経産相:Jパワー「生活に重大な関わり」-外資規制審査の延長当然(2)

甘利明経済産業相は、英ファンドが申請中の 電力卸大手電源開発(Jパワー)株の追加取得について、審査期間を「延長して 議論するのは当然」との見解を示した。慎重に審査する理由として同社が原子力 発電所の建設を計画していることや、日本列島すべてを結ぶ送電網を保有する唯 一の企業で「国民生活に重大に関わっている」点などを指摘した。

このほどブルームバーグ・ニュースのインタビューに答えて明らかにした。 英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)の 買い増し申請に関連し、審査の具体的な基準については「詳細にわたって細かく 規定したり、外に向けて発表している国はない」と指摘。その上で「公共の秩序 に影響を与えるかどうかについて検討している」述べた。

電力会社など国の安全に関わる業種については、外国為替及び外国貿易法 (外為法)で外資1社が10%以上出資することを規制しており、財務相と事業を 所管する省の大臣(電力会社の場合は経産相)から事前に許可を受ける必要があ る。政府はTCIによる9.99%から20%への出資比率引き上げの是非について、 2月中旬までだった期間を5月中旬まで3カ月延長して審査している。

さらに、経産相はJパワーが現在取り組む原子力発電事業に触れ「事前の立 地地域への理解の努力、安全の配慮、そして回収する期間の長さなど、極めて長 いスパンでの投資になる」と主張。TCIが求めるような短期的な経済合理性の 追求では、国が責任を持つエネルギー安全保障の確保は難しいとの考えを示した。 Jパワーは現在、大間原子力発電所(青森県下北郡大間町)の建設準備を進めて おり、2012年3月の運転開始を予定。計画通り建設が進んだとしても、1984年に 大間町が原発の誘致を決議して以来、運転開始までに28年を要することになる。

安全保障に関わる外資規制は普遍的なルール

エネルギーの安定供給も含め、外資が出資した場合に国の安全が損なわれる と判断し外国投資家による出資を規制することは、経済協力開発機構(OEC D)でも認められたルール。英国や米国などは「国家安全保障」や「公共の利 益」を基準として、業種を限定しない形で広範に投資を規制している。2005年に は中国最大の海洋石油会社、中国海洋石油が米資源大手ユノカルの買収を目論ん だものの、安全保障上の脅威とする米議会の反対にあった結果、計画を白紙撤回 した事例もある。

また、外資の出資規制を検討するのであれば、政府は株式を保有していたJ パワーを民営化すべきではなかったとするTCI側の指摘については「単なる経 営に注文をつけない株主としてその企業に投資して利益を得るというのと、経営 自体に関与してくるというのはもの言いが違う。そのために外資に外為法上の制 約がある」と述べ、「民営化するという話と、外資に対して何らかの制約をする というのは別な話だ」と強調した。

政府が3分の2、残りを電力会社が株式を保有する特殊法人だったJパワー は、電力自由化の流れのなかで民営化され、2004年10月、東証1部市場に新規上 場した。同社は1952年に設立され、東京電力など地域の電力会社へ電力卸事業を 行っている。

電力とは異なる空港関連事業での外資規制

国土交通省は2月29日、検討を進めていた空港関連企業へ出資する外資など を規制する法律案について、今国会への提出を見送ると発表。具体的な規制の導 入は先送りされたものの、同時期に並行して2つの業種で外資規制の議論が高ま った。経産相は「電力と空港の話は違う」と強調。明確に投資を促進する部分、 場合によっては協議を要する部分とを線引きし、判断しやすいようにしていくべ きとの考えを示し、国交省との立場の違いを訴えた。

2008年の資源外交、ブラジルなど南米が焦点

国内での特定業種に対する規制と同様に、国外で積極的な外交を展開して新 興消費国などとの資源獲得競争に勝つことも安全保障の重要な取り組みの一つだ。 石油や天然ガスといったエネルギー資源に加えて、半導体の製造などに使用され る希少金属(レアメタル)や貴金属といった資源でも、生産国は国家管理色を強 めている。資源管理は現在、鉄鉱石、ボーキサイト、銅、昨今ではレアメタルに まで広範に及ぶ。

経産相は昨年4月、世界第2位のウラン埋蔵量を持つカザフスタン共和国を 訪問し、丸紅や東京電力などによるウラン鉱山の権益取得にこぎつけた。また、 豊富な石油・天然ガスの資源を持つサウジアラビアなどの中東諸国や、レアメタ ル資源を保有する南アフリカ共和国やボツワナを訪問した。

さらなる資源外交を展開するため、2008年は、ブラジルなどの南米地域を訪 問する考えだ。経産相は、これら地域の政府関係者とまだ直接話をしていないと 言い、関係構築が急がれる。「その辺りを少し安定的に、量も価格も供給できる ようなルートを作っていかなければならない」(経産相)としている。

--共同取材:山崎朝子、廣川高史、君塚靖、松井博司、 Editor:Naoya Abe, Kazu Hirano

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