3月10日の海外金融・株式・為替市場(2)

(米国株と米国債、NY外為を更新します)

○米国株:3営業日続落し、2006年以来の安値を付けた。景気減速と信用市場 での損失拡大に伴い、金融機関の業績は現在の見通しに届かないとの観測が広が り、金融株はそろって大幅安となった。

証券大手、ベアー・スターンズの資金繰りが悪化しているとの憶測が流れ、 元会長のアラン・グリーンバーグ氏が「ばかげている」と否定したにもかかわ らず、銀行株への売りは勢いを増した。ベアー・スターンズは1987年以来の 大幅安。米住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマッ ク(米連邦住宅貸付抵当公社)はいずれも11%を超える値下がり。住宅不況の 深刻化に伴い損失が拡大するとの見方が売りを誘った。

S&P500種株価指数は前週末比20.00ポイント(1.6%)安の

1273.37。昨年10月9日に記録した過去最高値からは19%近い値下がり。ダ ウ工業株30種平均は同153.54ドル(1.3%)安の11740.15。ナスダック 総合指数は43.15ポイント(2%)下げて2169.34で引けた。ニューヨーク 証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対5。

ベアリング・アセット・マネジメント(運用資産360億ドルドル)の米 国株責任者、サム・ラーマン氏(ボストン在勤)は、「投資家にとっては悲痛 な状況だ」と語る。「景気の弱まりへの懸念が明白なばかりでなく、信用危機 による影響は静まるところを知らない」と付け加えた。

サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン関連で米金融機関が 計上した評価損が1880億ドルに達し、S&P500種構成企業の利益見通しが 下方修正される中、米経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が一段 と強まり、同指数のセクター別10指数はすべて下落した。同指数はピークか ら20%安を目安とするベアマーケットに接近している。

金融株に売り

S&P500種の金融株指数は3.1%下落し、2003年5月以来の水準に下 げた。500種株価指数へのマイナス寄与度ではセクター別でトップだった。資 源株は3.3%下落。鉱工業株は1.8%下げた。

ベアー・スターンズは1987年10月以来最大の11%急落。

レク・セキュリティーズの株式トレーディング部門責任者マイケル・メイ ンワルド氏は「流動性不足に陥り、支払い不能になったとの憶測が流れてい る」と指摘した。

ベアー・スターンズの広報担当者ラッセル・シャーマン氏は「流動性不足 に陥ったとの憶測は事実ではない」と否定。同社の元最高経営責任者(CE O)で、現在は役員を務めるアラン・グリーンバーグ氏はCNBCテレビに対 し、憶測は「まったくばかげている」と述べた。

ファニーとフレディ

ファニーメイは13%急落。金融紙バロンズはファニーメイの支払能力が 試されるとの見方を分析記事の中で紹介した。

同業のフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)も急落し、12%近い値 下がり。クレディ・スイス・グループのアナリスト、モシュ・オレンバック氏 は顧客向けリポートで、フレディが保有サブプライム住宅ローン証券の半分の 時価評価を義務付けられれば、最大50億ドルの評価損が発生するとの見方を 示した。

S&P500種の金融株価指数はサブプライム住宅ローン市場の崩壊による 影響で、今年に入り20%値下がりした。

シティとBOA

シティグループやバンク・オブ・アメリカ(BOA)も下落。モルガン・ スタンレーは、今年に入り株式資本市場が伸び悩んだほか、信用の状況が「著 しく」悪化したとして、両行を含む複数の米銀の利益見通しを合計88億ドル 下方修正した。

ベッツィー・グラセク氏率いるモルガン・スタンレーのアナリストチーム は、シティの2008年1株当たり利益見通しを2.60ドルから2.09ドルに下 方修正。同氏はまた、シティの目標株価も従来の22ドルから20ドルに引き下 げた。

住宅ローン大手のカントリーワイド・ファイナンシャル・グループは 14%下落。関係者によると、米連邦捜査局(FBI)は証券詐欺の疑いでカン トリーワイドを捜査している。

FBIの報道官は前日、コメントを拒否。カントリーワイドの広報担当者 はFBIの捜査を受けているとの認識はないと述べた。カントリー買収を進め ているBOAの広報担当者はコメントを控えた。

証券株ではメリルリンチとベアー・スターンズも下落。バースタイン・リ サーチのアナリストは信用市場が安定を取り戻すまで、両銘柄に買いを入れな いよう投資家に助言した。メリルは5.2%値下がりした。

アムバックとブラックストーン

金融保証会社(モノライン大手)、アムバック・ファイナンシャル・グル ープは23%急落。S&P500種のなかで値下がり率トップとなった。7日の取 引で引け際に少なくとも880万株が買われたが、10日の取引では普通株と転 換ユニット売り出しによる約15億ドルの増資で発行済み株式数が2倍以上に 増えたことが嫌気され、上昇分を失った。

米投資会社ブラックストーン・グループは2.9%の値上がり。2007年10 -12月(第4四半期)決算は前年同期比89%の減益となったものの、シティ グループのアナリストが同株式の投資判断を「買い」で据え置いたことが好感 された。

○米国債:上昇。10年債利回りは1 月以来の低水準となった。住宅ローン関連証券の評価損が拡大するとの懸念を 背景に買いが優勢になった。

ベアー・スターンズが流動性不足に陥ったとの憶測から安全資産としての 米国債買いが入った。住宅金融大手のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公 社)とファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株価が下落。クレディ・スイス・ グループのアナリストはフレディマックの目標株価を引き下げ、投資週間紙バ ロンズはファニーメイの資金力が試される可能性があると報じた。

スタイフェル・ニコラウスの債券ストラテジスト、ジム・デマシ氏は「ベ アー・スターンズのような銀行が破たんする可能性があり、金融市場全体に影 響を及ぼすとの懸念が強まっている。利回り水準にかかわりなく、米国債買い が続くだろう」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 6分現在、10年債利回りは前週末比8ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下して3.46%。10年債(表面利率3.5%、2018年2月償還)価 格は5/8上げて100 11/32だった。

10年債利回りは一時3.42%と、米連邦公開市場委員会(FOMC)が

0.75ポイントの緊急利下げを発表した翌日1月23日以来の水準に低下した。 2年債利回りは4bp低下の1.48%。前週末7日には1.40%と、2003年7月以 来の低水準を付けた。

フェニックス・パートナーズ・グループによると、クレジット・デフォル ト・スワップ(CDS)市場で2年物ベアー・スターンズ債の保証コストは 900bpに上昇した。前週は514bpだった。

ベアー・スターンズの保有証券

イートン・バンス・マネジメントで約40億ドルの資金運用に携わるスチ ュワート・テーラー氏(ボストン在勤)は「ベアー・スターンズは住宅ローン 関連証券を多く抱えている。住宅関連証券は依然として非常に低い水準で取引 されており、安全な逃避先の価値は非常に高い。米国債をまだオーバーウエー トにしている」と述べた。

ベアー・スターンズの広報担当者ラッセル・シャーマン氏は「流動性不足 に陥ったとの憶測は事実ではない」と否定した。

10年物国債利回りと30年物ファニーメイ債利回りの差は2.34ポイント と、1986年以来の最大に近づいた。メリルリンチが集計した債券指数による と、住宅ローン関連証券の投資収益率は3―7日にマイナス1.45%。米国債 は0.03%、投資適格級社債はマイナス1.19%。

フレディマックの先行き

クレディ・スイスのニューヨーク在勤アナリスト、モシュ・オレンバック 氏は顧客向けリポートで、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン と住宅ローン担保証券の半分を時価評価すれば、最大50億ドルの評価損が発 生する可能性があるとの見方を示した。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場が示すFOMCが18日に1ポイントの利下げを実施する確率は14%。1週 間前はゼロだった。0.75ポイントの利下げ確率は86%。

3カ月物財務省短期証券(TB)利回りは11bp低下の1.33%。3カ月 物ロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)との差は1.59ポイントと、2月14 日に付けた6カ月ぶりの低水準である0.79ポイントから拡大している。

○NY外為:円が上昇。信用市場の損失拡大を受け、投資家は低金利の円で資金 を調達し、高金利通貨で運用するキャリー取引を解消したのが背景。

米証券大手ベアー・スターンズの株価が資金不足の憶測を材料に下落したこ とから、円は対ドルで8年ぶり高値に迫り、他の主要通貨に対しても上値を伸ば した。ベアー・スターンズの広報担当は流動性に関する憶測には「根拠がない」 と答えた。ドルは対ユーロで上昇。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が 「現在の環境における為替相場の過度の変動を懸念している」と述べたのが手掛 かりだった。

ウェルズ・ファーゴ・バンクの通貨トレーダー、ロバート・ハウク氏は、 「リスク回避が円に有利に働いている」と語り、「米国内でなお続くネガティ ブなセンチメントを反映している」と語った。

ニューヨーク時間午後4時1分現在、円は対ドルで101円72銭と、前週末の 1ドル=102円67銭から上昇した。前週末は一時、2000年1月以来高値の101円 43銭を記録した。ドルはユーロに対して1ユーロ=1.5350ドル、前週末は同

