日銀総裁:米国中心に世界経済の下振れリスクやや強まっている(2)

(第1段落以降に発言を追加します)

【記者:日高正裕】

3月7日(ブルームバーグ):日本銀行の福井俊彦総裁は7日午後、定例会 見で、「米国を中心とする世界経済はダウンサイドリスクがやや強まっている。 国際金融資本市場では2月末あたりを境にやや不安定性が増している」と述べた。 その上で、金融政策については「見通しの蓋然(がいぜん)性とそれに対するリ スクをさらに見極めた上で、適切な判断を行っていく必要がある」と語った。

福井総裁は「国際金融資本市場では、サブプライム問題に端を発した動揺が なお続いていて、一言で言えば不安定な状態にある」と指摘。「証券化商品市場 は引き続き機能が低下した状態にあるほか、社債スプレッドの上昇や貸し出し態 度の厳格化など、金融環境はタイト化している」と語った。株式市場や為替市場 についても「世界的に振れの大きな展開になっている」と述べた。

日本経済については「全体としてみると、生産・所得・支出の好循環メカニ ズムが基本的に維持されている中で、緩やかな拡大が続く蓋然性が高いと判断し ているが、足元、住宅投資の落ち込みやエネルギー・原材料価格の上昇などから 減速していることは事実であり、世界経済や国際金融資本市場などをめぐる不確 実性も引き続き大きい」と語った。

生産の先行きは海外経済に左右

生産については「昨年後半やや強めに推移した反動もあって、このところ横 ばい圏内の動きとなっている」と指摘。先行きについては「当面、横ばい圏内で 推移するが、在庫と出庫がバランスの取れた状態にあることを考えれば、その後 増加していくとみている」と述べた。ただ、「この点は海外の経済動向に左右さ れる面もかなり大きいと思われるので、海外からの影響については注意深く見て いく必要がある」と語った。

福井総裁はその上で、金融政策については「日銀としては今後公表される指 標や情報、内外の金融資本市場の状況などを丹念に点検し、見通しの蓋然性とそ れに対するリスクをさらに見極めた上で、適切な判断を行っていく必要があるし、 そういう方向にある」と語った。

主な一問一答は次の通り。

――本日の決定の背景についてご説明いただきたい。

「前回の決定会合以降、約3週間経っているが、この間、そんなに際立った 変化はないが、子細に見ると、米国を中心とする世界経済はダウンサイドリスク がやや強まっている。あるいは国際金融資本市場では2月末あたりを境にやや不 安定性が増している。あるいは国内経済では、生産が横ばい圏内の動きに入って いる。その一方で、原油価格が100ドルを超え、一次産品市況の騰勢が一段と 目立つというふうな変化が見られる」

「国際金融資本市場では、サブプライム問題に端を発した動揺がなお続いて いて、一言で言えば不安定な状態にある。証券化商品市場は引き続き機能が低下 した状態にあるほか、社債スプレッドの上昇や貸し出し態度の厳格化など、金融 環境はタイト化している。株式市場や為替市場は世界的に振れの大きな展開にな っている。米国を中心に世界経済が全体としては拡大を続けているが、ダウンサ イドリスクがやや増していることと関連した動きと理解している」

「日本経済は外需の面では、米国向け輸出は米国経済の減速を受けて弱い動 きが続いているが、新興諸国や産油国など幅広い地域に向けて輸出が増加を続け ている状況には変わりがみられない。今のトレンドから見て、先行きは海外経済 が減速しつつも拡大する下で輸出は増加を続けていくとみられる。内需は企業収 益が法人季報等で見て少し伸び悩みつつある感じがあるが、水準そのものはなお 高い水準で推移しており、設備投資は引き続き増加基調にあるとみている」

「改正建築基準法の施行の影響から減少を続けてきた住宅投資は、このとこ ろ回復に向けた動きが見られるようになってきた。しかし、水準そのものはまだ かなり低いと思っている。雇用・所得面では、一人当たり賃金はやや弱めの動き が続いているが、雇用者数は引き続き増加しており、雇用者所得は緩やかな増加 を続けている。各種の販売統計で見ても、個人消費は全体として底堅く推移して いる状況にあることはご覧の通りだ」

「こうした内外需の下で、生産は昨年後半やや強めに推移した反動もあって、 このところ横ばい圏内の動きとなっている。先行きは今少し推移を見ないと正確 に読み取りにくい面もあるが、生産は当面、横ばい圏内で推移するが、在庫と出 庫がバランスの取れた状態にあることを考えれば、その後増加していくとみてい る。もとより、この点は海外の経済動向に左右される面もかなり大きいと思われ るので、海外からの影響については注意深く見ていく必要がある」

「日本経済は全体としてみると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが基 本的に維持されている中で緩やかな拡大が続く蓋然性が高いと判断しているが、 足元、住宅投資の落ち込みやエネルギー・原材料価格の上昇などから減速してい ることは事実であり、かつまた、世界経済や国際金融資本市場などをめぐる不確 実性も引き続き大きい」

「従って、日銀としては今後公表される指標や情報、内外の金融資本市場の状況 などを丹念に点検し、見通しの蓋然性とそれに対するリスクをさらに見極めた上 で、適切な判断を行っていく必要があるし、そういう方向にある」

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE