地球温暖化問題懇談会が初会合、排出権取引検討-座長に奥田氏(4)

政府は5日、首相官邸で「地球温暖化問題に関 する懇談会」の初会合を開き、座長に奥田碩トヨタ自動車取締役相談役(内閣 特別顧問)を選任した。懇談会は福田康夫首相の意向で設置。有識者や企業 経営者らから広く意見を聞き、京都議定書で日本に義務付けられている温室効 果ガスの削減目標(1990年比で2012年までに6%削減)を着実に達成するた めの政策立案に役立てる。

最大の焦点になるのは、政府が企業に温室効果ガス排出量の上限を課し、 過不足分を売買する排出権取引の導入問題。奥田氏は懇談会終了後、官邸で 記者団に対し、経済界には反対論が強くあることを認めつつも、「世界が一つの 潮流に動く中で検討もしないというのは日本の国としてまずい」と言明。排出権 取引を含めた温室効果ガス排出量の削減方法について4月上旬に開く次回会 合で議論したい考えを示した。

排出権取引をめぐっては、カリフォルニア州など米国の一部の州と欧州連合 (EU)加盟国などが取引基準を整備し、世界市場の構築につなげるための「国 際炭素取引協定」(ICAP)を締結するなど国際的な連携の動きも活発化してい る。

奥田氏はこうした情勢を念頭に、地球温暖化への取り組みについて「日本だ けがやるとか、日本だけがやらないとか日本が孤立化するのはまずいことだ。あ くまでもEU、特に米国とは歩調を合わせた形で進んでいかなければいけない」 と指摘。政府・産業界を含めた日本全体で7月の主要国首脳会議(北海道洞爺 湖サミット)までに、排出権取引導入の是非について結論を出すべきだとの考え も表明した。

奥田氏:排出権取引、産業界は今のところ反対

福田首相にとっては、前日本経団連会長で、排出権取引の検討にも前向き な奥田氏を座長に据えることで政府、経済界が一体となって温暖化問題に取り 組む体制を整える狙いがあるとみられる。

ただ、その奥田氏も「日本経団連とか産業界は、排出権取引は慎重に考える べきだということだった。だいぶ真ん中に寄ってきたが今のところ反対している」と 指摘。議論の見通しについても、「経済産業省、環境省、それ以外の研究機関 でも検討するようだ。検討することは日本全体で同意していると思うが、やるのか やらないのか、というのは過程の中だ」と述べ、議論の方向性は示さなかった。

懇談会は12人のメンバーで構成し、経済界からは奥田氏のほか、勝俣恒久 東京電力社長、三村明夫新日本製鉄社長も参加している。

排出権取引、これからよく議論する必要-町村氏

町村信孝官房長官は5日午前の記者会見で、政府が地球温暖化対策を進 める上での懇談会の位置付けについて、「幅広い議論をいただき、ある種の方 向付けというようなものをしていただくと政府内の議論も集約しやすい」と指摘。 福田首相も同日昼、首相官邸で記者団に対し、「どうやって国民が理解し、産業 界も努力をしてもらえるか。いろんなことについて率直に議論してもらいたい」と 期待感を示した。

ただ、町村氏は午後の記者会見で、排出権取引に関しては「温暖化を抑止 するための一つの手段だと思うが、唯一、絶対のものでもない。よく勉強して日 本としてどうしたらいいか総合的に検討していく課題だ」との考えを強調。日本政 府は導入に傾いているのではないかとの質問に対しては、「そんなポジションを 取ったことは一度もない。これからよく議論していくことが大切だ」と応じた。

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