米金融機関の差し押さえ物件急増-管理放棄で自治体の負担増にも

米国のボストン市民は昨年、ヘンドリー街 にある見捨てられたマンション1棟を維持するのに1万120ドル(約104万円) の税負担を強いられた。その中の3戸のうち1戸は、米2位の証券会社モルガ ン・スタンレーの所有で、1戸は米投資会社ローンスター・ファンズのものだ。

マンションの1階にある1戸の所有権は昨年7月、ローンスター傘下のア クレディテッド・ホーム・レンダーズ・ホールディングに移った。最上階の1 戸はその前の月に、FV-Iという企業が差し押さえた。モルガン・スタンレ ーの証券当局への1月29日付の報告によれば、FV-Iは、同社の子会社だ。

全米納税者連合(NTU)のピーター・セップ副代表は、貸し手や投資家 が放棄した差し押さえ物件を維持するための一般市民の負担額は今年、最大 500億ドルに達すると予想。同副代表は、連邦議会が空き家物件急増に伴う治 安悪化を防ぐため、地方自治体の負担を軽減する法案を検討していると話す。

ムーディーズ・エコノミー・ドットコムのチーフエコノミスト、マーク・ ザンディ氏は「地方自治体を含め、住宅は今や経済のあらゆるところに影響を 及ぼしている」と指摘。銀行や住宅ローン会社は一般的に差し押さえ物件に管 理人を置くが、同氏によれば、差し押さえが広がり、住宅の価値が低下してい る今、放置してしまう金融機関が増えているという。

ヘンドリー街は、清教徒が1631年に設立した教会が近くにあることで知ら れるミーティングハウス・ヒルの一角だ。モルガン・スタンレー所有の寝室が 3部屋ある物件は今、5万4900万ドルで売りに出されている。不動産譲渡証書 によれば、この物件は2年前に29万9000万ドルで売却されている。

モルガン・スタンレー広報担当のマーク・レーク氏と、ローンスターのエ ド・トリッセル氏はコメントを拒否している。

差し押さえ急増

差し押さえ物件情報を扱うリアルティトラックによれば、米国では昨年、 ほぼ100万戸の住宅が差し押さえられた。過去最高であり、06年の倍以上だ。 米連邦預金保険公社(FDIC)は、米金融機関が07年末時点で121億ドル相 当の差し押さえ不動産物件を保有しているとしている。1年前の倍の規模だ。

NTUのセップ副代表は「われわれの子供や孫がこうした物件の管理コス トを負担することになるだろう。その経費は、少なくとも連邦政府レベルでは 借り入れで賄うほかないからだ」と述べる。

民主党のハリー・リード上院院内総務(ネバダ州)は先月、差し押さえら れた不動産物件を維持もしくは解体する自治体を支援するため、連邦予算から 40億ドルを拠出することを求める法案を提出。これとは別に、各10億ドルの 連邦予算を求める3つの同じような法案が議会の小委員会で諮られている。

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