JPモルガンの菅野氏:誰が日銀総裁でも当面の金融政策は変わらない

JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野 雅明氏は6日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日銀総裁人事や 日米の金融政策などの見通しについて、以下のようにコメントした。

日銀総裁人事が混迷していることについて:

「民主党も態度軟化の兆しがある。武藤敏郎副総裁を昇格させることを軸に 政府案を考えていると思う。武藤副総裁以外の人を出すとなれば、福田康夫首相 のリーダーシップに疑問を呈する形になるのではないか。正面から提示して、民 主党が反対するかどうか。民主党内で強く難色を示す人もいるが、反・武藤副総 裁で結束できるかどうかだ」

「民主党の反対が本気であれば、日銀総裁にふさわしい人を提示する対案を 出さないと国民の理解が得られない。山口泰前副総裁の名前も挙がっているが、 どういう理屈で武藤副総裁から山口前副総裁に代わったのかを説明できないので、 自民党にとってはマイナスシナリオになるだろう。民主党の中には山口前副総裁 に対しても反対の声が出ている」

「原油など商品市況高騰の悪影響が大きくなっており、日米ともに景気後退 に陥るかもしれないという状況。日銀総裁が空席になれば取り返しがつかない。 金融政策の空白期間は回避しなければならない」

日銀の金融政策への影響:

「日銀の金融政策に関しては、誰が総裁になっても変わりはない。今の選択 肢は非常に少なく、景気が減速する一方で、物価が上昇するスタグフレーション 的な状況に加え、米サブプライム(信用力の低い個人向け住宅融資)問題などが ある。金利の上げ下げだけで解決することは難しい。政策金利が0.5%しかな く、いつ利下げの切り札を切るのか。利下げをしても効果が限られていることも あり、新総裁が現実問題として利下げできるかどうか難しいだろう」

「現実が予想以上に悪化し、世界的に景気後退に陥るまで行かないと利下げ の切り札を切ることはないと思う。為替が1ドル=103円台で止まっているが、 底抜けするリスクもある。ドルが暴落して円が独歩高になるか、世界的に原油価 格が下落し始めてデフレリスクが見えてくる状況になれば、日銀もゼロ金利に戻 って何ができるかを考える必要があるだろう」

「一方で、先進国は、景気の先行きが弱くエネルギー需要は伸びない見通し だが、中国、インドなど新興国の需要が落ちなければ、商品価格はそれほど下落 しないとの見方もある。多少、景気後退に片足を突っ込んでも、今はデフレ状況 だった98年とは大きく違う。コア消費者物価(CPI)がプラス1%近くある 時に急激に利下げをしなくても良いという意見もある」

米国経済と金融政策について:

「バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が思い切って利下げをし て実質マイナス金利に持っていくかどうかという選択肢しかない。インフレへの 見方は分かれているが、景気後退リスクが高まっている局面で、景気に本腰を入 れて対応しなければならない状況。当社では3月18日に0.5%ポイントの利下 げを予想している。個人的には早い方が良く、1月のように緊急利下げをしても 良いのではないかと思っている」

「FRBが市場の期待に先回りして動き、景気が立ち直るという信任が得ら れれば、利上げに転じることができ、最小コストですむ。(経済実勢を見極めた 上で利下げする)ビハインド・ザ・カーブになると、ドル安・インフレ高進・景 気後退という悪循環になる」

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