JT:内外工場を再評価、委託生産打ち切り視野-ギョーザ事件(2)

輸入していた中国製冷凍ギョーザで農薬混入に よる中毒事件が発生したJTは4日、国内外の生産委託工場を再評価して基準を満 たさない場合は委託打ち切りも視野に入れた対応を行うと発表した。中国、日本で 品質検査センターを新設・充実するなど、食の安全管理体制を一層強化する。

事件の経過報告と安全対策強化で木村宏社長は都内で記者会見し、「中国は 重要な生産拠点とみなさざるを得ない」と強調し、中国での生産の全面撤退報道を 否定した。食材の手に入りやすさ、輸送のインフラや労働力の質といった面で中国 は優れていると指摘し、「日中を含めて世界での生産を続ける」と述べた。

そのうえで、国内外の生産委託工場について監査や検査を定期的に実施、その 結果を踏まえて改善指導するなどして「厳格な選定基準をクリアした企業のみに生 産委託する」と述べた。ただ、中長期的には製造委託を縮小し、完全子会社化する 加ト吉を含めて自社グループ工場での生産に順次、切り替える方針という。

JTはすでに1日付で中国内に品質管理業務の組織を新設した。中国に担当者 を駐在させ委託先工場での安全管理を強化する。5月には茨城県に、7月には中 国・山東省にそれぞれ独自の品質検査センターも設置し、安全確保の対応を進める。

2月の冷凍食品販売は6割減

ギョーザ中毒事件を受けて、冷凍食品の販売は大きく落ち込んでいる。岩井睦 男取締役によると、2月は前年同月と比べ6割減っており、このうち業務用は4割 減、とりわけ市販用は9割減と厳しい。内外工場の稼働率は7割にとどまっており、 3月以降も販売低迷に歯止めがかからなければ、大幅に生産調整する可能性がある。

JTは、これまで冷凍食品事業を成長が見込める分野と位置づけ、主力のたば こに次ぐ収益の柱として強化してきた。だが、中毒事件の影響で、予定していた日 清食品との冷凍食品事業の統合解消まで余儀なくされた。それでも木村社長は「中 期的にはこれまでとなんら位置づけは変わらない」と述べ、売却の可能性をあらた めて否定。また、被害の拡大を防ぎ、安全強化策を着実に進めることが当事者の責 任であるとし、今回の問題を受けた自らの引責辞任についても否定した。

JTは1月30日、子会社が中国から輸入・販売している冷凍ギョーザから農薬 に使われる有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されたと発表。同製品を含め、 委託生産先の天洋工場から輸入していた冷凍食品の自主回収に踏み切った。4日の 発表によれば、23品の44万7373袋を回収済みで、うち「ひとくち餃子」は10万 9786袋だった。現時点では原因特定には至っていない。

今後は複数の外部専門家を顧問として招へいし、定期的に安全管理体制に関す る評価、助言を仰ぐとしている。天洋工場以外の海外からの輸入品についても順次、 農薬の検査を行っているという。

JTの株価終値は、前日比8000円(1.5%)安の51万8000円。JT株は07 年3月に付けた昨年来安値水準で低迷している。

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