以来の安値を付けた。景気減 速と信用市場での損失拡大に伴い、金融機関の業績は現在の見通しに届かない との観測が広がり、金融株はそろって大幅安となった。

(10日の債券価格)                      前日比       利回り
長期国債先物6月物         139.53       +0.39        1.467%
売買高(億円)             31999
10年物290回債            100.62                 1.33%(-0.005)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE