東京外為:ドルが対ユーロで史上最安値更新、米欧の金利差拡大見通し

東京外国為替市場ではドルが対ユーロで一 段安となり、一時1ユーロ=1.5307ドル(ブルームバーグ・データ参照、以下 同じ)と、1999年1月のユーロ導入後の最安値を更新した。米国では景気の減 速懸念を背景に金利先安観がくすぶる一方、ユーロ圏はインフレ警戒姿勢を維 持するとの見方から金利格差が広がるとの観測が強まり、ユーロ買い・ドル売 りに圧力がかかった。

UBS銀行外国為替部の牟田誠一朗ディレクターは、「ユーロ圏ではドイ ツ以外でも賃上げの流れが出ているうえ、エネルギー価格の上昇圧力も強まる なか、欧州中央銀行(ECB)は手綱を引き締めざるを得ない」とした上で、 この日の会合については政策の現状維持を予想。「一方で、ドルは全くいい材 料がなく、大幅利下げ観測も生じており、消去法的な動きではなく安全な通貨 としてユーロが選好される動きが強まる可能性がある」とみている。

ECBは政策据え置きへ、ユーロ高けん制に警戒感も

ECBはこの日に政策決定会合を開く。ブルームバーグ・ニュースがまと めた市場予想では、政策金利が4%に据え置かれると見込まれている。米国の サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題から派生した世界景気 の不透明感から利上げに踏み込みにくいものの、原油相場の高騰などを背景に インフレ警戒姿勢は維持するとみられる。

半面、米国では、給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・ プロセッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが5日に発表した給与 名簿に基づく集計調査で、2月の民間部門の雇用者数が2003年6月以来初めて マイナスに転落。加えて、連邦準備制度理事会(FRB)が同日に公表した地 区連銀経済報告(ベージュブック)では、全米12地区連銀のうち8連銀が管轄 地域の経済成長は年初から鈍化したと報告している。

新光証券の林秀毅チーフエコノミストは、米国の雇用については伸びの悪 さが懸念されており、あす発表される雇用統計が弱含みの内容となれば、利下 げ観測が高まると予想。「一方で、ECBは足元のインフレ懸念があるので、 利下げに言質を与えないと思われる」とみている。

このため、「金利を下げる幅とタイミングからいうと、地合いとしてはユ ーロを買いたいという力が強い」(林氏)情勢となっている。

ただ、「1.52ドル程度がユーロ圏側の許容限度かなという感があったが、

1.53ドルまでユーロが上振れたことで、トリシェ総裁が会合後の記者会見で足 元の市場の動きに懸念を示す可能性もある」(林氏)といい、会合後にはユー ロの売り戻しが進む展開もあり得そうだ。

日銀総裁人事の混迷が円に重し

一方で、全般的なドル売りの流れのなかで、ドルは対円での下落が限定的 となった。前日の海外市場では、米供給管理協会(ISM)の非製造業景気指 数が市場の予想を上回ったことに加え、米株が上昇したことで、リスク回避姿 勢の緩和から円売りが進行。一時は1ドル=104円19銭と、2月29日以来の水 準までドル高・円安が進んだ。

ドルの戻り局面では国内輸出企業の売り圧力が強いため、この日の東京市 場では103円台後半を中心にドルが上値を抑えられた。ただ、市場では「日本 銀行の次期総裁人事の混迷が日本への信任の低下につながっていることから、 日本売りといった状況」(住友信託銀行マーケット資金事業部門・松本三郎チ ーム長)との指摘も聞かれ、対円ではドル下落の勢いが限られた面もある。

三井住友銀行市場営業部の高木晴久グループ長は、あす発表される米国の 雇用統計が大きなイベントになると思うが、「民間の統計が弱かったことで目 線が下がっている面があり、多少弱い結果では驚かない可能性もある」と予想。 ドルは対円で3日の安値102円60銭近辺が下値のめどとして意識されるが、同 水準を割り込まなかった場合は、ドルの下値を攻める機運は醸成されにくく、 レンジ相場が続く展開も見込んでいる。

ユーロ・円相場は前日の海外市場で、一時1ユーロ=159円21銭と、2月 29日以来の水準までユーロ高・円安が進行。この日は158円台後半で取引され た。

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