1.5355ドルだった。

ベアー・スターンズが憶測を否定した後、円は上昇をやや抑えられる場面も あった。対ユーロでの円は156円15銭と前週末の157円78銭から上昇した。上 昇は3日連続。円は主要16通貨すべてに対して値上がりした。

トリシェ総裁発言

トリシェ総裁の発言はドルを支えた。スタンダード・チャータード銀行のシ ニア為替ストラテジストのマイク・モラン氏は同発言について、「ユーロ強気派 の勢いは短期的に抑えられることになるだろうが、それでも市場でのユーロ優勢 の流れを変えるには至らないだろう。つまり、主要通貨に対するドル売りは変わ らないとみている。実際の為替介入からはほど遠い」と語った。

トリシェ総裁は、「為替相場の過度の変動と無秩序な動きは、経済成長にと って好ましくない」と指摘した。

キャリー取引解消の動きを受けて円は対豪ドルで約2%上昇した。日本の政 策金利0.5%に対し、オーストラリアは7.25%に設定されている。

ドル・円のIV

1カ月物ドル・円オプションのインプライドボラティリティ(IV、予想変 動率)は約15%と、2週間前の約10.5%から上昇した。ボラティリティが上昇す れば、キャリートレードが解消される可能性がある。

過去9営業日のうち、ドルが対ユーロで最安値を記録したのは8日。投資家 は連邦公開市場委員会(FOMC)が18日の会合で少なくとも0.75ポイントの 利下げを決定し、2.25%に設定すると予想している。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は

72.99、7日には一時、72.46の過去最低をつけた。

金利先物市場動向によると、3月18日のFOMC会合でフェデラルファンド (FF)金利誘導目標が2.25%に引き下げられる確率は88%となっている。これ は欧州の政策金利を175ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)下回る。

○英国債:2年債利回りが2003年7月以来の低水準に低下した。これにより、 2年債に対する10年債の上乗せ利回りは拡大し、4年半ぶりの最大の幅となっ た。イングランド銀行が景気下支えに向けて利下げを実施すれば、インフレが加 速するとの観測が広がった。

10日発表の英生産者物価指数で、出荷価格が前年同月比で1991年来の高い 伸びを示した。インフレにより敏感に反応する10年債利回りは6週ぶり低水準 からやや戻した。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)の債券ストラテジスト(ロンド ン在勤)、リチャード・マクガイアー氏は、「利下げの公算が大きいことから、 短期債相場にはまだ若干上昇の余地がある」と述べた。10年債相場に関しては 「インフレ懸念を考慮すると大幅上昇は難しい」との見方を示した。

2年債利回りは3営業日連続で続伸し、ロンドン時間午後4時25分までに 前週末比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ3.67%となった。 同国債(2009年12月償還、表面利回り5.75%)価格は0.12ポイント上げ

103.47。

10年債利回りは2bp下げ4.29%となった。前週末は一時、1月22日以来 の低水準となる4.27%まで低下した。2年債と10年債の利回り格差は5bp拡 大し62bpと、03年7月31日以降で最大となった。1週間前は39bpだった。

○欧州債:ドイツ10年債相場が3営業日連続で上昇した。株安を背景に安全投資 としての国債需要が高まったのに加え、ユーロ上昇で景気鈍化への懸念が広がっ た。

信用市場に関連した損失拡大への懸念で高利回り資産への投資を手控える動 きが広がるとともに、欧州の社債保有リスクが上昇したことを受け、ドイツ10 年債利回りは過去1年余りでの最低に押し下げられた。米金融当局が来週、リセ ッション(景気後退)回避に向けて政策金利を0.75ポイント引き下げるとの見 方が広がるなか、ユーロはドルに対して上昇した。

野村インターナショナルの欧州金利戦略責任者、チャールズ・ディーベル氏 (ロンドン在勤)は「システマティックな問題が増幅している」と指摘し、「信 頼感に関する問題はますます悪化している」と語った。

10年債利回りはロンドン時間午後4時15分までに、前週末比6ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)下げ3.73%と、2006年12月以来の低水準とな った。ディーベル氏は10年債利回りは年内に2.75%まで低下するとみている。 同国債(2018年1月償還、表面利回り4%)価格は0.51ポイント上げ102.23。

2年債利回りは同9bp下げ3.18%。2年債に対する10年債の上乗せ利回 りは、ここ2カ月で最小の幅から3bp拡大し55bpとなった。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   1-212- 617-3007

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: ニューヨーク 西前 明子 Akiko Nishimae +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net

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