3月6日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国株とNY外為を更新します)

○米国株:反落。S&P500種株価指数は2006年9月以来、1年半ぶりの安値 となった。住宅差し押さえ件数が過去最高となり、住宅ローン会社ソーンバーグ・ モーゲージとカーライル・グループ傘下のクレジットファンドがデフォルト(債務 不履行)通知を受け取ったため、信用市場での損失が拡大するとの不安が広がっ た。

シティグループやJPモルガン・チェース、メリルリンチを中心に売りが 膨らみ、S&P500種の金融株指数は03年5月以来の低水準。小売り大手の JCペニーとギャップは下落。2月の既存店売上高がアナリスト予想を下回っ たことが嫌気された。7日発表の雇用統計がリセッション(景気後退)入りの 瀬戸際にあることを示すとの思惑が強まり、S&P500種は取引終了にかけて 下げ足を速めた。

S&P500種株価指数は前日比29.36ポイント(2.2%)下げて

1304.34。ダウ工業株30種平均は214.60ドル(1.8%)安の12040.39ド ル。ナスダック総合指数は52.31ポイント(2.3%)下げて2220.50。ニュ ーヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対11。

AIMインベストメンツで40億ドルの資産を運用するポール・ラスプリ カ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「融資基準が厳しく、 信用供与が縮小している。企業には非常に厳しい環境だ」と指摘した。

金融株指数は6日続落と、昨年11月以来で最長の下落局面となった。07 年第4四半期の住宅差し押さえ件数の比率が過去最高となり、返済遅延率も23 年ぶりの高水準に上昇したことが売りを誘った。S&P500種は年初からの最 安値だった1月22日の水準を下回った。同日には世界的な株安と景気失速に 対処するため、米連邦公開市場委員会(FOMC)が大幅な緊急利下げを発表 した。

下値不安

シティグループのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、トム・フィッツ パトリック氏によると、S&P500種は1316.75の下値支持線を割り込んだ。 同氏は顧客向けリポートで、数週間以内に最大11%下げ、1160ドルまで下落 する可能性があると指摘した。

シティは1998年11月以来の安値水準。アメリカン・インターナショナ ル・グループ(AIG)やバンク・オブ・アメリカ(BOA)も大幅安となっ た。

一部の住宅ローン担保証券(MBS)利回りの米国債への上乗せ幅が過去 22年で最大に拡大。住宅ローンのコストが上昇することを示唆した。サブプラ イム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の悪化を受け、銀行の評価損は 1810億ドルに膨らみ、融資が縮小している。

小売株

S&P500種の小売株指数は4%安となり、1月17日以来の低水準。構 成する31銘柄のうち30銘柄が下げた。1月は4年余りぶりに雇用が減少し、 ガソリン価格が高騰したため、個人消費が落ち込んだ。原油相場は6日、1バ レル=105ドル台に乗せ、ドルはユーロに対して最安値を記録した。

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、7日発表の2月の雇用統計で は非農業部門雇用者数が前月比2万3000人増加すると予想されている。1月 は1万7000人減少だった。

USグローバル・インベスターズ(テキサス州サンアントニオ、運用資産 50億ドル)のシニアトレーダー、マイケル・ナスト氏は「市場参加者は悪いニ ューズが続くと予想している。ある業種で雇用が悪化するとさらに別の業種へ と波及していくだろう」と語った。

○米国債:相場は上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)は信用市場での損失拡 大を防ぐことができないとの懸念が広がり、3カ月物財務省短期証券(Tビル) の利回りは2004年以来の水準に低下した。

ソーンバーグ・モーゲージとカーライル・グループ傘下のファンドがいずれ もデフォルト(債務不履行)の通知を受けたことから、安全とされる政府債への 逃避が進んだ。一時はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)などの住宅金 融機関が発行する証券を政府が保証するとの憶測が流れ、米国債相場は上値を削 られる場面もあったが、米財務省はこの憶測は事実に反すると否定した。

RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米国債トレーディング責 任者、トーマス・トゥッチ氏は、「毎日が1987年のブラックマンデーのようだ」 と語る。「一日たりとも椅子に落ち着いて座ってはいられない。システム全体が 日々、リスクにさらされている」と続けた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時32 分現在、2年債利回りは前日比13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイン ト)低下して1.50%。2年債(表面利率2%、2010年2月償還)価格は同1/4 上げて100 31/32。10年債利回りは同10bp下げて3.58%だった。

3カ月物Tビルの利回りは13bp下げて1.36%。一時は2004年7月以来の 最低となる1.31%まで下げた。3カ月物Tビル利回りと3カ月物LIBOR(ロ ンドン銀行間取引金利)の格差である「TEDスプレッド」は昨年12月27日以 来の最大となる1.64ポイントに拡大した。

「不安が支配」

フェデレーテッド・インベスターズ(ピッツバーグ)で約60億ドルの資産 運用を監督するドナルド・エレンバーガー氏は、「短期債を動かしているのはま さに不安そのものだ」と語った。

金利変動へのヘッジに用いられる2年物金利スワップのスプレッド(2年債 利回りへの上乗せ幅)は110.06bpに拡大し、ブルームバーグがデータ集計を開 始した1988年11月以来の最大となった。

ドレスナー・クラインオート(ニューヨーク)の米国債トレーディング責任 者、トーマス・ロス氏は、「これほどに流動性の低い市場はみたことがない」と 語る。「状況には改善の兆しがみられない。この環境がしばらく続くだろう」と 付け加えた。

米国債のボラティリティ(予想変動率)を示すメリルリンチのMOVE指数 は前日、164.9に上昇。1月28日以来の高水準に達した。FOMCはこの2日 後の定例会合で0.5ポイントの追加利下げを決定した。

インフレ期待

2年債に対する10年債の上乗せ利回りは2.07ポイントと、この4年近く で最大に拡大した。商品価格の急騰を背景に、追加利下げがインフレ加速につな がるとの見方が広がった。ニューヨーク原油先物は1ドル=105.97ドルで終了。 終値ベースでの過去最高値を更新した。

10年債と10年物インフレ連動債(TIPS)の利回り格差は6日に2.57 ポイントに拡大。2006年8月以来の最大となった。今後10年間のインフレ期待 が上昇したことを意味する。

実質マイナス利回り

米労働省が発表した1月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)の変動 の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比で2.5%上昇した。2 年債利回りはこれを1ポイント近く下回っている。インフレを調整した実質ベー スでの2年債利回りはマイナス0.99ポイントとなる。

ベアー・スターンズの米国債トレーディング責任者、リチャード・ボルプ氏 (ニューヨーク在勤)は、「バリューを求めた相場展開ではない。資本の保持が 目的だ」と述べた。

シカゴ商品取引所(CBOT)で取引されるフェデラルファンド(FF)金 利先物の動向によると、現行3%の同金利誘導目標が0.75ポイント引き下げら れる確率は72%。前日の54%から上昇した。残る28%は0.5ポイントの利下 げを予想している。

ニューヨーク連銀のガイトナー総裁は6日、「金融市場の動揺とこれに伴う 経済成長の下振れリスクが長期化する場合、当面は緩和的な金融政策を続ける必 要があるかも知れない」と語った。

○NY外為:ユーロがドルに対して最高値を記録。欧州中央銀行(ECB)のト リシェ総裁が「インフレには短期的に強い上昇圧力」があると述べ、利下げを急 がない姿勢を示したのが背景。

ユーロは英ポンドに対しても高値を記録。ECBはこの日、定例政策委員会 を開き、短期金利の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオ ペ=レポ)の応札最低金利を4%に据え置くことを決めた。ブルームバーグ・ニ ュースが実施したエコノミスト調査では据え置きが予想されていた。2年物ドイ ツ国債と同年限の米国債の利回り格差は、過去15年で最大に拡大した。トレー ダーは米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月の会合で追加利下げを決定する と見込んでいる。

RBSグリニッチ・キャピタル・マーケッツ(コネティカット州グリニッチ) の国際通貨ストラテジー北米責任者、アラン・ラスキン氏は、トリシェ総裁の発 言は「ドル売りを後押しした。トリシェ総裁は米ドルを支援するためにECBが 何か明らかな措置を講じる意向はないことを示唆している」と語り、発言内容は 「ECBにとって今は利下げしづらい時期にある」ことを示唆したものだと述べ た。

ニューヨーク時間午後3時53分現在、ユーロはドルに対して1.5378ドル (前日は1.5265ドル)、一時は1ユーロ=1.5380ドルの最高値まで上昇した。 円はドルに対しては102円57銭(前日は104円1銭)、ユーロに対して157 円73銭に上昇、前日は1ユーロ=158円76銭だった。

ユーロは過去8営業日のうち7営業日で最高値を更新した。昨年11月以降、

1.43-1.49ドルで推移していたが、コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副 議長が2月26日にインフレよりも「金融市場や景気の逆風が米経済の厚生にと ってより大きな脅威である」と述べたのを手掛かりに、ユーロが対ドルで1.50 ドルを突破し、上昇が始まった。

トリシェ総裁発言

トリシェ総裁は定例政策委員会後の記者会見で、「最新のデータから、イン フレについて短期的に強い上昇圧力および物価安定に対する上昇リスクがあるこ とが確認された」と述べ、「当局は金利先物市場の動きに左右されることはない」 と続けた。

同総裁はまた、「米大統領や米財務長官などの当局者が大西洋の向こう側で 繰り返している、強いドルが米国の国益だという発言を強い関心を持って留意し ている」と語った。

ユーロは対英ポンドで1ユーロ=76.92ペンスと、最高値を記録。イングラ ンド銀行(BOE)は金融政策委員会(MPC)で、政策金利のレポ金利を5.25% に据え置くことを決めた。予想通りの結果だった。ユーロの対英ポンドはほぼ変 わらずの76.46ペンス。

ドルの下落

ドルはFOMCの追加利下げ観測を材料に下落している。主要6通貨に対す るインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は8日連続で低下し

72.901と、過去最低水準だった。 全米抵当貸付銀行協会(MBA)が発表した 統計で、米住宅ローンの延滞に伴う住宅差し押さえが2007年末時点で過去最高 水準を記録したのが背景。

ドルはスイス・フランに対しても最安値の1ドル=1.0225スイス・フラン だった。

金利先物市場動向によると、3月18日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.75ポイント引き下げられる確率は74%となってい る。残る26%は0.5ポイントの利下げを見込んでいる。

○英国債:相場は2005年7月以来の大幅上昇となった。2年債利回りは4年半 ぶりの低水準まで低下した。欧州の株式相場下落に加え、社債保有リスクが高ま ったことが背景。

2年債利回りは前日比16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下 げ3.87%となった。同国債(2009年12月償還、表面利回り5.75%)価格は

0.26ポイント上げ103.16。10年債利回りは10bp低下し4.38%となった。

英株式の指標であるFT100指数は一時、前日比1.7%安と、ほぼ1カ月 ぶりの安値に近づいた。欧州株式の指標であるダウ欧州株価指数も下落。過去7 営業日で6日下落している。

クレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場で社債保有リスクが上昇し た。米金融保証会社(モノライン)2位のアムバック・ファイナンシャル・グル ープの15億ドル(約1540億円)の増資計画が格下げ回避には不十分との見方 からリスク意識が高まった。

○欧州債:ドイツ2年債相場が下落した。欧州中央銀行(ECB)はインフレ加 速を背景に利下げに踏み切らないとの観測が広がったことが背景。

ECBは6日の定例政策委員会で政策金利を4%に据え置いた。トリシェ総 裁は記者会見で、現在の金融政策スタンスは物価安定につながっていると語った。 2年債相場は一時、株式相場の下落を背景に安全投資としての国債需要が高まっ たことを受け上昇する場面もあった。

ABNアムロ・ホールディングの債券ストラテジスト、ジェイソン・シンプ ソン 氏(ロンドン在勤)は、ECBは「ややタカ派的だった。国債相場が下落し たのはそれほど驚くべきことではない」と指摘した。同氏は2年債利回りが月内 に3.4%まで上昇する可能性があるとみている。

2年債利回りはロンドン時間午後4時48分までに、前日比4ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01%)上げ3.31%。一時は3.18%まで低下した。同 国債(2009年12月償還、表面利回り4%)価格は0.08ポイント下げ101.15。 一方、10年債利回りは6bp下げ3.81%となった。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

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