東京外為:ドルもみ合い、日米株下げ渋りで円買い緩和-103円台前半

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=103円台前半を中心にもみ合った。米国のリセッション(景気後退) 懸念がくすぶるなか、雇用統計など週内に重要な経済指標の発表を控えて、ド ルの上値が重い展開が継続。ただ、急速なドル安の進行に対する警戒感からド ル売りの勢いがやや鈍化しているうえ、日米の株価が下げ渋りとなっているこ とから、リスク回避に伴う円買い圧力も弱まる格好となっている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、「米 国の景気浮揚策の効果が本格的に出始めるのはまだ先の話になるため、足元は 悪い方の材料が出やすく、ドル安方向のリスクはまだまだ続いている」と指摘。 ただ、急激なドルの下落に対してユーロ圏当局者から警戒姿勢もみられるなか、 東京時間の取引では株価動向をにらみながらの動きもあり、アジア株が底堅い 局面ではドル売り・円買いの動きが緩和する可能性もあるとみている。

日米株が下げ渋り、円買い戻しの動き鈍い

前日の米国株式相場はやや下げ渋りの展開となった。リスクを伴う投資先 の代表格とされている株式を敬遠する動きが鈍ると、外為市場ではリスク回避 志向が後退しているとの見方につながり、リスク選好的な高金利通貨買い・円 売りの巻き戻し圧力が弱まる傾向にある。

ユーロ・円相場は前日の取引で一時1ユーロ=155円95銭と、2月13日以 来の水準までユーロ安・円高が進んでいたが、この日の東京時間の取引では157 円台前半まで円が押し戻されて推移している。

この日の東京市場では、日経平均株価が再び1万3000円を割り込む局面で は、クロス・円(ドル以外の通貨と円の取引)で円の買い戻し圧力が強まった ものの、株価がじりじりとプラス圏に値を戻すと、円買いの勢いも鈍る展開と なった。

ただ、「まだ積極的な投資を進める環境下にはないため、株がどんどん買 われる感じはしない」(三菱UFJ信託銀・井上氏)ともいい、株が再び弱含 む展開となれば、円の買い戻しに圧力がかかる可能性が残る。

米FRB議長講演見極め

また、この日は米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長がフロ リダ州で講演を行う予定で、「先週の議会証言での発言で金融市場が混乱し始 めた経緯もあり、発言内容を修正するのか、同じ見解を示すのかが注目される」 (三菱UFJ信託銀・井上氏)。

バーナンキ議長は2月27日から2日間にわたって上下院で議会証言を行い、 米景気の下振れ懸念に言及したほか、28日には上院での証言後の質疑応答で、 「恐らく一部の銀行は破たんするだろう。たとえば、価格が下落している地域 の不動産に重点的に投資し、圧力を受けている小規模で、多くの場合、新規の 銀行だ」と発言。ドル売りが加速するきっかけとなっていた。

週明けに一段と加速したユーロ高・ドル安の進行に対して、ユーロ圏当局 者から懸念の声も聞かれているだけに、「バーナンキ議長もドル安を放置でき ないとの見解を示さざるを得ない可能性がある」(井上氏)ことから、ドル売 り持ち高を調整する動きも見込まれそうだ。

急速なドル安進行に警戒感

ユーロ・ドル相場は前日に一時1ユーロ=1.5275ドルと、1999年1月のユ ーロ発足後初めての水準を付けているが、急速なユーロ高・ドル安の進行を受 けて、ユーロ圏の財務当局者は警戒姿勢を強めている。

そうしたなか、米国のポールソン財務長官は3日、ブルームバーグテレビ ジョンのインタビューで、強いドルを望んでいるとの見解をあらためて強調し、 ドルは「底堅い」米経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を最終的には 反映するとの考えを明らかにした。

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は同日、「現在の状況にかんがみ、 財務長官や大統領を含め米当局が強いドルは国益にかなうと繰り返し述べてい るのは非常に重要だ」と語っている。

米欧当局者の発言を受けて、目先は対ユーロでドルの下値を試す機運が衰 えており、ユーロは最高値更新後にこの日の東京時間では1.52ドルちょうどを 挟んだ水準でもみ合っている。対ユーロでのドル下げ渋りを背景に対円でもド ル売りの勢いが鈍っている面がある。

また、福田康夫首相も前日に、102円台までのドル安・円高進行について、 「あまり急速に変化するのはよくないと思うが、これは為替の市場の問題だ。 われわれとしては重大な関心を持って見ている」と言明。為替市場の現状につ いては「円高というよりドル安という状況ではないか」との認識を示した。

ドイツ証券の深谷幸司シニア為替ストラテジストは、「日本の当局が円高 でなくドル安という認識を示し、全般的にドル安をどうするかというムードが 出てきているなかで、それほどどんどんドル売りもやりにくいところがある」 と指摘する。

米リセッション懸念くすぶる

一方、シカゴ購買部協会指数など先週後半から米経済指標の悪化が目立っ ていることから、リセッション懸念が強まり、外為市場では急速にドル売りが 進行。ドル・円相場は前日の取引で一時102円62銭(ブルームバーグ・データ 参照、以下同じ)と、2005年1月28日以来、約3年ぶりの安値を付けた。

そうしたなか、米供給管理協会(ISM)が前日に発表した2月の製造業 景況指数は48.3と、前月の50.7から低下。ブルームバーグ・ニュースがまと めた市場予想の48.0は若干上回ったものの、景気の拡大と縮小の境目を示す50 を再び割り込んでいる。

米国のリセッション懸念がぬぐい去れない状況となるなか、今週はISM の非製造業景気指数や注目度の高い雇用統計の発表が控えており、警戒感から 引き続きドルの上値が抑えられる展開が見込まれる。

みずほコーポレート銀行国際為替部の岡田雅雄参事役は、「雇用統計が3 月相場を決定付けるとの見方から、リスクを膨らませることには慎重になって いる」とみている。

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