スカイマーク社長:来期にも初配当-羽田拡張で国際線進出を検討(3)

独立系の国内線格安航空会社、スカイマー クは来期(2009年3月期)に初の配当を実施する準備に入った。同社の西久保 愼一社長が4日、ブルームバーグ・ニュースのインタービューで明らかにした。 今期(08年3月期)は2期ぶりの営業黒字を達成する見込みで、来期中には前 期までの累積損失を解消し、財務体質の健全化にめどがつくため。

今期の第4四半期(1-3月期)は旅客の伸びも好調。円高リスクは残る ものの、純利益27億円予想はほぼ達成の見通し。今期の利益は、前期までの 累損の穴埋めに活用する考えだ。

同社の予想では来期の旅客数も今期見込み比5%は伸びるとみている。売 上高も同5%増の525億円の見通し。燃費が4割向上する新型航空機も3機導 入することから、配当原資を確保するだけの利益は十分見込めるという。

路線拡大などでコストアップとの指摘も

野村証券金融経済研究所の村山誠シニアアナリストは「前期までの累積損 失が今期末には12億円程度残るようだが、スカイマークは国内線で大手から シェアを奪っているので、予想するような業績が実現するのであれば、配当は 可能だと思う」と語っている。

新生証券シニアアナリストの松本康宏部長は「来期数%の売り上げの伸び は確かに期待できる。燃油もこのまま高止まりで動かなければ、スカイマーク への影響もさほど大きくはないだろう。ある程度の上昇は運賃への価格転嫁で 吸収できる。ただ、燃油価格がさらに上昇すれば影響もあるだろう」とみてい る。また、「来期は12月から中部国際空港の路線便を開設するので、その分 のコストは上乗せになる。路線拡大や国際線進出となれば、その分、コストも 増えるので、配当を継続して実施できるかどうか難しくなる」と指摘する。

西久保社長は、発行済み株式総数が6000万株で、「仮に10円の配当を実 施すると、6億円の配当原資が必要になる」と指摘。同社の方針として配当原 資は経常利益の4分の1と決めている。そのためには最低でも、経常利益24 億円、純利益12億円の確保が不可欠だが、現在のところ確保は可能で、配当 が実施できそうだとしている。これが実現すれば同社設立以来、初の配当実施 となる。

西久保社長はスカイマークが多額の累損を抱えて経営危機に陥った際に増 資を引き受けて、社長に就任、経営を引き継いだ経緯がある。ブルームバー グ・データによると、現在の西久保社長の持ち株比率は44.87%。

羽田拡張に合わせ国際線進出も

また、西久保社長は国際線進出を検討していることを明らかにした。10年 の羽田空港拡張による離発着枠の拡大に合わせ、アジア地区の国際定期便を就 航させたいと考えている。すでに西久保社長が国際線進出の意向を社内に伝え た。候補地としては航空機の整備を委託している台湾企業の拠点がある台北桃 園国際空港、もしくはフィリピンのマニラ空港(ニノイ・アキノ国際空港)が 有力だという。

国際定期便は、国際リゾート路線会社のジャルウェイズなどを含む日本航 空グループや、エアーニッポンなどを含む全日本空輸グループがすでに就航さ せているが、スカイマークが参入すると3グループ目となる。

ただ、国土交通省は羽田空港から国際線が就航できる範囲を、国内線で最 長距離の石垣島まで約2000キロの半径内に制限するガイドラインを過去に示 した。台北空港もマニラ空港もこの半径から飛び出してしまう。また、スカイ マークは現在、国内線専用の事業者で、国際線の定期便を運航する場合は、新 たに国交省へ事業認可を申請する必要がある。

スカイマークでは国交省のガイドライン運用判断が今後どうなるのかなど を見極めながら、国際線進出の準備を進めることにしている。

国交省が羽田-石垣ルールのガイドラインを作成したのは、羽田空港は国 内線、成田空港は国際線という「内際分離」の政府方針との整合性を何とか維 持しようとしているからだ。国交省では羽田-石垣ルールは「あくまで目安に 過ぎない」(鈴木久泰航空局長)と柔軟な姿勢もみせている。

スカイマークは国交省が台北やマニラ空港への定期便就航を認めるようで あれば、羽田空港拡張完了とともに就航させる考えだ。国交省がガイドライン を厳格に運用する方針なら、国際線は韓国や上海など限られた都市にしか就航 できず、「多くの航空会社が韓国などに集中して競争が激しくなってしまう」 (西久保社長)ため、進出を見送る。スカイマークでは、過去に羽田空港と韓 国の仁川空港を結ぶチャーター便を運航して撤退した苦い経験を持っている。

業績回復から国際線を視野に

スカイマークが国際線を視野に入れ始めたのは、業績が回復し、安定した 経営を継続できる見通しがついたため。西久保社長は「会社として事業のバリ エーションを持ちたいし、より早く、より遠くに旅客を移動させるのが航空会 社の使命だ」と説明する。

同社は今年12月から新たに中部国際空港を拠点とした路線展開を予定し ており、「線から面への路線展開」(西久保社長)を目指している。中部空港 からも国際定期便の展開は可能だが、「羽田空港には自社のインフラも整って いるし、当然、旅客の需要も集中する」(同)ため、羽田からの国際定期便就 航を目指すことにした。

スカイマークが検討している路線は、現在でも成田空港発着で内外航空会 社が運航している人気路線でもある。台北空港では日航系の日本アジア航空と 全日空系のエアーニッポンが毎日4往復、チャイナエアラインが毎日最低3往 復を運航。マニラ空港も日航が毎日2往復、フィリピン航空が毎日1往復を運 航している。スカイマークが進出すれば、こうしたアジアのドル箱路線で国内 と同様に、運賃競争が展開されそうだ。

野村証券の村山氏は「国内線でシェアを奪うことは、ある程度可能だとは 思うが、未来永劫シェアを取り続けるわけにはいかず、いずれは壁にぶつかる だろう」と指摘し、「さらなる成長を目指すのであれば、国際線への進出は当 然の選択肢だ」と述べている。

スカイマークの株価は午後2時35分現在で前日比2円(0.9%)高の231 円。

--共同取材:萩原ゆき Editor:Hideki Asai、Tetsuki Murotani

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