米国債:上昇、3カ月物TB1.36%-信用市場の不安で「質への逃避」

米国債相場は上昇。米連邦準備制度理事会 (FRB)は信用市場での損失拡大を防ぐことができないとの懸念が広がり、 3カ月物財務省短期証券(Tビル)の利回りは2004年以来の水準に低下した。

ソーンバーグ・モーゲージとカーライル・グループ傘下のファンドがいず れもデフォルト(債務不履行)の通知を受けたことから、安全とされる政府債 への逃避が進んだ。一時はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)などの 住宅金融機関が発行する証券を政府が保証するとの憶測が流れ、米国債相場は 上値を削られる場面もあったが、米財務省はこの憶測は事実に反すると否定し た。

RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米国債トレーディング 責任者、トーマス・トゥッチ氏は、「毎日が1987年のブラックマンデーのよ うだ」と語る。「一日たりとも椅子に落ち着いて座ってはいられない。システ ム全体が日々、リスクにさらされている」と続けた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 32分現在、2年債利回りは前日比13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポ イント)低下して1.50%。2年債(表面利率2%、2010年2月償還)価格は 同1/4上げて100 31/32。10年債利回りは同10bp下げて3.58%だった。

3カ月物Tビルの利回りは13bp下げて1.36%。一時は2004年7月以 来の最低となる1.31%まで下げた。3カ月物Tビル利回りと3カ月物LIBO R(ロンドン銀行間取引金利)の格差である「TEDスプレッド」は昨年12 月27日以来の最大となる1.64ポイントに拡大した。

「不安が支配」

フェデレーテッド・インベスターズ(ピッツバーグ)で約60億ドルの資 産運用を監督するドナルド・エレンバーガー氏は、「短期債を動かしているの はまさに不安そのものだ」と語った。

金利変動へのヘッジに用いられる2年物金利スワップのスプレッド(2年 債利回りへの上乗せ幅)は110.06bpに拡大し、ブルームバーグがデータ集計 を開始した1988年11月以来の最大となった。

ドレスナー・クラインオート(ニューヨーク)の米国債トレーディング責 任者、トーマス・ロス氏は、「これほどに流動性の低い市場はみたことがな い」と語る。「状況には改善の兆しがみられない。この環境がしばらく続くだ ろう」と付け加えた。

米国債のボラティリティ(予想変動率)を示すメリルリンチのMOVE指 数は前日、164.9に上昇。1月28日以来の高水準に達した。FOMCはこの 2日後の定例会合で0.5ポイントの追加利下げを決定した。

インフレ期待

2年債に対する10年債の上乗せ利回りは2.07ポイントと、この4年近 くで最大に拡大した。商品価格の急騰を背景に、追加利下げがインフレ加速に つながるとの見方が広がった。ニューヨーク原油先物は1ドル=105.97ドル で終了。終値ベースでの過去最高値を更新した。

10年債と10年物インフレ連動債(TIPS)の利回り格差は6日に

2.57ポイントに拡大。2006年8月以来の最大となった。今後10年間のイン フレ期待が上昇したことを意味する。

実質マイナス利回り

米労働省が発表した1月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)の変 動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比で2.5%上昇した。 2年債利回りはこれを1ポイント近く下回っている。インフレを調整した実質 ベースでの2年債利回りはマイナス0.99ポイントとなる。

ベアー・スターンズの米国債トレーディング責任者、リチャード・ボルプ 氏(ニューヨーク在勤)は、「バリューを求めた相場展開ではない。資本の保 持が目的だ」と述べた。

シカゴ商品取引所(CBOT)で取引されるフェデラルファンド(FF) 金利先物の動向によると、現行3%の同金利誘導目標が0.75ポイント引き下 げられる確率は72%。前日の54%から上昇した。残る28%は0.5ポイント の利下げを予想している。

ニューヨーク連銀のガイトナー総裁は6日、「金融市場の動揺とこれに伴 う経済成長の下振れリスクが長期化する場合、当面は緩和的な金融政策を続け る必要があるかも知れない」と語った。

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