東京外為:ドルが3年超ぶり安値圏、米雇用悪化を警戒-下値リスク意識

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が約3年1カ月ぶりのドル安水準で推移している。米景気の後退懸念や信用不 安の拡大を背景に株安が進む中、早朝の取引では一時、2005年1月28日以来の ドル安値となる1ドル=102円46銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ) までドル安・円高が進行。その後はややドルが持ち直しているものの、米雇用 統計の下振れ警戒からドルの上値は重い。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の清水昭男グループマネージャーは、「東 京時間は米雇用統計の発表を控えていることもあり、若干動きにくい展開とな るが、海外株安を受け、アジア株も頭が重くなりそうな気配で、雇用統計の悪 化見通しからするとドルは買いづらい」と指摘。東京時間日中も「ヘッジも含 めてドルの下値を探るような動きになる」といい、ドル・円は102円を意識し た展開になるとみている。

信用不安で株価下落

6日の米株式相場は大幅反落。住宅差し押さえ件数が過去最高となり、住 宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージとカーライル・グループ傘下のクレジッ トファンドがデフォルト(債務不履行)通知を受け取ったため、信用市場での 損失が拡大するとの不安が広がった。

また、7日午前の東京株式相場も大きく下げており、世界的な株安を背景 に「円キャリー(円借り取引)のアンワインドや、ドル・円の100円割れやユ ーロ・円の155円割れを警戒してレパトリエーション(自国への資金回帰)が 前倒しされる可能性」(ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替営業部長・斉藤裕 司氏)が警戒されている。

一方、ドル・円の102円台では国内輸入企業などのドル買い意欲も指摘さ れており、ドル・円は朝方に102円46銭のドル安値を付けた後、102円台後半 までドルが下げ幅を縮小。ただ、米雇用の減少が示される中、「海外市場まで 考えれば05年1月の安値(ブルームバーグデータでは101円68銭)を意識せ ざるを得ない」(同)といい、ドルの戻りは鈍い。

米雇用統計を警戒

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、この日 発表される2月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比2万3000人 増加したもよう。1月は同1万7000人減と03年8月以来、初めての減少とな ったが、2月も労働力人口の伸びと均衡するのに必要な約10万人増を大きく下 回る見通しとなっている。

三菱UFJ信託銀の清水氏は、「米国経済に関しては、これまで下支えと なっていた雇用と個人消費に減速懸念が広がっている。1月の雇用統計では雇 用の減少を示され、その後の雇用関連の指標も減速を示すものが目立っており、 きょうの雇用統計が再度注目されている」と語る。

ニューヨーク連銀のガイトナー総裁は6日、金融市場の緊張が続き、経済 成長を脅かすようであれば、政策金利は当面、低い水準で維持する必要がある かもしれないと述べた。また、セントルイス連銀のプール総裁は米国のリセッ ション(景気後退)は予想していないとしながらも、その可能性はあると発言 した。

金利先物相場動向によると、3月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC) でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標(現行3%)が0.75ポイント引き 下げられる確率は98%と前日の74%から上昇。残る2%は0.5ポイントの利下 げを見込んでいる。

ユーロ・ドル、1.55ドルも視野

一方、欧州中央銀行(ECB)は6日開いた定例政策委員会で、短期金利 の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ=レポ)の応 札最低金利を4%に据え置いた。イングランド銀行も同日の金融政策委員会(M PC)で、政策金利のレポ金利を5.25%に据え置くことを決めた。

注目のトリシェECB総裁の会見では、「中・長期的なインフレ期待をし っかりと抑制することが、政策委員会にとって最優先事項」であり、「現在の 金融政策はこの達成に役立つ」と表明。また、対ドルで進んでいるユーロ高に ついて、トリシェ総裁は、米国の「強いドル政策」を注視している姿勢を示し たものの、ユーロ上昇に対する懸念を表明することは避けた。

欧米の金利差拡大見通しに加え、トリシェ総裁がユーロ高をけん制しなか ったことから、外国為替市場ではユーロ高・ドル安が一段と進み、7日早朝に はユーロ・ドルが一時、1ユーロ=1.5395ドルとユーロ導入以来の史上最高値 を3営業日連続で更新している。

ソシエテ・ジェネラル銀の斎藤氏は、「米国の経済指標が悪くなり、一段 の利下げが見込まれる中、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に沿っ たドル安は仕方がない」と指摘。「1.5400ドルにはオプションのトリガーもあ るため、東京時間に抜けるかどうかは分からないが、米雇用統計で悪い数字が 出ようものなら、すんなりと通り過ぎて1.55ドルということもあり得る」と語 る。

-共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama、Hidenori Yamanaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya

+81-3-3201-2371 hkomiya1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Sandy Hendry

+852-2977-6608 shendry@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE