CDOに「逆襲」された米メリルとシティ-重要な収入源が一転不利に

米証券大手メリルリンチのスタンレー・オニ ール氏は2002年に最高経営責任者(CEO)に就任した時、債務担保証券(C DO)を自分自身とメリルが成功できるかもしれない分野として位置付けた。

メリルはサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンやクレジット・ デフォルトスワップ(CDS)などを裏付けにする証券を束ねた複雑な証券化 商品であるCDO発行業務を始めて15年目だった。07年までに同社はCDO 引き受けで他の投資銀行を上回り、その収入は債券や株式などのより従来型の 収入源に匹敵する水準になり始めていた(ブルームバーグ調べ)。

メリルはその市場でトップだった。米銀大手シティグループはその次だっ たが、CDOが市場から消えた際、それが不利に働いた。

投資顧問会社プリタニア・グループ(ロンドン)のマルコム・ペリー最高 経営責任者(CEO)は「彼らは逆にかみつかれた」と語り、「結局は、すべて がうまくいかなかったときのリスクをカバーするほど十分な利益を出していな かった」と指摘した。

メリルは昨年のCDO引受手数料が3億9500万ドル(約410億円)、シテ ィはそれに続く3億4720万ドルだった。米金融機関全体では36億ドル。07年 に発行されたCDOの9割は1-8月の発行だった(ブルームバーグ調べ)。

ベアー・スターンズのファンド

6、7月に惨事が起きた。サブプライムローンの焦げ付き増加で、同ロー ンが組み込まれたCDOの価格が急落した。米証券ベアー・スターンズ傘下で メリルなどが発行したCDOに投資していたヘッジファンド2本の財務状況が 悪化。同ファンドに融資していた銀行は証拠金を要求し、損失に備えた担保積 み増しを求めた。そこでベアー・スターンズは保有するCDO38億ドル相当を すでに軟調だった市場で売却し、CDOは底値を付けた。7月末に同ファンド は破たんを宣言し、投資家の資金16億ドルが失われた。

ベアー・スターンズのファンド破たんから数週間の間に、CDOはどの市 場でもほぼ取引不可能になった。それに伴う損失は、こうした証券の組成や投 資家への販売で投資銀行が稼いでいた高い手数料収入と比べても大きかった。

メリルはCDOやその他の資産に関連して245億ドルの評価損を計上し、 シティも224億ドルの損失を記録した。CDO引き受け番付で4位だったスイ スのUBSも181億ドルに上る損金処理を行った。世界の金融機関の評価損や 信用損失は少なくとも1810億ドルに達した。

07年10-12月(第4四半期)までに、金融機関は新たなCDO組成を取り やめた。CDO市場はいまだに機能不全状態にある。

ただ、ブルームバーグのCDO引受手数料収入ランキングで上位5位まで に入る金融機関のうち、賢明なリスク管理の評判に傷が付かず、今回の混乱を 乗り切った企業が1社だけある。ゴールドマン・サックス・グループだ。ゴー ルドマンは昨年のCDO引受手数料が2億3900万ドルと3位だったが、同社の デリバティブ(金融派生商品)トレーダーはサブプライム関連証券の価値下落 を正しく予想していた。同社は07年通期決算(11月期末)で過去最高益を上げ、 CDO市場混乱に関連する損金処理はなかった。

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